Kvi Babaメジャー1stアルバム「Jesus Loves You」インタビュー | 神から与えられた才能を信じて

Kvi Babaがメジャー1stアルバム「Jesus Loves You」をリリースした。

本作にはテレビアニメ「TRIGUN STAMPEDE」のオープニング主題歌「TOMBI」や「Too Bad Day But... (Remix)feat. AKLO & KEIJU」「Fuck U & Love U」「二つ目の家族」「愛槌」「Tear Wave」といった既発曲を含む全12曲を収録。これまでの作品同様、全曲のプロデュースをBACHLOGICが手がけている。

音楽ナタリーではKvi Babaにインタビュー。メジャー1stアルバムと銘打たれた本作の制作過程や過去の作品との違いなどを聞いた。

取材・文 / 三浦良純撮影 / 森好弘

自分の才能を信じられるようになった

──「Toge ni Bara」発表時以来、1年半ぶりのインタビューとなりますが(参照:Kvi Baba「Toge ni Bara」インタビュー)、この期間を振り返ってみて、どんなことがありましたか? 当時はいろいろな問題を抱えているようでしたが。

自分自身の心や家族の問題などを引きずりつつも、常に前進している感覚があるシーズンだったなと思います。前進というのは、タイアップとか大きな仕事が決まったということじゃなくて、人との付き合い方とか自分のことをより理解したり、問題点に気付いたり、内面的な学びを得たということで。

Kvi Baba

──具体的にはどんな学びがあったんでしょう?

ここ最近の学びとしては、完璧じゃない自分を受け入れられるようになったことがあって。僕は完璧主義みたいなところがあるんですけど、どうやっても完璧じゃないし、コンプレックスの塊なんです。だから撮影の仕事とかもすごく苦手だったのが、仕事をこなしていく中で、「自分はこのままでいいんだ。むしろ僕は神様が作った最高傑作くらいなんだ」と思えるようになった。それを“逃げ”と捉えることもできるけど、自分だけじゃなく、他人を厳しく見ることもなくなって、今はみんな魅力的だと思えますね。

──アーティストとして躍進したというよりも、内面的な成長が大きかったと。

タイアップが決まったのは、もちろん大きいし、うれしかったです。でも、どんなに大きな仕事がきても、自分の力に自信を持っていないと喜べないと思うんです。内面的な学びがあって、神様から与えられた自分の才能を信じられるようになったからこそ、喜べたのかなと。

──今回メジャー1stアルバムということで気負う部分はありましたか?

それはまったくないです。というか、これまでもメジャーでリリースしていたんだけど、わざわざメジャーと打ち出すのはイヤだったんですよ。でも今回、新たなスタートという意味でメジャーと付けることにしたんですよね。メジャー1stアルバムというのは、“始まりの始まり”のアルバムみたいな意味だと思ってほしいです。

──なるほど。

それに、自分がメジャーであるべき、って言ったら謙虚じゃないけど、メジャーな存在なんだという自負も出てきて。僕はちゃんと土俵に立てる人間なんだという気持ちになりました。

Kvi Baba

神様に導かれたように完成した「TRIGUN」主題歌

──アルバムに収録されている「TOMBI」はテレビアニメ「TRIGUN STAMPEDE」のオープニング曲として放送され、Kvi Babaさんがよりメジャーな存在になるきっかけになった曲だと思います。海外人気も高い作品なので、海外からの認知度も一気に上がりましたよね。

海外の方って好きなものにちゃんと「LIKE」って言うし、持論をしっかり持っていてアクティブなんですよね。海外の方のリアクションを見ていて、自分が見てる世界って小さいし、いろんな人やカルチャー、生活があることを認識しました。

──この曲はもともと19歳のときに作った曲がベースになっているそうですね。

水戸のスタジオでプロデューサーのBACHLOGICとギタリストのUK a.k.a AMP Killerと3人で一緒に曲を作っていた時期があって、その頃にできたのが「TOMBI」だったんです。そのときからめちゃくちゃいい曲だなとは思ってたんですけど、なぜかリリースは控えていて。タイアップのオファーが来たタイミングで、あの曲がぴったりなんじゃないかと思い出したんです。それでサウンドをアップグレードさせて歌い直したら、本当にアニメとマッチしたんですよ。この曲以外に新しい曲をいくつか作りもしたし、そっちのほうがいいんじゃないかとも思ったんですけど、実際にアニメの放送が始まって、楽曲へのコメントとかを見ていたら、これでよかったって確信しましたね。アニメの主人公であるヴァッシュと楽曲が完全に重なっていて。原曲からそこまで大きく変えたわけじゃないので、本当に不思議な感覚でした。この仕事のためにあのとき作って、ここまで取っておいたのかもしれないなと思うし、それこそ神様が導いてくれたように感じます。

──この曲はミュージックビデオに鞘師里保さんがダンサーとして参加したことでも大きな話題を集めました。

鞘師さんとは初めてご一緒させてもらって、ただきれいとかダンスがうまいとかじゃなくて、奥深い魅力のある人だなと思いました。さっきも言った通り、撮影は苦手な部分があるんですけど、MVに関しては、ずっと一緒に撮ってくれている監督の柿本ケンサクさんやチームを信頼しているので、楽しく作れています。

BACHLOGICからの唯一の注文は

──制作面で何か変化はありましたか?

なんでも自分でやるようになりましたね。今回半分くらいの曲はスタジオじゃなくて、自分の家で録音したんです。自分で判断できるようになってきたし、プロデューサーのBACHLOGICも僕を信頼してくれていて「もう自分でやってくれ」と言ってくれるようになって。すごくうれしいですね。

──BACHLOGICさんからはあまり注文はなかったんですか?

ビートはどれもストックとかじゃなくて、僕のためにBLさんが特別に作ってくれたものなんですけど、僕がそこに乗せるメロディや歌詞について、BLさんはほとんど意見を言わないんですよ。言われるとしたら生活態度の部分とか(笑)。あとは昔からですけど、歌詞について「人を傷付けちゃダメだ」ってことはよく言いますね。誰かを傷付ける可能性がある言葉があれば、そこは変えてくれって。

Kvi Baba

──優しい方なんですね。

BLさんがすごいのは、達観していて柔軟なところなんですよね。自分の中に答えを持ってるけど、寛容だから「どうしたい?」って聞いてくるんですよ。そういう感じで、信頼し合っているBLさん、UK a.k.a AMP Killerと3人で一緒に作り上げたから、サウンドについてなんの不満もないです。最高っす。