ナタリー PowerPush - クノシンジ

強力なメロディが伝える希望の歌 「光のアルバム」に込めた思いを語る

強力なメロディを詰め込んだ集大成

──そして、いよいよニューアルバム「光のアルバム」がリリースされます。メジャーデビューから約2年。満を持して、という言葉がまさにふさわしい気がしますね。

ここまで時間かかるはずじゃなかったんですけどね、当初の予定では(笑)。でも、いろいろいい形でリリースのタイミングを作ろうっていう感じでやってきたんで、こうしてこのタイミングで出せてよかったなぁって思います。

──この2年、常にアルバムを見据えて活動をしていたんですか?

そうですね。デビューして、シングル1枚出した後くらいに確かアルバムの1曲目の「タイムカプセル」を録ったりしてたんで、曲はずっと作ってましたね、うん。

──ってことは、かなりの候補曲があったんじゃないですか?

かなりありましたね。今回のアルバムは作ってた期間も長かったし、そのときそのときに好きだったジャンルやサウンドみたいなものの集大成っていう感じになってると思います。そのときそのときのベストな状態とか、自分が盛り上がれるものを並べたアルバムみたいな、そういうイメージで。曲もいっぱいあったんだけど、その中でもすごくキャッチーで強力なメロディを持った楽曲をきちんと選りすぐって入れることができたかなぁと思いますね。

──キャッチーで強力なメロディっていうのは、クノさんのベーシックな部分のような気がしますね。

僕の中にはメロディのクオリティみたいなもののハードルがあるんですよ。それを確実に超えた曲をアルバムに入れるというのは、すごく守れてると思いますね。そこは全然、妥協してないので、誇れるポイントなのかなって。今って、メロディが重視されなくなってるような気もするので、そういう時代の中で、これだけメロディに特化した13曲を入れられたことにはすごく自信がありますね。

──すごく強力なアルバムになっていると思います。

強力すぎるのかなっていうのもあるんですけど(笑)、それはそれでひとつそういうアルバムを作ろうっていうコンセプトのもとに作って、それを確実に達成したんじゃないかなって思いますね。

──純度の高いポップスという軸はありながらも、さまざまなスタイルのサウンドが詰まっているところも魅力で。聴いていてホントに楽しい。

あぁ嬉しいですねぇ。あまりジャンル的にこだわったりとか、統一感を出そうとしてなかったぶん、いろんなカラーが出せたなぁっていうのは思ってて。それは良かったなって思いますね。

プロデューサーのアレンジに嫉妬する

インタビュー写真

──「レッツゴースマイル!!!!!!!」という曲なんかは、アルバムの中でも異彩を放つ曲だったりもして。ロックっぽいフレイバーが感じられますね。

あれは1曲違いますね、流れで聴くと。チャレンジだったといえばチャレンジだったし、もともとあったといえばもともとあったタイプっていうか。ポップスを軸にやってきてはいるんですけど、けっこうロック好きっていうか、そういうものに憧れる気持ちもあるし、バーンって弾けたいっていう気持ちもあって。その振り幅の一番端っこにある感じの曲ですね。音はそんなに派手ではないんですけど、歌がとにかくすごい(笑)。

──確かにバーンと弾けた歌声になってます(笑)。

あれは最後のテイクをほぼ丸々使ったんですよ。それまでは、わりとキッチリ歌ってたんですけど、どうも表現しきれなかったかもしれないっていう気持ちがあって。で、バーンって歌ったらみんな大盛り上がりで。すごく勢いが出て良かったなぁって。最後の部分とか、自分で聴いてもおかしいですもん(笑)。

──曲ごとで感じられるさまざまなカラーは、棚谷さんをはじめ、亀田誠治さんや石崎光さんなどなど、多彩なプロデューサー陣との作業によって生まれたものでもあるんですかね?

そうだと思います。それぞれの方たちの良さがすごく出てて、それぞれ彩りを加えてもらいました。幸せですね。信頼できる方とこれだけたくさんやらせていただけて。でも、そうやって作ったにもかかわらず、わりとアルバムとして統一感が出せたっていうのも嬉しいことで。それは自分の持ってる力なのかなって、少し思えるというか。

──クノさんの歌と歌詞とメロディがちゃんと生きてますもんね。負けてない。

負けたくないなっていう気持ちはホント強いですから(笑)。今回は自分の曲なんだけど、素晴らしいアレンジをしてもらったことで、嫉妬しちゃう感じが強かったですね。棚谷さんの弦って素晴らしいなぁとか、石崎光さんのビートルズっぽいアレンジ、さすがだなぁとか。かなうはずないんですけど、やっぱりそういう先輩たちの背中を見て、すごく刺激を受けた部分はありましたね。めちゃめちゃ勉強になりました。

1ndフルアルバム『光のアルバム』 / 2009年2月25日発売 / 2800円(税込) / Teenage Symphony / DREAMUSIC/MUCT-1021

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<CD収録曲>
  1. タイムカプセル
  2. ヒカルミライ
  3. BFO
  4. 君は君
  5. レッツゴースマイル!!!!!!!
  6. FRIEND-SHIP
  7. one morning light
  8. ロッテンピーチ
  9. 風車
  10. トゥルル
  11. つよがりドライバー
  12. 光と影
<bonus track>
  1. 空の涙 acoustic ver.
クノシンジ

1983年生まれ、愛知県出身。ギター/ベース/キーボード/プログラミングまですべてひとりでこなすマルチアーティスト。スピッツとの出会いを機に音楽に目覚め、THE BEATLES、QUEENなど60~70年代の英国音楽が持つポップセンスに感銘を受け自ら音楽活動をスタートさせる。インディーズ時代に発表したアルバム「オレンジジュース・グレープフルーツジュース」「FULLCOURSE OF POPSONGS」が耳の早いリスナーの間で話題に。2007年3月にミニアルバム「ポータブルポップミュージック」でメジャーデビューを果たす。瑞々しい歌声と、自身が影響を受けた音楽のエッセンスを受け継いだキャッチーなサウンドで注目を集めている。