ナタリー PowerPush - KNOCK OUT MONKEY
思いを吐き出せ! 暴れ猿、メジャーへ突撃
とにかくやりたいことを詰め込んでとんでもないものを
──では、シングルのタイトル曲「Paint it Out!!!!」の話を。この曲を作ったのはいつくらいですか?
w-shun 元になる曲ができたのは、2月くらいですね。そこからかなり時間をかけてアレンジしていって。ここまで時間をかけて練り上げたことって今までなかったんですよ。「これでいいんじゃないか?」っていうところまで仕上がっても、何回も「ホンマにこれでいいのか?」って考え直す作業を繰り返して。それはすごくいい経験になりましたね。
──メジャー1stシングルということもあるし、バンドの名刺代わりになる曲にしなくちゃいけないという気持ちもあったのでは?
w-shun うーん、そこまで気負った感じでもなかったんですけどね。今やりたいことを、一番いい形で出したいっていうだけで。「このサビに戻れば、絶対大丈夫」っていう確信もあったし。
亜太 うん。基盤になるデモは、自分たちの地元(神戸)のスタジオで録ったんですよ。マイクを1本立ててバーッとやっただけなんですけど、その時点で歌メロとかサビのベースラインとか、押さえどころはバシッと決まっていて。「このサビに帰っていければ、あとは何をやっても大丈夫だな」っていう自信はありましたね、そのときから。あとは遊び心を発揮しまくればいいっていう。
ナオミチ サビのフレーズもすごく好きだし、デモができたときから「これ、よくない? なんべんも聴いてしまうよな」って話してたんです。個人的にも「絶対にこれを完成させたい」って思ったし、最初のイメージを大事にしながら、しっかり形にしたいなって。
w-shun Aメロ、Bメロ、サビに関しては、初期の段階から全然イジってないんですよ。今までもそうだったんですけど、あんまり考えずにパッと出てきたものを信用したし、4人で楽しみながら出した音とか空気感が反映できてるんじゃないかなって。
亜太 その上で、周りの人たちの意見も聞いて、取り入れるところは取り入れて。
w-shun あと、とんでもないものを作りたかったんですよね。「なんだこれ?」って思われるような展開だったりとか、途中でボサノバを入れてみたりとか。とにかくやりたいことを詰め込んでいくっていう。
──間奏パート、ものすごい展開ですよね。豪快なギターソロの直後、いきなりアコースティックなボサノバが挿入されて。
ナオミチ ボッサを取り入れたのは初めてなんですけど、違うジャンルの音をいきなり入れるっていうアレンジはずっとやってましたからね。
w-shun スピード感のある曲の中に、いきなり違うものを放り込むってことですよね。
dEnkA ギターも好き勝手やってます(笑)。イントロ、サビ、間奏、エンディングが全部違うジャンルなんで。でも、ゴチャゴチャした感じにならずに、全体を通してストレートに聞こえるようになってると思う。
──ライブでの反応も楽しみですね。
w-shun そうっすね(笑)。もしかしたら最初は、口を開けてポカーンってなる人もいるかもしれないけど、そういう表情を見るのも楽しいんですよ。曲を覚えてくれたら、反応も変わってくるやろうし。
「ならば湧き出る感情をただ描き殴れ!」
──歌詞に関してはどうですか? 「ならば湧き出る感情をただ描き殴れ!」というフレーズが非常に印象的だったのですが、これもデモの段階からあったんですか?
w-shun いや、それはあとからですね。ただこの歌詞は一瞬で書き上げたんですよ。自分が言いたいことと楽曲がしっかりリンクしてたし、テーマもすぐに思い付いて。あとはもう、思っていることをそのまま書いた感じというか……なんて言うか、思ってることを吐き出すっていうのは大事なことだと思うんですよね。それはモヤモヤした気持ちかもしれないし、ポジティブな心情かもしれないけど、それをとりあえず出すっていう。
──思いをカタチにする、表現するということ?
w-shun そうですね。自分たちにとっては音楽ですけど、絵描きさんだったら「どういうテーマで絵を描くか」っていうのが思いを吐き出す場所になってるんじゃないかなって。なんでもいいと思うんですよ。言葉にしてもいいし、ライブで発散してもいいだろうし。そういう行為によって心が軽くなるというか、「自分はこんなふうに考えてるのか」って知ることにもつながると思うんですよね。そこから何か新しい発見、新しい考えが浮かんでくることもあるんじゃないかな、と。
──思いを吐き出さず、自分の内側にため込んでる人も多いですからね。東京の電車の中が殺伐としてるのも、そのせいかも。
w-shun (笑)。日本人って、そういう体質かもしれないですよね。さっき昼メシを食いに行ったんですけど、みんなすげえ速さで食べてて。「え、こんなスピードで生きてるんや?」ってビックリしたんですよ。そのぶん、ストレスもたまってるんやないかなって。自分らのライブやCDが、そういうものを吐き出すきっかけになってくれたらいいですよね。
──メンバーにとっても、バンドが感情を吐き出すためのツールになってるんですか?
ナオミチ 少なからずあると思いますね、それは。お客さんに向けてストレスを発散するのはよくないですけど、バンドをやっていることが生きがいになってる部分はあるので。
w-shun ライブが月に1本もないときなんて、「どうしよう」ってなるよな。
ナオミチ 不安になるな(笑)。
w-shun 曲を作っていれば問題ないんですけどね。そっちにモヤモヤした気持ちを注げばいいだけの話なんで。そういう時期のリハーサルって、ライブみたいな雰囲気になるんですよ。スタジオの中で4人が向かい合って、「おりゃー!!」って。
CD収録曲
- Paint it Out!!!!
- CRASH
DVD収録内容
Live at 2013.05.23 Shibuya O-WEST「reality & liberty」Tour -Final-
- Scream & Shout
- Blazin'
- Gun shot
- 実りある日々
- Bring it back
- TODAY
- realize
- Neverland
- Primal
- BREAK
- HOPE
- JET
- Climber
KNOCK OUT MONKEY(のっくあうともんきー)
神戸で結成されたw-shun(Vo, G)、dEnkA(G)、亜太(B)、ナオミチ(Dr)からなる4人組バンド。ラウドロック、レゲエ、ヒップホップ、メタル、エモといったさまざまなジャンルの要素を取り入れたキャッチーなサウンドと、感情むき出しに咆哮するボーカルが魅力。精力的にリリースを重ね、じわじわとロックファンの注目を集める。2012年にはアンドリューW.K.の来日公演でサポートアクトを務めたほか、「SUMMER SONIC」をはじめ数々の大型フェスに出演し、その名を広く知らしめた。2013年3月にミニアルバム「reality & liberty」をリリースし、同年10月2日に1stシングル「Paint it Out!!!!」でビーイングよりメジャーデビューを果たす。