ナタリー PowerPush - 小林ゆう

女子萌え落語に挑戦&画伯グッズ化計画

微レ存微レ存妹百人萌え萌え祭り……

──それでは、「モエオチ!」に収められている演目についてそれぞれ収録順にお訊きします。まずは「微レ存 ~フルボッコの神降臨~」。これは落語になじみがない人でもおそらく耳にしたことがあるであろう「寿限無」の……カバーになります。

小林ゆう

そうですね! カバーなんです! カバーというとぴったりな気がします。

──これは原作同様、単純に大変ですよね。長台詞が。ちなみに今この場でも暗唱できますか?

言えますう。では、ちょっとやらせていただいてもよろしいですか?「微レ存微レ存妹百人萌え萌え祭り、ツンデレヤンデレのメイドコス水着コスブルマコス(中略)フルボッコの神降臨」でございます。

──おお、完璧ですね。新しい「寿限無」の誕生です(笑)。あまりに流暢な語り口に、落語に体する小林さんの本気を感じました。

ありがとうございます。8月5日に皆様の前で初お披露目させていただくときには、「本当に言えるのかな?」と皆様に心配をおかけしてしまうのではないかと思います。実際に言えるかどうかわかりませんが、そのような不安もまた「微レ存」の醍醐味ではないかと思いますので、皆様に応援をしていただきたいです!

──ファンの方も「寿限無」を覚える感覚でこれに挑戦するのは楽しいと思うんですよね。アキバの世界では落語の新たなスタンダードになり得るのではないかと。

皆様にもぜひいつか、高座で「微レ存微レ存~」とご一緒に言っていただきたいです。

──次が「死神」をモチーフにした「タヒネ申~彼女いない暦=享年」です。こちらはいわゆる「非モテ」を題材にしたカバーで。

「死神」は怪談噺ですので、こちらは夏にぴったりなのではないでしょうか。ちょっとひんやりしていただきたいという気持ちです。モテないことを思い詰めた主人公が、自分の命を懸けてでもモテを得たいという、人間の欲に迫っていますので、登場人物たちが最終的にどうなっていくのかを推理しながら聴いていただけたらと思っています。

ペットボトルが怖い

──そして先程お話に挙がったパーティチューン、「じゅうまん怖い~リア充野郎は逝ってよし~」です。

パーティチューンでちょっとお祭り騒ぎということで、皆様にもタオルなどを振り回しながら聴いていただきたいですね。

──フェスで一番盛り上がるやつですね(笑)。

そうなんです!

──ちなみに小林さんにとっての「怖いもの」は何ですか? 「まんじゅうこわい」にならった怖いものでも、また本当に怖いものでも。

小林ゆう

なんでしょう? 「まんじゅうこわい」的に申しますと豚ですね。

──生き物として?

そうなんですう。すごく大好きで、うちにぬいぐるみは100体くらい? ございます。でも本当に怖いものってなんでしょう?ペットボトルかなあ。

──ペットボトル!? それは、猫みたいな理由で?

にゃー!にゃあ!ニャイトだよお。

──えっ?

申し訳ありません。猫ちゃんは全然関係ないんです。私ペットボトルのお水を、少し前まで飲めなかったんですよ。飲むと溺れちゃうんです。

──溺れる?

そうなんです。溺れちゃって。静粛な場所でもバアーって噴きだしむせてしまって……。先輩方にも「大丈夫かしら」とか「吐いちゃって大丈夫かな」とご心配はかけるし、水浸しになるしでもう本当に大変。ご迷惑をおかけしてしまうので、事務所の方にレッスンをしていただいて。

──ペットボトルで水を飲むレッスン(笑)。

事務所の皆さまで何が悪いか話し合ってくださって、どうも手首の角度が良くないということがわかったんです。それで練習して、今ではだいぶスムーズになりました。感謝しております。炭酸のほうがまだ飲みやすいんです。それから、私はこう、飲むときに自分に水を与えてる気持ちだったんです。でも他の方々は「吸ってる」っておっしゃって。それで吸うというのを少し前に初めて知ったんです。

──自分の手が、自分に水を与えてるようなイメージだったと。

そうなんです。「飲みなさい!」って。

──なるほど(笑)。じゃあ今はもう克服したんですね。

克服しました!

マネージャー (やおらペットボトルを掴んだ小林を制止して)大丈夫です、今は持たなくて。

今は大丈夫になったんですけど、ちょっと気を抜くと角度を忘れちゃうので、気を付けようっていつも思っています。

○○型ロボットと銃声

──そして最後の「シー・バハマ~なんてったって地下アイドル~」ですが、これはナイスアレンジですね。アルバムの最後を締めくくる、長編のバラードのような。

私もお話いただいたときに「なんていいアレンジなんだろう」って本当にうれしかったです。私、家族のお話とかに弱くて。

──すごく泣けるんですけど、何かを隠すためのピー音というか、バキューン音が非常に邪魔と言えば邪魔な……。

すみませんでした……。

──まあ、このお話において重要なファクターですからね。未来から来た○○型ロボットは。声自体も、あの大御所声優さんを彷彿とさせる(笑)。

申し訳ありません。大変恐縮なのですが、尊敬の気持ちを込めて演じさせていただいております!

──現代のオタク文化とアイドル文化、地下アイドルを支えるファンの気持ちみたいなものが丁寧に描かれているので、現場ヲタの経験がある皆さんならたまらない気持ちになると思います。そういったアイドルへの愛もあれば家族愛もあり、愛にあふれた世界にひたすら銃声が鳴り続けるという(笑)、非常に凝った演目ですね。

ありがとうございます。ファンのみなさんが応援してくださるから、私みたいなものもこうやってお仕事させていただけているので、そういう感謝の気持ちも込めまして。この人情噺には色々な形の愛情が入ってるなと思います。

落語CD「モエオチ!」2012年8月1日発売 1890円 徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-73779

収録曲
  1. 微レ存 ~フルボッコの神降臨~(寿限無)
  2. タヒネ申~彼いない暦=享年~(死神)
  3. じゅうまん怖い ~リア充野郎は逝ってよし~(まんじゅう怖い)
  4. シー・バハマ ~なんてったって地下アイドル~(芝浜)
小林ゆう(こばやしゆう)

2012年5月発売「アニメージュ」にて、読者投票第3位を獲得した人気声優。2009年に「まりあ†ほりっく」のネ氏堂鞠也(しどうまりや)役でブレイク。現在はNHK総合テレビで放送中のTVアニメ「銀河へキックオフ!!」主人公・太田翔役を担当中。元気な少年から可憐な少女、外人、変態、正体不明の宇宙人まで幅広い役をこなす実力派。現在もファッション誌「KERA」モデルにて活躍中という異色の経歴を持ち、抜群のルックスで2冊の写真集(DVD付)を発売している。