ナタリー PowerPush - クロワニ
ソリッドなロックが詰まった初ライブアルバム堂々完成
ギターを入れたいというより、いい仲間がいるから入れようって感じ
──この4人になったのは、今年の初めなんですね。
イチカワ もともと俺とワタルが一緒にやってたんで。
ミツ そこに俺も入って、遊びのバンドだったけど楽しくて、朝9時からスタジオに入ってた(笑)。
イチカワ だからクロワニにギター入れるって話になったときに航しかいないなあ、と。イチロウは知らなかったんだけど、俺たちがごり押しして(笑)。
──そもそも4人編成にしようと思った理由は?
イチロウ 俺は1人増えると連絡するのが面倒くさいなとか思ってたんだけど(笑)、実際1年ぐらいすげえ考えて、必要だって思って。でも最終的にはギターを入れたかったと言うより2人が航ちゃんを連れてきて4人でやってみようってなったときに「いい!」って(笑)。ギターを入れたいというより、いい仲間がいるから入れようって感じ。1年間、可能性として他のギタリストともスタジオに入ったけど、それはやっぱり違ったんだよね。
──このアルバム「LIVE INTO THE WILD」は、トリオ時代の曲と新曲をライブ録音したものですが、ライブ盤にしたのはとにかく早く4人での音をリリースしたいという思いからですか?
ミツ いや、そんなことは考えてなかったね。
イチロウ 出したいから出しただけ。4人用のアレンジは今年の頭にまとめて、1月31日の(新代田)FEVERでお披露目。そしたらこのアレンジで1枚作ろうって話になって、自然にライブ盤になった。
──録音したのはいつですか?
イチロウ 5月のO-nest。
アンプにシールド刺してボーン! と音出すだけ
──4人になってからのライブで、新たな手応えは感じていますか?
イチロウ どうなんだろう?
ミツ 何も考えなくなったな。以前はこのエフェクターが、とかシールドが、とかやってたけど、そういうふうにマニアックに考えることがなくなった。情報が多すぎると混乱する。今の4人だとアンプにシールド刺してボーン! と音出す。それだけ。
イチカワ 俺は8ビートが叩けるようになった(笑)。前は8ビート嫌いだったけど、最近は好きです(笑)。
──考え方がシンプルになってきたということでしょうか?
ミツ 耳もよくないのに情報が多くてもね。今は耳がよくなったわけじゃないけど、これでいいんだ! みたいな。自分でできることをやればいいんだけど、悩んだ時期もあって。そうすると機材に凝ったりする。それをやったところで自分のプレイが変わるわけじゃない。
──先日のO-nestでのライブを拝見しましたけど、安定感のある演奏でしたね。両翼のワタルさんとミツさんの存在が、イチロウさんを引き立てていたような。
ミツ ありがとうございます。
──4人でステージに立つシルエットが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTに似てると感じたんですけど。サウンドも通じるところがあるように思います。
イチロウ そうかな? 全然意識したことはないけど、こういうタイプのバンドが多くないから、似て見えるんじゃないですか?
──ところで前回見たときもイチロウさんは胸に赤いバラをつけてましたけど、あれは何か意味があってのことですか?
イチロウ そうやって突っ込まれた時点で、俺の勝ち(笑)。
──あ、そういうことで。
イチロウ (笑)別にバラが好きと思ったこともないですけど、恥ずかしいこと言うと、誰にでも似合うわけじゃないから。俺も似合うかどうかわからないけど、誰にでもできるわけじゃないんで。ということにしておきます。
富士山に登ってバンドがまとまったかな
──アルバムの半分ぐらいは新曲ですが、曲作りなどで4人になって変わったことはありますか?
イチロウ 4人になって音楽的に成長しなきゃならない部分が出てきたから変わったことはあるけど、ギターが入ったことで変わったところはない。
イチカワ やれることは増えたね。欲が出て、出すぎてダメになっちゃったことが前は多かったけど、最近はない。半年ぐらい前、合宿に行って何かつかんだ感じ。毎日8時間とか10時間スタジオに入って、風呂にも入らず(笑)。
──えええっ。それは冬でも厳しいでしょ。
イチカワ 合宿所に風呂がなかったの。近くに温泉があったけど、俺らタトゥー入ってるから入れないし(笑)。
イチロウ あちこち探して、やっと市営の、老人ばっかりのところに入って。
ミツ 銭湯はOKだけど、スーパー銭湯はダメです。
──プチ情報ありがとうございます(笑)。
イチカワ こないだは富士山に登って。
──ヒット祈願ですか?
イチロウ それ願うの、忘れてたね。健康とかばっかり願ってた。
ミツ 楽勝だったね。もっと下から登ってもよかったね。
イチカワ 来年は違うルートで。でも富士山でまとまったかな、音楽じゃないところで(笑)
──そして、アルバムリリース後のツアータイトルが「ロックンロール原理主義」。
イチロウ 俺らが考えたんじゃないんだけど、すげえいいタイトルだと思った。まさに俺らがやろうとしてるのは、そういうことで。
イチカワ アルバムのフライヤーのキャッチコピーも好きだな。「誰もが思い描いていたロックンロール。だけど何処にもなかったロックンロール」。
イチロウ やろうとしてるのは、そういうこと。
──「伝統的なロックンロールをルーツとしながら、2010年という時代を確実に感じさせる音楽性」とも。
イチロウ 音楽的にはルーツロックをやるわけじゃないけど、それは自然と持ってるものだし、90年代以降のものが俺たちの中にはあるから、そこは意識しないでもそうなった。
ミツ オーセンティックなものを目指してるわけじゃないから。
イチカワ Born to be wildですよ。
イチロウ だから、このバンドがこれからどうなるのか、俺たちも楽しみなんですよ。
■クロワニ / KUROWANI
CD収録曲
- F.F.
- やめたいけれどやめられない
- 戦場のマリアンヌ
- Can you feel the light?
- SWEET MORNING
- 甘いエンドロール
- インスタントな世界
- NO NO NO NO NO
- サンデーモーニンブルース
- トリッパー
- 血みどろランデブー
- 泣かないでベイベー
- キャロライン
クロワニ
富家イチロウ(Vo,G)、徳光康平(B)、市川隆晶(Dr)の3人で2006年に結成。都内を中心にライブを行いつつ、「アリゲーターは飛べない」「エンドレスなサーカス」という2枚のミニアルバムを発表。2010年に田島航(G)が加入し、現在の4人編成となる。2010年9月に初のライブアルバム「LIVE INTO THE WILD」をリリース。