音楽ナタリー PowerPush - 筋肉少女帯人間椅子

平均年齢49歳の“新人バンド”デビュー

ともに1980年代に活動をスタートし、メタルサウンドに乗せて心の闇を歌い続けてきた筋肉少女帯と人間椅子。この2組のメンバーが全員参加した、総勢7人組のロックバンド「筋肉少女帯人間椅子」が結成された。

今回音楽ナタリーでは彼らのデビューシングル「地獄のアロハ」がリリースされたことを記念し、7人全員に集まってもらってのインタビューを実施。バンド結成の経緯やデビュー作の制作エピソードなどについてたっぷり語ってもらった。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 上山陽介

 
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音楽性はバラバラだけど、子供の頃に観てたテレビ番組は一緒

──音楽ナタリーでは2013年8月にオーケンさんと和嶋さんの対談企画(参照:人間椅子「萬燈籠」発売記念、和嶋慎治×大槻ケンヂ対談)をやっていて、お2人のそれまでの付き合いについてはそこで聞いているんですが、ほかの皆さんも昔から交流があったんですよね?

左から大槻ケンヂ(Vo / 筋肉少女帯)、ナカジマノブ(Dr / 人間椅子)。

大槻ケンヂ(Vo) ノブくんとはドミンゴスのライブで初めて会ったんだよね。

ナカジマノブ(Dr) はい。Shibuya O-EAST(現TSUTAYA O-EAST)のワンマンにゲストとして出てもらったんですよね。水戸華之介さんと原口あきまささんと大槻くんが出てくれて。で、特撮の「アベルカイン」をドミンゴスでやったんですよ。大槻くんとちゃんと話したのはそれが最初。たぶん2001年くらい。

内田雄一郎(B) つい最近だねえ。

橘高文彦(G) 14年前だよ!(笑)

ナカジマ 内田さんともドミンゴスの頃からですね。

内田 そうですね。水戸華之介&3-10 chainで一緒にツアーやってた。

ナカジマ でも本城さんと橘高さんは3年前に人間椅子で対バンしたときが初めてなんですよね、ちゃんとしゃべったのって。

橘高 ノブくんとは大阪で対バンする前の晩に、コンビニでばったり会ったよね。そのとき俺まだノブくんのことちゃんと把握できてなかったのもあって、急に「明日はよろしくお願いいたします!」って声かけられてドキッとした。ファンに見られないように隠れて買い物してたから「わあっ! 見つかった!」って(笑)。

本城聡章(G) 昔から「筋少と人間椅子はデビューの頃から仲がいい」って言ってるんですけど、僕はあんまり話をしたことがなかったんです。大阪で対バンやったときも実はすごく緊張してて。ノブくんは声をかけやすい雰囲気だったけど、研ちゃんとワジーはどう話していいのかわからなくてドキドキしてた(笑)。

鈴木研一(B, Vo) あ、そうだったの?

本城 だからコラボシングルの話が出たときも「どうしよう、どうしよう」と思ってた。今回のレコーディングでの一番の収穫は「研ちゃん」「ワジー」って呼べるようになったことですね(笑)。

橘高 よかった、それもうマブダチだよ!(笑)

鈴木 僕が最初に筋少の人たちと会話したのは「筋少ちゃん祭り」かな?

橘高 筋少が日清パワーステーションで昔やってたイベントです。そこでメンバーそれぞれがプロデュースして出し物をする企画があって、内田くんは人間椅子にゲストに来てもらって“筋肉椅子”みたいな感じでライブをやったんです。

内田 僕は人間椅子に加入したかったので。

橘高 筋少を辞めたかったんだ(笑)。

内田 「だったら一緒にバンドを作っちまえ」と思って。人間椅子にすごいシンパシーを感じていたんですよ。しかも実際お2人と会話してたら、旧知の友達のような雰囲気を醸し出してたし(笑)。

和嶋慎治(G, Vo) 俺、10年以上前に内田くん家に何度も遊びに行きましたよ。なんでそんなに親友のように通ってたんだろうな俺は(笑)。

本城 内田から長いことワジーの話を聞かされてたから、ものすごくワジーのことを詳しく知ってるような気持ちになってたんだけど、俺は実はしゃべったことなかったっていう(笑)。

橘高 この7人のうち5人が同学年なんですよ。で、本城くんが1個上でノブくんが1個下なのかな。子供の頃に観てたテレビ番組とか、聴いてた音楽とかが共通してるから話が早いっていうのはありますね。みんな小学生のときにドリフを観て、Kissの初来日を体験したから。そもそも筋少自体も、音楽的ルーツは全員バラバラだけど育った環境が一緒、っていうバンドだしね。

──ああ、そうですよね。

橘高 人間椅子と筋少は、ミュージシャンとしてのタイプはけっこう違うんですよ。ワジーは60~70年代テイストのギターを弾くけど、俺は80~90年代的なプレイを全面に押し出すし。なのに話すと同級生みたいなトークになるっていう(笑)。

和嶋 ドリフターズは会話のキーワードになってるね。例え話をするときにけっこう「ドリフのアレみたいな」って言ってる気がする(笑)。

対バンで「みんなはこれを待ってたんだ!」って気付いた

──そんな2組が今回こうやって合体バンドを結成した経緯は?

筋肉少女帯人間椅子

橘高 もともと俺は「人間椅子とコラボバンドができたら楽しいよね」って冗談っぽく言ってたんだけど、スタジオ盤を作るなんてありえないと思ってたんだよ。で、筋少が今年シングルを出すって話になったとき、その話をふと思い出して「普通にシングル作るよりもなんか面白いことやりたいよね。例えば前に言ったみたいに、人間椅子とスタジオに入るのはどうかな?」って言ったら、筋少チームがすごく盛り上がって。とりあえず聞くだけ聞いてみようかって、代表して内田に電話してもらったら……。

内田 “1つ返事”でOK。あれは2つ返事じゃなくて1つ返事だった。

橘高 あとから考えてみたら人間椅子はレーベルも同じ徳間だったんだよね。でもきっと、レーベルが違っててもやってただろうな。

大槻 あと、何年か前から筋少はフェスに出させてもらえるようになったんだけど、4~5回くらい出してもらったら「なんか普通に出ても面白くないかも」って思えてきて。ちょうど椅子との対バンでみんなでセッションして盛り上がった後だったから、ああいうものをフェスでできないかなって思ってたの。

橘高 それ言ってたね。

大槻 そのときは諸問題があるから無理だろうってことで却下したんですよ。でも普段と違う見せ方をしたくて、2012年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は「筋肉少女帯の大予言」っていうバンド名で出たんです。

橘高 そうそう、せめて名前を変えようと。でも別にやってること一緒だから、観に来た人も結局よくわかんないままで、煙に巻いて終わるっていうね(笑)。

──「筋肉少女帯の大予言」はそういうことだったんですか(笑)。

橘高 ロックフェスって90年代からあって、筋少もジュンスカ(JUN SKY WALKER(S))やX(現X JAPAN)とかと一緒によく出てたんです。でも今みたいな対バンって当時あんまりなかったんだよね。「筋少ちゃん祭り」みたいに自分たちのイベントにゲストで出てもらうことはあっても、「ワンマンで客を集められる人たちが2組で一緒にやるなんてありえない」って考え方だったから。で、筋少は人間椅子さんみたいにずーっと活動してた訳じゃなくて、途中に1度“凍結”という時期がありました。そして我々が“解凍”したら、世の中は対バンライブが当たり前の時代になってたんです。

大槻 「じゃあ筋少もいろんなバンドと対バンをしよう」ってことになって、イベンターなんかも交えて話し合いをしたんですよ。そこでメンバー各自「あのバンドとやりたいです」ってお願いすると、ことごとくイベンターに断られる!

橘高 わはは(笑)。

大槻 何か大人の事情とかもあるのかなあ。某バンドなんか20回ぐらい名前出してんだけど毎回イベンターから「いやー……」って返事されてましたよ(笑)。そんな中で人間椅子の名前を出したら、満場一致で「それはいい!」っていう話になって。

橘高 それまで、対バンっていうのは意外性のある組み合わせが重要だと思ってたんです。我々も異ジャンルと交流したかったし。そういう意味で、人間椅子は筋少と近すぎると思って名前が挙がらなかったの。ファン層も被ってそうだし、広がりがないんじゃないかって。でも実際にやってみたらほかの対バンと比べても一番反響が大きくて、チケットも瞬殺でした。そのときに「あ、みんなはこれを待ってたんだ!」って気付いて。だったら一緒にスタジオに入って新曲書いたらもっと面白いんじゃないかって、それが今回につながったんです。

──なるほど。

橘高 話題性のためだけの“ビジネスコラボ”って筋少としてはやるつもりはなかったし、そう取られるのは嫌だなと思うんだけど、まあ人間椅子と筋少じゃそう思われることもないよね(笑)。我々としてはただピュアに楽しもうっていう、お祭り的な気持ちなんです。

ニューシングル「地獄のアロハ」 / 2015年5月13日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
完全生産限定盤 [CD+DVD+Tシャツ+ブックレット] / 6458円 / TKCA-74221
通常盤 [CD+DVD] / 1944円 / TKCA-74225
CD収録曲
  1. 地獄のアロハ
  2. ダイナマイト(筋肉少女帯Version)
  3. 少年、グリグリメガネを拾う(人間椅子Version)
  4. 地獄のアロハ(Heavenly Version)
  5. 地獄のアロハ <KARAOKE>
  6. ダイナマイト(筋肉少女帯 Version)<KARAOKE>
  7. 少年、グリグリメガネを拾う(人間椅子 Version)<KARAOKE>
  8. 地獄のアロハ(Heavenly Version)<KARAOKE>
DVD収録内容
  • 地獄のアロハ(Heavenly Version)MUSIC VIDEO
  • 2012年5月19日 @赤坂BLITZ「地獄の決定打!筋肉少女帯 VS 人間椅子 VS 人間筋肉少女椅子帯」LIVE記録映像より
    1. 君は千手観音
    2. 僕の宗教へようこそ
    3. りんごの泪
    4. 釈迦
完全生産限定盤・通常盤(初回プレス分)封入特典

筋肉少女帯人間椅子メンバーコラボトレカ(1枚ランダム封入・全13種)

筋肉少女帯人間椅子ライブ
2015年6月7日(日)東京都 渋谷公会堂
OPEN 16:45 / START 17:30
料金:6800円(全席指定)
<出演者>
筋肉少女帯人間椅子 / 筋肉少女帯 / 人間椅子
筋肉少女帯(キンニクショウジョタイ)

筋肉少女帯

1982年に中学の同級生だった大槻ケンヂ(Vo)と内田雄一郎(B)によって結成。インディーズでの活動を経て、1988年にアルバム「仏陀L」にてメジャーデビューを果たす。1989年に橘高文彦(G)と本城聡章(G)が加入し、「日本印度化計画」「これでいいのだ」「踊るダメ人間」などの名曲を発表。特に「元祖高木ブー伝説」はチャートトップ10入りを記録し、大きな話題に。大槻による不条理&幻想的な詩世界とテクニカルなメタルサウンドが好評を博すものの、1998年7月のライブをもって活動を“凍結”。各メンバーのソロ活動を経て、2006年末に大槻・内田・橘高・本城の4人で活動再開を果たす。2007年9月には約10年ぶりのオリジナルアルバム「新人」をリリース。東京・日本武道館公演や「FUJI ROCK FESTIVAL」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」といった大型イベントへの出演など、精力的なライブ活動を展開する。2013年にはメジャーデビュー25周年を記念したセルフカバーベストアルバム「公式セルフカバーベスト 4半世紀」、2014年には4年4カ月ぶりのオリジナルアルバム「THE SHOW MUST GO ON」をリリース。2015年5月には人間椅子とコラボバンド「筋肉少女帯人間椅子」でシングル「地獄のアロハ」を発表した。

人間椅子(ニンゲンイス)

人間椅子

和嶋慎治(G, Vo)、鈴木研一(B, Vo)、ナカジマノブ(Dr, Vo)による3ピースバンド。1989年に出演したTBSテレビ系「平成名物TV イカすバンド天国」で高い評価を獲得し、1990年7月にメルダックより「人間失格」でメジャーデビューを果たす。その後インディーズでの活動や、ドラマーの交代などを経ながらも、コンスタントにライブやリリースを重ねていく。Black Sabbath風のハードロックと地元・青森の津軽民謡を掛け合わせた独自のサウンドや、江戸川乱歩などに影響を受けた文学的な歌詞、確かなテクニックに裏打ちされたライブパフォーマンスで、音楽ファンの厚い支持を集め続けている。2012年、ももいろクローバーZのシングル「サラバ、愛しき悲しみたちよ」に収録された「黒い週末」に和嶋がギターで参加したことが話題に。2013年にはオジー・オズボーンのオーガナイズにより千葉・幕張メッセで開催されたロックフェス「OZZFEST JAPAN 2013」に出演し、そこでのパフォーマンスが大きな評判を呼ぶ。また2014年には、ふんどしの普及に貢献した著名人を表彰する「BEST FUNDOSHIST AWARD 2013」を受賞。同年6月にオリジナルアルバム「無頼豊饒」、12月にベストアルバム「現世は夢~25周年記念ベストアルバム~」をリリースし、2015年1月に約23年ぶりとなる東京・渋谷公会堂でのワンマンライブを成功させた。同年、筋肉少女帯とコラボバンド「筋肉少女帯人間椅子」を結成し、シングル「地獄のアロハ」を発表した。