音楽で怒りさえ乗りこなす

──今回のアルバムにも、そのすべてが注がれていて。特にリードトラックの「I still」は強烈ですよね！ 独特のミクスチャー感がさらに進化しているし、とにかくスピード感がすごくて。

w-shun　これは「Paint it Out!!!!」の次にできた曲なんですけど、こういうスタイルのバンドが鳴らしてない曲をやりたいと思って作ったんですよ。サウンド的には重いところもちゃんと出てるんですけど、とにかくスピード感を重視して。サビの直後に落とす部分を作って、そこからもう1回上がっていく構成も今までやったことがなかったし。その時期のバンドの体温がすごく出てると思うし、周りのスタッフも「これ、カッコいいね」っていう反応だったんですよね。

ナオミチ　うん。最初は「相当スピードが速いな」っていう印象でしたけど（笑）。

w-shun　そういう新しいチャレンジって、形になるまで時間がかかることが多いんですよ。でも、この曲はけっこうツルッと作れたというか。その感覚もすごくよくて。

──歌詞もかなり攻撃的ですが、そこにも現在のモードが反映してるんでしょうか？

w-shun　まあ、ムカついてたんでしょうね（笑）。今回は“怒り”にもちゃんとフォーカスを当てようと思ったんですよね、ただ楽しいってだけじゃなくて。イライラしていることもあるし、実際にそういう気持ちのときにこの曲の歌詞を書いてたので。そういう部分がないとリアリティは生まれないと思うし。

──単に楽しく盛り上がるだけではない、と。

w-shun　「Change」もそうですね。メロディ自体はポップだし、「輪になって楽しもうぜ」みたいな曲なんだけど、歌ってることはかなりイライラしてるっていう（笑）。そういう表裏一体な感じも自分だし……。怒りを怒りのまま出すのではなくて、音楽によって怒りさえ乗りこなして前に進みたいっていうことなんですけどね。そういう衝動を曲にしたくて。

──なるほど。怒りを含めたリアルな感情を表現していくことによって、葛藤や悩みが報われる瞬間が来るっていう……。

w-shun　はい。自分たちの曲を聴いて喜んでくれる人がいてくれるわけだし、ライブを通して肌で感じることによって「次に進もう」って思えるので。まだ見たことがない景色も山のようにありますからね。Zeppだったり、武道館だったり。

そこに広がる光景を見に行くツアー

──まずは4月から始まる全国ワンマンツアー「KNOCK OUT MONKEY TOUR 2014 "INPUT ∝ OUTPUT"」ですね。

亜太　新曲を実際にライブでやってみると、自分たちの想定とは違うリアクションが返ってくることもあって。それが新しい刺激になるし、その景色を見るっていうことにすごく意味があると思うんですよ。自分たちが音を届けにいくというより、そこに広がる光景を見に行くっていう感覚なんですよね。

ナオミチ　うん。もちろん、お客さんの記憶に残るライブはやらないといけないんですけど。

──アルバムの新曲をどう表現するかもポイントですよね。

dEnkA　それをずーっと考えてます（笑）。自分とw-shunで、どっちがどのフレーズを弾くかっていう打ち合わせも始めてます。

w-shun　僕が拒否してるところもあるんですけどね。「もうちょっとあとで考えよう」って（笑）。

──（笑）。「INPUT ∝ OUTPUT」がしっかりと身体に入れば、バンドのレベルもさらに上がっていくだろうし。

w-shun　そうですね。それに自分たちだけじゃなくて、スタッフを含めてチームとして進めているのもすごくいいんですよね。今回のワンマンツアーもスタッフ発信なんですよ。いろんなアイデアを出してくれて、それに対して俺らも「やってみようか」と応えるっていう。まあ、ときにはブーブー言いますけど（笑）、全員で踏み出してちょっとずつつかんでいくっていうのは大事だと思うんですよね。コケるときは全員でコケたらいいと思うし。みんなでワイワイ言いながら、真剣に作っていく雰囲気を大事にしたいんですよね、これからも。

I still

Paint it Out!!!!

Sunrise