映画「爪先の宇宙」で主演を演じて
──桐嶋さんはこのタイミングで音楽表現と芝居の表現にさまざまな違いを感じたと思います。
桐嶋 違いましたね。素人考えでは、役者さんが歌を歌ったり、その逆で歌を歌っている人が役者さんをやったりするのって不思議なことではないと思っていました。私自身、歌を歌うことに関して歌詞を自分のものにしていく過程は、役者さんと遠からずの部分があるんだろうなって。でも実際は遠かったですね(笑)。すごく難しかったです。想像以上にコミュニケーションの世界だったし、相手の役者さんがどういうトーンでどんなセリフを言うかによって自分のスタンスが決まっていくところもあって。例えば原作では亜紀ちゃんが泣いてしまうシーンでも、映画では相手がそんなに強いトーンでセリフを言ってなかったら、そこで泣いても不自然だろうし。コミュニケーションのバランスはすごく難しかったし、私がやっている音楽ではあまりない現象だなと思いましたね。例えばジャズだったら、もっと会話の世界だと思うんですけど。
──ああ、インプロビゼーションの要素が強くて。
桐嶋 そうそう。インプロに近いと思うんですよね。でも、私がやっている音楽ではそういう要素は高くないので。その違いを感じられたことが自分の中で新しい経験だったし、すごく面白かったです。
共鳴し合う3人のこれから
──最後に、このプロジェクトは今後も継続していくと考えていいんですか?
小林 この2人でやっていったらいいじゃん!
ryo 他人ごとじゃないですか(笑)。
小林 でも、ほんとにこれで終わるのはもったいないから。
ryo それは自分も思います。桐嶋さんと一緒にやっていてすごく楽しいから。
桐嶋 うん、楽しいですよね。
ryo そういう現場ってなかなかないので、このまま続けたいなって。
小林 ノドカが新しく表現者としてつかみかけているものがあると思うから。それは芝居を経験したことも影響しているのかもしれない。
桐嶋 そうですね。
小林 それはノドカの表現者としての弾力だと言っていいと思う。キャパシティはもっとある気がするんだよね。客観的に見てもryoくんとノドカがこれだけ入れ込んで曲を作って、最終的には一筆書きのような勢いを伴った曲になっているのが面白いし、これからもっとこの2人が組むポップスの可能性をいろんなやり方で示していけばいいと思うんだよね。俺はポップスっていろんな要素を闇鍋のように吸収できるものだと思っているから。とにかく、これだけ音楽に対する熱量のあるポップスが生まれることはとてもいいことだと思う。
桐嶋 今年はほんとに新しい経験をたくさんしました。「Reborn-Art Festival」でオオヤユウスケ(Polaris / SPENCER)さん、Salyuさん、佐藤千亜妃(きのこ帝国)さんと「post rock opera」(「四次元の賢治 -第1幕-」)という舞台にチャレンジしたり。このシングルも映画もそうだし、私の中で表現することの意味を新たに発見したと言うか……歌が私の命の燃料になることはわかっていたけど、「なんなんだ、これは!?」と思って。ホントの意味で「表現をしながら息をする」ってどういうことなのかが、わかりかけている感覚があるんです。ryoさんとももっといろいろやっていきたいですね。
- 桐嶋ノドカ「言葉にしたくてできない言葉を」
- 2017年11月22日発売 / KING RECORDS
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TYPE-A [CD+Blu-ray]
1944円 / KIZM-509~10 -
TYPE-B [CD]
1296円 / KICM-1816
- CD収録曲
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- 言葉にしたくてできない言葉を(映画「爪先の宇宙」主題歌) [作詞・作曲:ryo (supercell) / 編曲:小林武史、ryo (supercell)]
- 夜を歩いて(映画「爪先の宇宙」挿入歌) [作詞:桐嶋ノドカ / 作曲・編曲:ryo (supercell)]
- How do you feel about me ? [作詞・作曲・編曲:ryo (supercell)]
TYPE-Bにのみ収録
- 言葉にしたくてできない言葉を -桐嶋ノドカ×小林武史 Studio Session- [作詞・作曲:ryo (supercell) / 編曲:小林武史]
- TYPE-A Blu-ray収録内容
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- 「言葉にしたくてできない言葉を」Music Video
- 「言葉にしたくてできない言葉を」Making of Music Video
- 桐嶋ノドカ×爪先の宇宙 Collaboration Movie
- 「言葉にしたくてできない言葉を」「夜を歩いて」「How do you feel about me ?
- 「桐嶋ノドカ × こゑだ SPECIAL LIVE」
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- 2018年1月25日(木)東京都 UNIT
<出演者> 桐嶋ノドカ / こゑだ
- 2018年1月25日(木)東京都 UNIT
- 桐嶋ノドカ(キリシマノドカ)
- 1991年生まれ、神奈川・横浜出身のシンガーソングライター。3歳でピアノを習い始め、聖歌隊や合唱部などに参加するなど幼少期から音楽に触れて育つ。2012年に音楽プロデューサー・小林武史と出会い、楽曲制作をスタートさせる。2014年に配信シングル「Wahの歌」がドラマ「ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~」の主題歌に採用され、2015年7月には1stミニアルバム「round voice」でメジャーデビューを果たした。同年「GIRLS’ FACTORY 15」「情熱大陸ライブ」「SWEET LOVE SHOWER」などの大型ライブイベント、音楽フェスに出演し、11月に映画「流れ星が消えないうちに」の挿入歌「柔らかな物体」を配信リリース。2016年には「Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016」に出演した。2017年7月にキングレコードへの移籍を発表し、11月に小林武史とryo (supercell)の共同プロデュースによる1stシングル「言葉にしたくてできない言葉を」をリリース。同シングルのタイトル曲を主題歌に採用した映画「爪先の宇宙」では自身初の主演女優を務め、銀幕デビューを果たしている。
- 小林武史(コバヤシタケシ)
- 音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.ChildrenやSalyu、back numberといった数多くのアーティストのプロデュースを手がける。「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」といった映画音楽も担当し、2010年公開の映画「BANDAGE(バンデイジ)」では監督も務めた。2003年、坂本龍一、櫻井和寿(Mr.Children)と共に一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざまな活動を行っている。「Reborn-Art Festival」では、実行委員長、制作委員長を務める。
- supercell(スーパーセル)
- コンポーザーのryoと複数のイラストレーター、デザイナーによって構成されたユニット。VOCALOID「初音ミク」が歌唱するオリジナル曲をニコニコ動画にアップしたことから人気に火がつき、ニコニコ動画での楽曲の総再生回数は2000万回以上を記録する。その人気はインターネットを通じて爆発的に広がり、2009年3月に待望のメジャーデビューを果たす。1stアルバム「supercell」のセールスは10万枚を超え、翌年の「第24回日本ゴールドディスク大賞」にて「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」を受賞した。続く1stシングル「君の知らない物語」からはゲストボーカルにnagiを迎える。「君の知らない物語」はアニメ「化物語」の主題歌に選ばれ、大きなヒットを記録した。2011年3月には2年ぶりとなる2ndアルバム「Today Is A Beautiful Day」をリリースし、オリコン週間ランキングで3位を獲得。その後、新ボーカリストを募集するオーディションを実施し、2000人を超える応募者の中から福岡県出身のこゑだを選出。2012年12月にアニメ映画「ねらわれた学園」のオープニングテーマとなるシングル「銀色飛行船」をリリース。2013年3月にテレビアニメ「マギ」のエンディングテーマを含むニューシングル「The Bravery」を発表した。