音楽ナタリー Power Push - KiNGONS
6年ぶりの全国流通盤でさらなる飛躍を目指す
フットサルで培った脚力がライブの魅力
──KiNGONSはこの8年、とにかくライブを中心にした活動をしてきましたよね。
BeeBee そうですね。以前やってたバンドでは栃木県を出たことがほぼなかったので、KiNGONSでは県外に出てとにかくライブをやろうと思っていて。最初の1、2年くらいは道場破りみたいなことばっかしてましたね。ライブハウスごとにプッシュされている人気バンドがいるので、そのバンドと対等に対バンできるようになったらもうそのライブハウスには出ないっていう。1つのライブハウスに浸っててもバンドとしての未来はないと思っていたので、どんどん飛び出してしていろんなところでやっていくべきだなと。
kjmonmon で、2010年に「WONDERFUL GIRL」と「POP OF THE WORLD」という2枚のCDを出して、初の全国ツアーをやったんですよ。そのあとには九州ツアーがあって。
BeeBee その頃からはもうスケジュールがガンガン入って、年間150本くらいライブしてましたね。今でも100本くらいは超えますけど、その当時が一番やってたんじゃないかな。
HANDA 多いときは170本くらいやってましたからねえ。
──さまざまなライブハウスやイベントにブッキングされ多くの観客を圧倒するKiNGONSのライブには、どんな魅力があると、ご自身たちでは分析しますか?
BeeBee やはりフットサルで培った脚力を元に生み出すエンタテインメントとでも言いますか、ステージでのわれわれの動きが味なんじゃないですかね。ただ演奏するだけではなく、体を使っていろんな表現をするっていう。そこもディスガスの影響は受けてると思いますね。初めて観たディスガスのステージングがとんでもなく魅力的だったんで。「ギターってこんな弾き方できるんだ!?」みたいな。僕らもそれ以上のことをやろうっていう気持ちが強いですね。
HANDA 動きに関して相当こだわってますからね。スタジオに入っても「ここはあんまり足を開かないほうがいいかな」とか、動きについての細かい修正をしてます。僕はドラムなんで、後ろからほかのメンバーの動きやバランスはかなり見てます。
kjmonmon 海外でライブすると、ほとんどの人に「おまえはコカイン中毒者か?」って聞かれますからね(笑)。「ノーコカイン! 喘息のクスリだけ!」って答えますけど。
──あははは(笑)。それくらい尋常じゃない動きで演奏してると。
kjmonmon 中には僕がギター弾かずにダンスする曲もありますし。それもね、スタジオで新曲を合わせてたときに、「なんかギターがしっくりこない、ギターいらねえんじゃないか」って話になったんですよ。「え、じゃあ俺どうすればいいの?」って言ったら、「ダンスでいいでしょ!」って。なのでダンスを披露してます、フットサルで培った……。
HANDA 培わねえよ!(笑)
BeeBee いやいや、サッカーでゴール決めたらダンスするでしょ!
──パフォーマンスに関しても制約がないんですね。
BeeBee そうっすね。今回のアルバムの「EVERYTHING'S O.K」という曲では、社交ダンスを取り入れてますし。曲中に15~20秒くらいギターが休めるところがあるんで、そこでギターのネックを女性に見立てて踊るっていう(笑)。今まではレゲエダンス、ヒップホップダンスの激しい感じでしたけど、今回は色気のある感じで。
kjmonmon 大人の色気を見せますので、楽しみにしててください(笑)。
──NAKATAさんは今、非常に物静かな雰囲気ですけど、ステージに上がると豹変するんですよね。
NAKATA はい。どっちが本当の自分かわかんないです。本当の自分を探し中です。
BeeBee お、なんかカッコいい(笑)。
HANDA NAKATAさんもライブではかなりアグレッシブですよ。こないだのライブでは目の上を切って流血したりしてましたから。
BeeBee いやでも、それはライブが終わってベースを下ろすときにネックが当たって流血しただけだからね。ステージング関係ねえっていう(笑)。
HANDA さすがっすね(笑)。
NAKATA 本当の自分を探し中です。
ひさしぶりの全国流通盤に込めた願い
──今回リリースされた2ndアルバム「KiNGONS EXPO」は、全国流通盤としては約6年ぶりの作品となりますね。
BeeBee はい。この6年間は自主制作のCDを4枚くらい出して、それをライブ会場で売りながら全国を回ってたんですけど、ここにきてバンドとしてのさらなる広がりがほしくなったんです。全国流通盤でもっとたくさんの人に自分らの音楽を聴いてもらった上で、今までと変わらない活動をすることがバンドにとって何倍もの力になるんじゃないかなと思って、今回、全国流通盤を作りました。
HANDA 年間100本以上のライブをしていても、まだまだ行ったことのない場所ってたくさんあるんですよ。だったら今まで以上にがんばって、行けるところは全部行きたいっていう話をメンバー間でもよくしています。
──新作を聴かせていただいて、“日々の生活に悶々としている人や、心に闇を抱えている人たちへ光を与える存在になりたい”というKiNGONSとしての意志を感じました。そういった思いも、より広がりのある活動を求める理由になっているような気がするのですが。
kjmonmon 確かにそうですね。結成した当初はとにかくKiNGONSワールドを見てくれ!っていう感じでしたけど、活動していく中でお客さんとの共同体意識がどんどん強くなってきて。伝えたいことがとても多くなってきているんですよ。それは当然、歌詞にも影響していて。そこがこの6年間で大きく変わったところだと思います。
BeeBee 自分たちがライブハウスで輝いた存在でいることで、観に来てくれる人たちが1歩前に足を踏み出せたり、毎日をキラキラした思いで過ごせたり、人生を明るい方向に進めてくれたらいいなっていう思いをすべての楽曲に込めてます。
敬愛するDiSGUSTEENSからもらった「MY LIFE IS MINE」
──「KiNGONS EXPO」には多彩な14曲が収められていて、とにかく楽しめる仕上がりだと思いました。
BeeBee 自主制作でリリースしていた曲も含め、この6年間のベスト的な内容にもなってると思いますね。もちろん、このアルバムのために作った曲もありますし。
NAKATA 今回は全国流通ってことで、録音にしてもミックスにしてもいつも以上に入念に時間をかけましたね。
kjmonmon そうだね。ギターも曲ごとに全部音を変えるくらいこだわったし、曲によってはバッキングで5、6本ギター重ねてたりもします。そういう部分でも今まで以上にいい仕上がりになったと思います。
──ルーツであるDiSGUSTEENSのカバー「MY LIFE IS MINE」も収録されていますね。
BeeBee この曲は初めてディスガスのライブを観たときに好きになったんですけど、それ以来、まったくライブでやってくれないんですよ。で、最近ディスガスの方にその不満を言ったら、「俺らはもうやらないからKiNGONSにあげるよ」って言われて。なので今回アルバムに入れました。
──ということはもうカバーではないと。
kjmonmon そうなんですよ。うちらのオリジナルなんです(笑)。
BeeBee 作曲者がディスガスってだけで、もううちらの曲です!
──本作を引っ提げて、年末まで続く長いツアーもスタートしましたね。
kjmonmon はい。俺らにとって最大規模のツアーっすね。ツアー中には東京・CHELSEA HOTELで3カ月連続の自主企画もあって。そこではKiNGONSの過去、現在、未来を見せたいなと思ってます。その上でツアーファイナルをドカンと迎えたいなと。
──ファイナルはKiNGONSとしては初の東京・TSUTAYA O-WESTですね。
BeeBee とにかく今の野望はO-WEST公演を満員にすること。それを実現してさらに飛躍しないと。
kjmonmon そうだね。もっとがんばって世界ツアーもやりたいし。今までアメリカやヨーロッパには行ってるんですけど、ほかにもスペインとか韓国とか行ってみたい国がたくさんあるので、それをどんどん実現させていきたいです。
HANDA 国内に関しても、今までお世話になってきたライブハウスにもっと大きくなったKiNGONSを見せたいですね。ワンマンで全国を回るとか、どんどん規模を大きくして。
BeeBee 栃木のバンドシーンを盛り上げつつ、どんどん恩返ししていきましょう、いろんな人たちに!
──NAKATAさんの野望は?
NAKATA 特にありません。野望ありません。
HANDA ないんかい! それでこそNAKATAさんですけどね(笑)。
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収録曲
- DAYBREAK AGAIN
- KONOKOEWO
- P.O.P
- SUMMER PALETTE
- I DON'T WANNA STOP MY MUSIC
- THE EARTHQUAKE SONG
- ADDITIONAL
- 綺麗な世界を見落として
- MY LIFE IS MINE
- SHALL WE DANCE
- BYE BYE MY GIRL
- IN THE ROOM
- EVERYTHING'S O.K
- 煌めけ未来
KiNGONS(キンゴンズ)
栃木県宇都宮市在住のBeeBee(Vo, G)、kjmonmon(Vo, G)、NAKATA(B, Cho)、HANDA(Dr, Cho)からなるパンクバンド。全員サッカーが好きで、キング・カズ(三浦知良)とゴン中山(中山雅史)からバンド名を付けた。年間約150本のライブを行うほか、台湾やアメリカ、ヨーロッパ7カ国を回るツアーを実施するなど、国内外でライブを中心に活動をしている。2010年1月にミニアルバム「WONDERFUL GIRL」、同年10月に1stフルアルバム「POP OF THE WORLD」をI Hate Smoke Recordsからリリース。その後、自主制作でCDを作りライブを行うというスタイルで活動を続けていたが、2016年8月に6年ぶりの全国流通盤「KiNGONS EXPO」を発表した。