マクドナルドさんが「Tonight」に込めた思い
──切り抜き動画の中で、らみさんから「いつかマクドナルドさんが作った曲を歌いたいです」と言われたときに、マクドナルドさんは「勘弁してくれよ」と答えていましたよね。だけどそう言いながらギターを弾き始めた。そうして即興で作った曲が「Tonight ~月の下眠る君~」でした。
らむ らみはすごく喜んでいましたよ。まさかオリジナル曲をその場で作ってくれるとは思わなかったって。1回聴いただけで耳に残るようなメロディだから、あのあとずっと鼻歌で歌っていました。GBCのみんなと一緒に歌ったこともありましたね。
マクドナルドさん それは私知らないな。
らむ 曲ができて1年くらい経った今では、街の人たちも「Tonight」を歌っていて。らみにとっても、たぶんみんなにとっても、大切な曲になっていると思います。
マクドナルドさん 私はアーティストでもなんでもないわけですよ。だけど彼女は、私に歌を求めてくれた。プロではないから大したものは出せませんが、私はあの街に長くいるから、あの街で感じていることを言葉にすることはできます。「末長くあの街にいてほしい」「あんまり無理すんな」という気持ちをこの歌には込めていますね。
らむ さっきマクドナルドさんが「背負う」ということについて話してくれましたけど、確かにらみは、人のために動くのがけっこう好きなんですよ。
マクドナルドさん あの子がとてもがんばり屋さんなのは、私もよく知ってます。人のために何かをしてあげたいという気持ちがあるんだと話してくれたこともありましたし。だけどね、その時間を自分に使ってほしいと私は思うんですよ。人間の一生というのは、限られていますから。私のように永遠に生きられるわけじゃないのに、「誰かのために時間を使おう」なんて考えたらもったいないです。だから私はあの子に対して、来たいときに来て、歌いたいときに歌えばいいと思いますよ。
らむ らみはこの曲を聴いて「確かにな」と思うことがあったみたいで。ちゃんと自分に時間を使おうということで、1人で曲を作ることに挑戦していましたよ。
マクドナルドさん ああ、そうですか。あの子は曲を作らないと思ってた。
らむ 「Tonight」のアンサーソングだと言ってました。
マクドナルドさん その歌はアルバムに入ってるの?
らむ いや、アルバムには入ってないです。
マクドナルドさん 入れろ!
らむ (笑)。今後どこかで聴けるかもしれないです。
マクドナルドさん そのときは私にも聴かせてください。
らむ はい。ぜひお願いします。
昔話をするような感覚で
──マクドナルドさんが即興で作った「Tonight」はワンコーラスのみでしたが、アルバムにはフルバージョンが収録されていますね。
らむ マクドナルドさんのマネージャーのライトさんが、フルサイズに膨らませてくれました。
マクドナルドさん あれはヤツが勝手に作っただけ。私が作ったシンプルなものが一番いいんだ。
らむ (笑)。去年の10月4日に開催した私のバースデーライブで、ライトさんと一緒に「Tonight」を歌ったんですよ。ライブのリハ中に「もうちょっと長くしたい」とライトさんに相談したら、5分くらいでフルバージョンを作ってくださったんですよ。なので、らみはマクドナルドさんが即興で曲を作るところを、私はライトさんが曲を作るところを偶然近くで見させてもらっているんですよね。
マクドナルドさん 偶然ってのは重なるね。私も先ほど音源を聴かせていただきましたよ。らむさんは、かわいらしい声で歌うんですね。
らむ ふふふ。ありがとうございます。
マクドナルドさん なかなかよかったですよ。牧場の娘が歌ってるみたいでした。
らむ 牧場の娘(笑)。年齢や性別に関わらず、どんな人でも聴けるような優しい曲だなと思って。聴いている人の隣で昔話をするような感覚で歌いました。
──マクドナルドさん、らみさんにとって「Tonight」はどんな曲になりましたか?
マクドナルドさん 私にとってどんな曲か、ですか? 考えたことがなかったですね。私が何かを言ってしまったら、それが答えだと思ってしまう人もいるかもしれないでしょう。聴き手にいろいろと考えてもらうのがいいと思うんですよね。
らむ そうですね。
マクドナルドさん 答えを知ったあと、人はどうすると思いますか? 次の問題を解決しに行ってしまうでしょう。そして1週間後には忘れてしまうかもしれない。そうなってほしくないと私は思うんです。
──先ほどの話に通じますね。人々の心を沸かせて操るという。
マクドナルドさん そういうことです。人々の心をできる限り捉えておきたい。
らむ さっき言ったように、らみにとっては大切な曲になりましたけど、聴いてくれた人にとっても大切な曲になったらいいですよね。音源になって、これからもっとたくさんの人に届けられるのかと思うと、楽しみです。
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こはならむ ソロインタビュー