ナタリー PowerPush - knotlamp
試練を乗り越え完成した意欲作次へと向かう“懸け橋”に
新境地を開いたダンスチューン「New dawn」
──今作を作るにあたって、リスナーとして直接刺激を受けたアーティストはいますか?
今年に入って、ビルボードの音楽チャートをすごくチェックするようになったんですよ。移動の車でもチャートで気になったものを聴いたり、メンバー同士で「コレ、面白いよ」って言い合ったり、そういうことはしてますね。「Holy moments」は、僕はKLAXONSってバンドが好きで、僕の中では思いっきりそれです(笑)。
──そういうの、いいですよね、音楽ファンって感じで。個人的にまず最初に強く印象に残ったのは、1曲目の「Blaze drops」です。ストレートでポップなんだけど、実は展開が多いし、アイディアがふんだんに詰め込まれてますよね。
これは最初から構成を決めていたわけじゃなく、ワンコーラスだけあって、そこからどんどん広げていった曲です。
──3曲目の「Oblivion color」で日本語のパートが出てくるのは?
これはメロディに日本語が合いそうだと思ったんで、じゃあ日本語にしようっていう。それだけです(笑)。
──「New dawn」はこれまでのknotlampにはなかった新機軸のダンスチューンですね。
今までになかったタイプですね。これは元々knotlampではやらないつもりで作った曲なんです。僕は作曲家としていろんな人に自分が書いた曲を歌ってほしい気持ちがあるし、「ほかの人が歌ったら自分の曲はどうなるのか?」って好奇心もある。この曲はそういう感じで自分の楽しみとして作った曲で、knotlampではやれないかなって思ってたんです。でも、逆にこれをやるのが今のknotlampなんだと。これを入れることによって新たな境地が開けるんじゃないかって思ったんです。だからちょっと浮いてるかもしれませんけど。
──いや、意外だと思ったけど浮いてませんよ。新たな挑戦も多いバラエティ豊かな内容ですが、バラけた感じではないんですよね。シュッと端正にまとまったミニアルバムだなと感じました。
あー、そうだとしたら、いろんな曲調があってもひとつにまとめられたってことですね。そこまで意識はしてなかったんですが、長年やってるライブ感であったり、長年の経験によってのものだとしたら、とてもうれしいですね。
より強く響くように、自信を持って歌いたい
──歌詞に関してはどうでしょう? 何か意識したことはありますか?
やっぱり前向きな気持ちを持ちたい奴が作った歌詞だなって、みんな思ってくれるんじゃないかな。あと今作では、自分との対話ではなく、外側を向いてるって気はしますね。
──そうそう。視点が広くなっているように感じました。さっき「この作品は次への懸け橋」っておっしゃってましたけど、人と人との懸け橋、それがさらに広がって、人と時代の懸け橋を結んでいるようなニュアンスがあるというか。
あー、確かに視点は広がってますね。大きいところ、全体を見てる。前作までの歌詞は、自分自身を見つめ、自分の葛藤や戦ってる姿を見せて、それで誰かを勇気づけることができたらなって思ってたんですけど、今はもっと直接的に外に向かってる気がしますね。
──もちろん自分を見つめることは大事でしょうけど、なんだろう、「自分探しの季節は終わった」という感じもあるんでしょうか?
あ、そうかもしれないです。表現をするからには、その表現の土台となる人間的な部分はすごく重要で。人間的に素晴らしいから音楽も素晴らしくなると思っていて、だから自分を見つめることは大事だと思うんですが、今作ではちょっと大人になって自信もついたのか、直接人に訴えかけられるような歌詞になったんですね。なんというか、より強く響くように、自信を持って歌いたいって気持ちが出てきたのかもしれない。その分、自分の言葉には責任も持ちたいし。
──うん。ダンス的なサウンドとあいまって、そういうとこが、私が今作を端正だと思った理由かもしれないです。では、「Bridges We've Dreamed」を作り上げた今の感想を改めてお願いします。
やっぱり今作は、knotlampが持つ可能性やオリジナリティがもっと深い場所へ向かって行く懸け橋となる作品で、今後振り返ったときにすごく重要な意味を持つ、そういう作品になると思います。
──新たなスタートを踏み出した作品ですしね。
そうです。今、MAHIRO(G)がサポートで入ってくれてますけど、もうメンバーと言っていいぐらい、すごく音楽に対する考え方が近くて。バンドは今すごくいい状態なので、これからどう進んでいくか、自分たちでも楽しみなんですよ。次の作品は今サポートMAHIROと一緒に4人で録るはずなので、それに向けて、いいスタートが切れた作品になったと思います。この後のツアーもどうなるか、自分たちでも楽しみなので、みんなも楽しみにしてほしいです。絶対、笑顔になれるライブをやりますから。
knotlamp(のっとらんぷ)
2007年にLD&K Recordsより1stミニアルバム「Blind Side」をリリース。数多くのロックフェスやライブイベントに出演し、メロディアスな楽曲と強力なライブパフォーマンスで注目を集める。メロディックパンクシーンを牽引する存在としての期待が高まる中、2010年9月7日に2ndフルアルバム「Dot of the Galaxy」を発表。2011年8月の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011」ではWING TENT最終日のトリを務めた。2011年9月13日にミニアルバム「Bridges We've Dreamed」をリリース。ジャンルの枠に収まらない音楽性を獲得している。