ナタリー PowerPush - ケツメイシ
初ソロ曲入り、夏先取りシングル「カリフォルニー」
タガログ語を取り入れ、強さと優しさを表現
──そして収録されたソロ曲のひとつとして、RYOさんは「スーパーマンになりたい」という王道なヒップホップチューンを完成させましたね。
RYO 曲のアイデアを練るためにいろいろ新しいものを聴かなくては、といつも思うんですけど、自分は90年代中盤の日本語ラップみたいなものが好きで、結局そういう感じになってしまいました(苦笑)。勢いで最初のラップから作っていったんですけど、サビが思い浮かばなくて大変でしたね。1人で曲を作る苦労を知りました。
──歌詞に関してはいかがですか?
RYO タガログ(フィリピン)語をリリックに入れたんですよ。これまでフィリピンパブに行ってカラオケをすると、同じ曲でシメてばかりいたんで、今年からは気分を変えようと思いまして(笑)。でも、いざ歌詞に入れようとすると、タガログって何種類も方言があって難しいんですよ。それでプロの翻訳家さんに頼んで、きちんとしたものに整えていただいたんです。ここは苦労しましたね。しかし苦労したにも関わらずカラオケ配信されないかもしれなくてスネています(笑)。もうソロなんてやんねえ!って。自分がパブのステージ上で歌っている姿は見えているのになあ……。
──歌詞は、大切な人を守り抜きたいという強さと優しさにあふれたものですね。
RYO 台風とかあったじゃないですか。向こう(フィリピン)で。いろいろ大変なんだなあ、と話を聞いて思ったので、少しでも助けになればという気持ちもありました。
懐かしさがこみ上げるアコースティックチューン
──一方大蔵さんは「久々に...」という、同窓会をテーマにしたアコースティックレゲエを制作されました。
大蔵 ソロ曲を入れるという話になって、全体の曲の流れや(リリースの)季節感を考えてみたところ、自分が当初思い浮かべていたものではハマらなくて作り直すことにしました。トラック候補は豊富にあって、その中にレゲエの懐かしい雰囲気のものがあったんです。これだったら季節にも合うし、最近やっていなかったトラックだったりするので、これ使ったら面白いものができるんじゃないかなと思いました。また、(今回のシングルに収録される)どの曲も「懐かしい」という言葉が上がっていたので、同窓会が思い浮かんだんです。つい最近、同窓会に行ったばかりだったし、それで歌詞を書いてみようかなって。ちょっと描写が多い内容なんですけど。
──サビでは歌うパートもありますが、1曲をすべてご自身の声で構成されてみていかがでしたか?
大蔵 一度サビで歌ってみたくて。当初トラックは、昔のヒップホップのように王道のループだったんですけど、打ち込み直して今っぽい感じにしてみたところ、より歌の部分が映える仕上がりになったなと思いましたね。
──今回のソロ曲の仕上がりに関して、ほかのお2人の感想は?
RYOJI (両曲とも)しっかり作っている感じがして、いいなと思いました。今後も続けていけたら。
DJ KOHNO 今回、ディレクションという形で協力させてもらったんですけど、曲の決定権がケツメイシでなく、セルフジャッジで完成していく過程を見ているのは面白かったですね。これは大蔵くん向きとか、RYOさん向きみたいなところが、またわかった気がします。今後もソロ楽曲が増えていけばいいですよね。
2014年は開き直って楽しんでいきたい
──さて、この「カリフォルニー」というシングルを皮切りに、ケツメイシは2014年どんな活動をされるのでしょう?
RYOJI 僕個人の考えを言えば、開き直りというか、とにかく楽しくいけたらいいかなって思いますね。まじめに取り組むのも限界があるので。今の限られた状況と時間の中でどうやって楽しんでいけるかを追求していけたら。なるべく遊びに近い感覚で曲作りできたらって。行きたいところに行けるような音楽を作っていきたいと思いますね。
DJ KOHNO 2014年は明るい感じで行きたいと思っています。その中で、ちょっと含みのある表現も取り入れられたらって。また全員40年近く生きてきているので、その経験値も表現していけたらって思います。
RYO 楽しげな雰囲気を出していき、それが仕事になっていればいいなって。遊びが仕事につながったような感覚で活動していきたいですね。
大蔵 シングル「カリフォルニー」同様、明るい感じで活動していきたいですね。前回までは、音は弾けているけど深みのある楽曲が多かったので、次はそれとは違った明るさ、新しさとかを追求したものを完成させ、次のアルバムにつながっていけばいいな、と思います。
──また、昨年末には「三代目ケツメイシオーディション」の合格者が決まりましたが、彼らとのプロジェクトにも注目しています(参照:ケツメイシがシンガー&ラッパー発掘オーディション開催)。
DJ KOHNO もったいないくらい素晴らしい才能を持った人ばかりが、参加してくださったんですよ。
RYOJI 今後はケツメイシとか三代目とか名義関係なく、いいものを作りたいかなって。何か面白い展開が見つかったらその都度作品にしていくみたいな、柔軟性のある体制になっていけたらと思います。
ケツメイシ / カリフォルニー Short Ver.
- ケツメイシ ニューシングル「カリフォルニー」 / 2014年3月12日発売 / avex trax
- CD+DVD / 1890円 / AVCD-48933/B
- CD / 1260円 / AVCD-48934
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CD収録曲
- カリフォルニー
- ストーリー
- スーパーマンになりたい
- 久々に...
CD+DVD盤 DVD収録内容
- カリフォルニー MV
- カリフォルニー MV Making
ケツメイシ
RYO、RYOJI、大蔵、DJ KOHNOによる3MC1DJユニット。1993年にRYOが通う大学の仲間が中心となって母体が誕生し、1996年頃に現在のメンバーで結成される。1999年に初の作品「こっちおいで」をインディーズからリリースし、2001年には「ファミリア」でメジャーデビュー。その後も多くの名曲を発表し、2005年2月発売のシングル「さくら」で初のシングルチャート1位を獲得。ヒップホップをベースに、美しい歌メロを乗せる手法が幅広く受け入れられ、その人気を不動のものとする。2012年4月にavex traxに移籍して以降も精力的な活動を続け、2014年3月にはシングル「カリフォルニー」をリリースする。