ナタリー PowerPush - クロワニ

ソリッドなロックが詰まった初ライブアルバム堂々完成

ハードでソリッドなロックンロールをやってサマになるバンドは、実はそんなにいるもんじゃない。クロワニは、4人が立っているだけでロックンロールを感じさせ、音を聴いた瞬間に確信に変わる希有なロックバンド。ノーギミックなサウンドは、どこまでも骨っぽく無駄がない。2006年にトリオでスタートし、今年から4人編成に。音の厚みも増し、一段と充実してきたことを示すように、ライブアルバム「LIVE INTO THE WILD」を9月15日にドロップする。

取材・文/今井智子 インタビュー撮影/大山卓也

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集まって「ロックやろう」って。それだけ。

──昨年まではトリオだったんですよね。どんな経緯で3人が集まったんですか?

インタビュー写真

富家イチロウ[イチロウ](Vo,G) 俺がやってたバンドが解散して1人になって寂しくて(笑)、ミツ(徳光康平)にそんな話をしたら、一緒にやろうってことになって。ドラムのイチカワ(市川隆晶)ともそれとは別に知り合いで、一緒にやらないかって話になって、リズム隊がそろったから、これでできる、と。

──こういうバンドにしようとかって話は?

イチロウ 別になかった。集まって「ロックやろう」って。それだけ。

徳光康平[ミツ](B) 3人ですぐに音出して。

市川隆晶[イチカワ](Dr) 次の週にライブやってた(笑)。

イチロウ 俺が前にやってたバンドの曲があったから、それをやってね。

──クロワニというバンド名になったのはイチロウさんがラコステのシャツを着ていたから、というインタビューを見ましたが。

イチロウ あのときはそういうことに(笑)。先に「クロワニ」って名前が俺の中にあった。カタカナで9画ぐらいですぐ書けるでしょ(笑)。まあ後づけかもしれないけど、ワニっぽい感じのカッコいい音楽ってイメージがあったのかも。

──ワニ皮のハードなイメージですかね?

イチロウ でもハードじゃないものをやろうとしてもできないしね。バンドやる=こういうことなんじゃないかな。

ミツ コンセプト的なものはなかった。自然にこうなったね。

イチロウ 去年ぐらいから自分たちでもそのへん自覚しだして。それまではみんなそういうもんだと思ってたから。バンドやるって言ったら悪そうで(笑)ハードなバンドしか思いつかなかった。そしたらオーバーグラウンドには俺らみたいのが少ないんだね。最近ようやく気付いた(笑)。

子供の頃から西新宿のレコード屋に憧れてた

──その、ロックバンド=ハードなものという刷り込みはどこから来たんでしょう? 最初に影響されたのはどんなアーティストですか?

イチロウ 最近は聴いてないけど、最初はTHE BLUE HEARTSだった。「ミュージックスクエア」で解散するって話してるのを中3のときに聴いてすごいショックだった。あと影響を受けたのはTHE GROOVERS。カセットテープがまだ実家にあるんじゃないかな?

イチカワ 俺はキャロルで育ってDEF LEPPARDでドラムに目覚めた。リック・アレンは片腕なのになんであんなことできるんだろうって。おねえちゃんとドライブしてて事故ったっていうのもロックだなあと思った。中学でギター弾いてたけど、ドラムに変えた。

インタビュー写真

田島航[ワタル](G) 俺も最初はTHE BLUE HEARTSかなあ。それからSEX PISTOLS。

──田島さん、革ジャンは着てませんけど長髪なのでステージだとRAMONESっぽく見えますね。

ワタル 髪を伸ばせって言われてるんで(苦笑)。

ミツ 先輩のライダーズってバンドのビデオがカッコいいんですよ。ロン毛でノースリーブ。アメリカ的な感じでカッコいい。俺はSEX PISTOLSからTHE CLASH、RAMONES、そこからB級をいろいろ探って。どれだけカッコつけるか。そんなことばっかりしてました。生まれは九州なんで、子供の頃は熊本のウッドストック(レコード屋)によく行ってましたね。雑誌の「DOLL」を読んでて、広告が載ってる西新宿のレコード屋に憧れてた(笑)。

──スマイリー原島さんのコメントで、「ルースターズのDNAを受け継いだバンド」と評されていますが、ルースターズも影響されたバンドの1つですか?

イチロウ 日本のバンドならルースターズという感じで。

ミツ 映画で「バトルロッカーズ」見てるから。VHSだけど。

イチロウ あれで高円寺に引っ越した。

ミツ (ライブハウスの)20000Vが映画と全然違ってた(笑)。

ライブアルバム「LIVE INTO THE WILD」 / 2010年9月15日発売 / 2300円(税込) / BM tunes / XBCD-1033

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CD収録曲
  1. F.F.
  2. やめたいけれどやめられない
  3. 戦場のマリアンヌ
  4. Can you feel the light?
  5. SWEET MORNING
  6. 甘いエンドロール
  7. インスタントな世界
  8. NO NO NO NO NO
  9. サンデーモーニンブルース
  10. トリッパー
  11. 血みどろランデブー
  12. 泣かないでベイベー
  13. キャロライン
クロワニ

富家イチロウ(Vo,G)、徳光康平(B)、市川隆晶(Dr)の3人で2006年に結成。都内を中心にライブを行いつつ、「アリゲーターは飛べない」「エンドレスなサーカス」という2枚のミニアルバムを発表。2010年に田島航(G)が加入し、現在の4人編成となる。2010年9月に初のライブアルバム「LIVE INTO THE WILD」をリリース。