Kroi 対バンツアー「Dig the Deep」開催記念インタビュー第1弾|どんぐりず&韻シストと語る、バンドの魅力 / 創作におけるアティテュード

韻シストが語るKroiの魅力

──Kroiを含め、韻シストから影響を受けたアーティストはたくさんいると思います。

Shyoudog ありがとうございます。でも僕が今、キッズでKroiのライブを観たらほんまに追っかけてると思う。

 ええ……!

益田英知(Kroi / Dr)

益田 うれしいです。

Shyoudog 自分らがやりたかったことというか、僕らがカッコいいと思っていたけど出せなかったものってたくさんあるんですよ。例えば僕はアシッドジャズの文化が好きやったけど、体現するのは難しくて。違うアプローチをしないと、カルチャー的なところには投げられなかった感じがあるんです。

──なるほど。

Shyoudog あと、もう少し遡るとフュージョンなんかはダサいっていう風潮が自分らの10代、20代の頃にはあって。

TAROW-ONE うん、あったあった。

Shyoudog それは僕が浅かったからだと思うんだけど、若い頃は悪い匂いがするものが好きじゃないですか。

──そうですよね。

Shyoudog ヒップホップやロックはそういうのがわかりやすかったけど、フュージョンはあまりそういう感じが出てなかった。まあ、今聴くとバリ不良やんって思うんだけど(笑)。ただ、ダサいなって空気がありつつ、聴くものは聴いてて。Kroiはそういう音楽をカッコよく取り込んでいるなと思います。

──「nerd」にもそうした要素はありますよね。

 ミックスをしている鍵盤の千葉(大樹)がフュージョンをめちゃくちゃ好きなんです。それでサウンドメイクでも、やつが弾くフレージングにはフュージョンの香りが出るのかなと思います。

Kroiは音色だけでめちゃくちゃ話せる

TAROW-ONE 「Juden」はタムをめっちゃ左右に振ってると思うんだけど、あれは別録りじゃなくて?

益田 そうですね。オンで立てたのを2本さらに当てています。

Shyoudog やっぱり。やないとそんなん無理やもんなあ。

TAROW-ONE それにしてはオンマイクだけであの音質に持っていくのって、めっちゃカッコええなって思う。

 千葉がミックスをやっているので、そのへんも融通が効くというか。やつ自身のアイデアのときもありますし、益田が考える方向性を忠実に再現していけるので、変なことができるんですよね。

益田 基本アンチパターンばっかりやろうとしています(笑)。

TAROW-ONE 発想が面白いよね。ドラムの音をめっちゃ聴いちゃいました。

Shyoudog 「Juden」のブラスの音も、千葉ちゃんの音色なの?

益田 あれはボーカルの(内田)怜央のオーダーです。「ブラスの音もシンセで打ち込んでほしい」と指示があったので、意地でもブラスを使わずに、どうシンセで表現しようかってことを考えてあの音になりました。

Shyoudog アイデンティティがめっちゃ出んねんな。Kroiは音色だけでめちゃくちゃ話せる音楽だと思う。

関将典(Kroi / B)

 制作中ってやっぱりデモを聴き慣れちゃってるせいか、その音が正解になっちゃうときがあるんですけど。

TAROW-ONE わかるわかる。

 そこから脱していい音を見つける作業はすごく苦労するけど、「これじゃん!」と思える音を見つけたときの喜びはありますよね。「nerd」ではドラムに関してそれがあったと思っていて、「Rafflesia」はサウンドメイクが面白かったです。

Shyoudog この曲のスクラッチはギターでやってるのかな?

 そうです。

Shyoudog Rage Against the Machine的なものを感じた。

 めちゃくちゃレイジが好きなので、僕も聴いててテンション上がりました。しかも(長谷部)悠生の弾いている様が面白すぎて、あいつがスクラッチしているのをゲラゲラ笑いながら見ていた思い出があります(笑)。

韻シストと真剣勝負がしたい

──では最後に、今後2組でやってみたいことはありますか?

 ライブだけでなく、一緒に作品を作れたらうれしいです。

TAROW-ONE Kroiのインスト曲を俺らがサンプリングさせてもらって、曲を作ったりとかね。

益田 おお……!

 それめちゃめちゃ面白そうです!

Shyoudog あと、普通にプロデューサーとして入ってほしいな。

 それは恐れ多いです(笑)。でも、韻シストさんと何かできたらすごくうれしいです。

──まずは11月のライブが楽しみですね。

Kroi Live Tour 2021-2022 "Dig the Deep" 愛知公演
  • 2021年12月11日(土) 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO <出演者> Kroi / 韻シスト

Shyoudog 僕は関くんのアンプをチェックしに行きます。

益田 (笑)。

 自分もShyoudogさんのアンプを見させていただくのが楽しみです(笑)。あと、Kroiは東京以外で自分たちの企画にゲストを呼ぶこと自体が初めてなので、それぞれの会場でどんな化学反応が起こるのかワクワクしてます。会場ごとに反応も違うと思いますし、韻シストさんとの愛知公演がどんなライブになるのか、すごく楽しみです。

Kroi

──益田さんはどんなライブにしたいと思っていますか?

益田 「Dig the Deep」というイベントタイトルは関が考えたんですけど、憧れの先輩たちを招いて真剣勝負する企画だと思っているので、韻シストさんともバトルしたいです。

TAROW-ONE 今ので完全に気が引き締まりました(笑)。

益田 ちょ……ボコボコにされる(笑)。

 先輩の胸を借りてがんばりたいです。

ツアー情報

Kroi Live Tour 2021-2022 "Dig the Deep"
  • 2021年11月27日(土) 福岡県 DRUM Be-1 <出演者> Kroi / どんぐりず
  • 2021年12月11日(土) 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO <出演者> Kroi / 韻シスト
  • 2021年12月16日(木) 北海道 札幌PENNY LANE24 <出演者> Kroi / CHAI
  • 2021年12月18日(土) 大阪府 梅田CLUB QUATTRO <出演者> Kroi / ニガミ17才
  • 2022年1月8日(土) 東京都 渋谷CLUB QUATTRO <出演者> Kroi / マハラージャン
  • 2022年1月9日(日) 東京都 渋谷CLUB QUATTRO <出演者> Kroi / 在日ファンク
Kroi(クロイ)
Kroi
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華した音楽性を提示する5人組バンド。2018年2月にInstagramを通じて結成し、同年10月に1stシングル「Suck a Lemmon」でデビューを果たす。2019年夏には「SUMMER SONIC 2019」に出演。同年12月に2ndシングル「Fire Brain」をリリースし、2020年5月に5曲入りの音源「hub」を発売した。2021年1月に6曲入りの新作「STRUCTURE DECK」をリリース。6月にはポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからメジャー1stアルバム「LENS」を発表した。11月には新作音源「nerd」をリリース。11月から2022年1月まで、さまざまなジャンルのゲストアクトを迎えた対バンツアー「Kroi Live Tour 2021-2022 "Dig the Deep"」を開催する。
韻シスト(インシスト)
韻シスト
1998年5月に結成されたバンド編成による生演奏ヒップホップグループ。大阪を中心にライブ活動を展開し、2001年に1stミニアルバム「ONE DAY」を発表する。その後「SUMMER SONIC」をはじめとするフェスやイベントに出演。2006年10月に自主レーベルから発売したアルバム「FONKY & LOVE」はヒップホップの枠を超え、多くの音楽ファンに支持された。数度のメンバー・チェンジを経て、現在のメンバーはサッコン(MC)、TAKU(G)、Shyoudog(B)、TAROW-ONE(Dr)の4人。2016年にはPUSHIMが主宰するレーベル・Groovillageに合流し、同年6月にアルバム「CLASSIX」を発表。2021年7月には最新ミニアルバム「HARVEST」をリリースした。

2021年12月1日更新