音楽ナタリー Power Push - KiNGONS
6年ぶりの全国流通盤でさらなる飛躍を目指す
栃木県宇都宮市を拠点に活動するKiNGONSが、2ndアルバム「KiNGONS EXPO」を8月3日にリリースした。
全国流通盤としては、2010年発表の1stアルバム「POP OF THE WORLD」以来、約6年ぶりとなる本作。収録される全14曲には、彼らの基盤であるポップパンクを独自に昇華した、まさに“万博=EXPO”のようなカラフルな世界が描かれている。
音楽ナタリー初登場となる今回は、バンドの生い立ちから、彼らの魅力であるライブへのこだわり、そして新作に込めた思いまで、メンバー4人にたっぷりと話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 小坂茂雄
フットサルの前の時間つぶしが結成のきっかけ
──今年で結成8周年を迎えたKiNGONSですが、この4人が集まった経緯から改めて伺えればなと。
BeeBee(Vo, G) もともと僕らはサッカーが好きで。一緒にフットサルをやっていたメンバーで結成したのがこのKiNGONSなんですよ。フットサルをやる前にいつも2時間くらい時間が空いてたので、スタジオに入ってみたのがきっかけで。
──皆さん、バンド経験はあったんですか?
NAKATA(B, Cho) 僕はほぼなかったです。ベースはやってましたけど。
HANDA(Dr, Cho) あとの3人はそれぞれバンド経験はあったけど、ちょうど活動してない時期だったんですよね。
BeeBee で、スタジオに入ってはみたんですけどボーカルがいなかったんで、カラオケで75点くらい出せるっていうNAKATAに最初は歌ってもらっていて。そしたらね、音痴ではないんだけど、歌から感情がまったく感じられなかったんですよね(笑)。で、これはちょっと違うなということになり、一番年上っていうだけで僕がボーカルをやることになりました。その流れでフットサルでも僕がキャプテンになりました。
HANDA それはあんま関係ないんじゃねえか(笑)。
kjmonmon(Vo, G) バンドはそんな感じで始まったんですけど、最初はフットサルの前にやる趣味的な意味合いが大きかったよね。
BeeBee そうだね。バンド名も僕が大好きなサッカーの2トップ、キング・カズ(三浦知良)とゴン中山(中山雅史)から取ってますし、とにかくサッカーが第1。でも、何度もスタジオに入るうちに、フットサルのコートを予約しなくなるくらいバンドに熱中し出しまして。
──そこにはこの4人で音を出すことの面白さがあったわけですね。
kjmonmon そうですね。自分とボーカル(BeeBee)はKiNGONSの前に一緒にバンドをやってたんですけど、そのバンドはいわゆる“ラモーンパンク”をやっていたんで、3コード以外は使わないとかメロコアみたいなリズムは使わないとかいろんな制限があって。それが徐々に窮屈になってきちゃってたんですよ。そんなときにKiNGONSが生まれて、そこではとにかく自由に、のびのびといろんなことができるようになったからそれがすごく楽しくて。
BeeBee 一緒にフットサルもやってた4人なんでチームワークもありましたから。スタジオで音を合わせるのも移動の車内もライブも全部が楽しいっていう。これはいいチームだなと思いました。
高校生のときに観たDiSGUSTEENSに衝撃
──KiNGONSとして鳴らす音としてはどんなものをイメージしていましたか?
kjmonmon 自由にやるっていうことは大前提なんですけど、その上でポップパンクを基盤にしつつ、メロディアスな曲をやりたいと。あとは、前のバンドが全部英語だったんで、日本語の曲もやりたいなとは思ってましたね。
BeeBee ポップパンクというジャンル自体を敬愛してますけど、一番大きく影響を受けてるのはDiSGUSTEENSっていう日本のバンドだと思います。高校生のときに宇都宮のライブハウスで初めてディスガスを観て衝撃を受けたんですよ。なので、彼らのポップパンクを受け継ぎつつ、それをもっともっと分厚いものとして今の若い子たち、音楽好きな子たちにKiNGONSとして響かせたいなっていう気持ちが結成当初からありますね。
──音楽的な嗜好やルーツは4人とも共通しているんですか?
BeeBee 大きく言うとmonmonと俺がRamonesで、NAKATAがSex Pistolsっていうルーツの違いはありますけど、好きな音楽は基本的に似てます。
HANDA 僕はポップパンクっていうものをKiNGONSやるまでは全然知らなかったので、今も勉強中です。
──何かのインタビューで、HANDAさんがモーニング娘。をルーツミュージックに挙げているのを読みました。
HANDA 出た、そのネタ(笑)。いや、小学生くらいのときにモー娘。がすごく流行ってたんで聴いてたってことなんですけど。
──あ、ネタなんですか。
BeeBee たまにDJでモーニング娘。の曲をぶち込んできたりするんで、やっぱ好きなんだなとは思います。
HANDA 好きですけどね。「LOVEマシーン」とかDJでかけますから。でも、メンバーにいろんな音楽を教えてもらうと「そっか、モー娘。だけじゃないんだな」とは思いますよね。世の中にはこんなにもいろんな音楽があるんだなって(笑)。
次のページ » フットサルで培った脚力がライブの魅力
収録曲
- DAYBREAK AGAIN
- KONOKOEWO
- P.O.P
- SUMMER PALETTE
- I DON'T WANNA STOP MY MUSIC
- THE EARTHQUAKE SONG
- ADDITIONAL
- 綺麗な世界を見落として
- MY LIFE IS MINE
- SHALL WE DANCE
- BYE BYE MY GIRL
- IN THE ROOM
- EVERYTHING'S O.K
- 煌めけ未来
KiNGONS(キンゴンズ)
栃木県宇都宮市在住のBeeBee(Vo, G)、kjmonmon(Vo, G)、NAKATA(B, Cho)、HANDA(Dr, Cho)からなるパンクバンド。全員サッカーが好きで、キング・カズ(三浦知良)とゴン中山(中山雅史)からバンド名を付けた。年間約150本のライブを行うほか、台湾やアメリカ、ヨーロッパ7カ国を回るツアーを実施するなど、国内外でライブを中心に活動をしている。2010年1月にミニアルバム「WONDERFUL GIRL」、同年10月に1stフルアルバム「POP OF THE WORLD」をI Hate Smoke Recordsからリリース。その後、自主制作でCDを作りライブを行うというスタイルで活動を続けていたが、2016年8月に6年ぶりの全国流通盤「KiNGONS EXPO」を発表した。