ステージの上は、完全に私たちの自由な場所

──9月の復活ライブの感触はいかがでしたか？

金子理江　ライブに飢えてたんで、その気持ちを発散して、お客さんに私たちのライブを観せられるっていううれしさがありましたね。ライブは気持ちいいし、自分たちを一番出せる場所だと思うので。

──それはどういった意味で？

金子　ステージに立っちゃうと、何をするにも自分たちで発信したり、魅せるしかなくなるじゃないですか。プレッシャーはあるけど、自分たちの音楽や表現が形になるのがうれしいんですよね。それが快感なんです。

黒宮れい　私たちって、空気を察し過ぎちゃうんですよ。

金子　空気と圧力を読み過ぎちゃうんです。特に大人が多い場所だと。

黒宮　でも、ライブのステージの上は完全に私たちの自由な場所。誰も踏み込めないし、誰にも踏み込ませない場所だから。

金子　ライブはバンドも含めてみんなで作り上げるものだけど、結局は私たち2人のものだと思うんですね。だから「やっちゃえ！」って思える。実際、復活ライブも思いっきり暴れることができたから楽しかったです。

──黒宮さんの感触はいかがでした？

黒宮　ライブがやっとできるっていううれしさもあったけど、2人になって初めてのライブだったんで、私はうれしさよりも不安のほうが強かったですね。でも、ステージに立った瞬間に「やるしかない」「カマすしかない」って気持ちを切り替えて。やっちゃったもん勝ちだと思ったんで、全力でいきました。

──おニ人が出演しているテレビ番組「アイドル魂 なだれ坂ロック！」で、ライブのバックステージの様子が放映されていましたが、そこで「LADYBABYは最強だから」ってお互いに言ってたのが、すごく印象に残ってて。

黒宮　自己暗示をかけてるんですよ。「最強だからやってやるよ！」ぐらいの気持ちを自分たちに持たせないと、不安でしょうがなくて。

金子　私たちには弱い部分があると思うけど、同時に、弱さから出る強さもあると思うし、それを出したい。それから「最強だから」って言っちゃえばこっちのものじゃないですか。何か文句を言われたとしても、「いや、私たち最強だから」って言い返せるし（笑）。

黒宮　「文句あんの？ 私たち最強なんだけど」って（笑）。そういう戦闘モードですね。特にライブ中は。

金子　「私たちVSファン」みたいな感じですね。ライブってどれだけ全力で盛り上がれて、盛り上げられるかっていう勝負だと思うし、客席にガン飛ばしてますから（笑）。

黒宮　ケンカ腰です（笑）。

今のほうが濃かったり、深くなった

──4月に活動休止がアナウンスされた時点で、8月に2人で復活するというロードマップは決まってたんですか？

黒宮　全然ないです。4月はただ「活動休止」とだけ言われて、8月から2人で動くことも、直前に決まったんです。

──では金子さんと黒宮さんの2人で動くことが告げられたときの心境は？

金子　ありだなって。3人体制のときはレディビアードというシンボル的な、大きな武器があったし、その分、知名度が上がるスピードも速かったと思うんですね。

──その武器を持っていることが「ダウンタウンDX」などへの出演にもつながっていたと思います。

金子　だから、ビアちゃんが抜けて2人ってなったときに「ありがちなグループになったね」って言われるだろうことも想定済みで。だけど逆に、その評価を覆すような、最強のグループになっちゃえば、すごくカッコいいと思うんですね。しかも、ずっと近くにいて信頼してるれいとの2人組だから自信があって。この2人なら、なんでもできるなって思えるんです。だから、復活ライブでも「さあ、見てろよ」っていう期待しかなかった。

黒宮　理江とはLADYBABYを始める前から一緒にいたし、この2人で組むのが自然っていうか、当たり前だと思ってて。今まではビアちゃんっていう大きな武器があったし、ここで注目もされたけど、同時に金子と黒宮のよい部分も、見えにくくなってたと思う。

──確かに、悪く言えばインパクトが強すぎて出落ち感が否めなかったし、そのイメージで固定される部分もあったと思います。

黒宮　だけど2人になって、私たちの本質を見せることができるようになったことで可能性の幅が広がったのかなって。

金子　今のほうが濃かったり、深くなったと思うんですね。そして、私たちの本質的な部分が伝わりやすくなったかなって。3人体制で活動していた時期も、私たちにとって大事だったと思うんです。だけどこの2人になってからは、私たちにしか出せない素の部分と、そこから生まれる破壊力みたいなものをストレートに形にしたいなって。

──「素」ですか。

金子　ビアちゃんっていうキャッチーな武器がなくなって2人の魅力をどう提示するかを考えたときに、無理矢理に何かを押し出したり、嘘みたいなキャラを作ったりするよりは、自分たちの個性をまず大切にしなきゃなって。だから、私たちらしさをそのまま出して見せていくことが、LADYBABYの強さにつながっていくんじゃないかって思ったんです。

──そういう意識の持ち方みたいな部分は、2人で話し合ったりはしましたか？

金子　全然。むしろ話さないようにしてますね。

黒宮　以心伝心なんですよ。行動とか言うこと、思ってることを相手が代弁してくれることが多いし、今理江が言った言葉も、私が思ってたことだし。

金子　同じ人間じゃないから、考え方がお互いで違う部分も当然あります。それぞれ別の魅力や欠点もあると思う。だけど、お互いがこうやって音楽の仕事をしていく中で共感できるものがあるんですよね。意識的な部分で。

──それは言葉にすると、どういったものになりますか？

金子　人と同じようなことをやりたくない、自分たちにしかできないものを作りたいって気持ちだと思います。2人にしか出せないもので、自分たちにしか作れないものを生み出したい。その気持ちがお互いにすごく強い。

黒宮　本当に以心伝心ですね。私が思ってることそのままです。