「Like A Diary」をどう聴いた?
カンニング竹山
「Like A Diary」を聴いて
「First Page」で始まるオープニング、そのスタートのドラムで人はこのアルバムの中に入り込んでしまいます。そして2曲目のKeishi Tanakaのサウンドでいつの間にか己の体がKeishi Tanakaに染まっていくアルバムです。
Keishi Tanakaが作る音楽の魅力、お気に入りの1曲
彼の楽曲を聴いていると何故か私は1人で車に乗り、Keishi Tanakaを浴びながら愛車を飛ばしたくなる。それはかつて佐野元春や山下達郎に酔いしれた若かりし時代の、説明の出来ない感覚に似ている。
そして「Roll A Die」を聴き、アクセルを踏むのであった。
プロフィール
カンニング竹山(カンニングタケヤマ)
地元の吉本興業福岡事務所に所属後に上京し、1992年に小学校の同級生・中島忠幸とカンニングを結成する。長い下積みを経て2004年、日本テレビ系のバラエティ番組「エンタの神様」などで見せる“キレ芸”が話題に。中島は2006年に死去。その後はカンニング竹山としてピンで活動する。2008年にスタートした単独ライブ「放送禁止」はライフワークに。バラエティだけではなく俳優業やワイドショーのコメンテーターなど幅広いジャンルで活躍している。
鹿野淳
「Like A Diary」を聴いて
Keishiの音楽はストリート感や街の雑踏の中で生まれた解き放たれた感覚と、同時に鍵のついた日記のような誰にも明かさない秘事感が同居している。そもそもKeishi自身が毎日公園で一番最後まで遊んでいる子供そのままな部分と、心の奥で丁寧に自分と世界の距離感を計るような洗練された心象の両方を持っているので、彼の音楽はその“開いてはまた閉じる”が、とても鮮やかに歌い鳴らされている。
今作もまた然り。毎日欠かさず歩いている道で、最近とても気になる人とよく出逢う。その人と出逢うと、ほんの少しだけ毎日の道にさらに陽が射したように思える、そんなご褒美のような存在のアルバム。僕は「おぼろげ」に今は夢中かな。
最後に。Keishiはスターだと思う。それは前からずっと。ただ彼はまだ、マスの上を軽快に泳いだことがない、つまりまだヒットしていない。理由はある。だけど、いつでもKeishiが本当のスターになる準備はできている。完璧なポップスターに。このアルバムがその起源になっても全くおかしくない。むしろそれを願っています。
Keishi Tanakaが作る音楽の魅力、お気に入りの1曲
一番掘り起こして聴いている曲は多分、「Hello, New Kicks」。
フィラデルフィアの朝市、マンチェスターのレズビアン&ゲイストリート、イーストヴィレッジのナイトボーリング場、リオのファヴェーラ、カタールの砂漠、釜山の文化村──自分が一生忘れない場所のサウンドトラックみたいだなって本当に思う。
Keishiの音楽は“世界”です。世界の音楽、そしてリズムを心から愛して楽しんでいる人しか作れない音楽。そして自分の世界を時代や世代やシーンのせいでは一切曲げない、純度の高いパーソナルな音楽。僕は彼のように生きたいとは思わないけど(笑)、彼の音楽のような表情で生きていたいなと、憧れに近い感情を覚えます。
プロフィール
鹿野淳(シカノアツシ)
音楽ジャーナリスト。「ROCKIN'ON JAPAN」と洋楽誌「rockin'on」の副編集長を経て、「BUZZ」「ROCKIN'ON JAPAN」の編集長を歴任する。2004年に株式会社FACTを設立。2007年3月に「MUSICA」を創刊した。2000年以降、3つの大型フェスの立ち上げに関わり、2014年より「VIVA LA ROCK」、2022年より「TOKYO ISLAND」のプロデューサーを務めている。
高山都
「Like A Diary」を聴いて
混沌と濁流のようにスピード増すこの世界で、自分の心や声はあっという間に飲まれて霞んでいってしまう。
私はどこ?と踠き探し、社会の異常や異変にも少しずつ麻痺して、それでも私たちは日々をルーティンする。
自分の感覚でひかりを見つけてる?
小さな画面じゃなく、目の前に広がる世界を見て信じて生きている?
誰かのモノサシではなく、私を信じたい。
そんなことを感じていた近頃の自分に、繊細な心の機微に声や音の彩りを重ねた曲たちが伴走してくれたように思う。
日々を記録したように、少しずつ重なり合った表現は、瑞々しく、深く息を吸って吐くようだ。
透明度の高いメロディ、のびやかな歌声に、良いことがあった日も、上手に機嫌をコントロールできなかった日も、いろいろあるよねーと励まされているような気がした。
今日に句読点を。
笑って泣いて怒って哀しんで。
正しくない澄んでない、そんな日もあるし、それでいいんだと思う。
それでも夜は明けて、地球はまわる。
「世界は滲む だから美しいよ」
瞬きごとに変化する世界の歪さや、混ざり合う戻らない今日を味わいたい。
聴き終わった時、そんな気持ちになりました。
Keishi Tanakaが作る音楽の魅力、お気に入りの1曲
ケイシくんの音楽との出会いは、遡ること2011年、Riddim Saunterのステージだった。こんなに多幸感のある歌声の人っているんだーと忘れられない心がグッと動いたライブでした。
同い年なこともあり、どこかいつも彼の伝えるものには共感もあります。
相変わらず朝のひかりのように、夜の煌めきのように、キラキラと多面体で光り、生命力のある表現は、生きてる人だなーと、改めて感じた今回の「Like A Diary」。
久しぶりにライブハウスで、ケイシくんの声聴きたい、そう思いました。
お互い生活を重ねて、シワも増えて、20代のわたしとは、また違う感じ方するのだろうなーとワクワクしています。
お気に入りは「Colors」です。
プロフィール
高山都(タカヤマミヤコ)
1982年生まれ、大阪府出身。モデルや執筆業、商品のディレクションなど幅広く活動している。2024年11月には4年ぶりとなる著書「高山都、もの語りひとりごと、ふたりごと」を発表した。
土井コマキ
「Like A Diary」を聴いて
本当にケイシくんが進化したのだなぁと、実感しました。バンドの頃から眺めて来ましたが、1人で活動を始めて、少しずつ出来ることを増やしてきて、ついにここまで! みなさんご存知の通り、彼はキャンプや登山が趣味ですが、色んなギアを試してきた結果、要らない持ち物を手放して、必要なものだけで出かけるような、静謐な眼差しを感じるようなアルバムだと思います。とっても感慨深いです。
Keishi Tanakaが作る音楽の魅力、お気に入りの1曲
ソロになって特に目立つのは、やはり日本語の歌詞の良さだと思います。ケイシくんの歌詞は、ちゃんとcityなんだけど、自然を感じさせてくれるんです。聴いていると、いつもは気にしていない葉や光や風をちゃんとキャッチできる。「夜の終わり」という曲に「青い時間」という表現が出てくるのですが、ひとり旅で彼の故郷の大樹町で海岸に夜明けを見に行ったとき、本当に世界が青くて美しくて、この曲が頭の中で流れました。
好きな曲はいっぱいあるのですが、最近の曲では「心たち」です。ケイシくんの曲で、こんなに自分のきもちを真顔でまっすぐ見つめさせられるなんて、初体験でした。なにより、まずこの歌詞を生む人の心が美しいと思います。
プロフィール
土井コマキ(ドイコマキ)
2000年1月にFM802「SONIC STYLE」のアシスタントとして、ラジオDJのキャリアを本格にスタート。DJのほかにも、VJやMC、書き物、イベント企画など「断らない」をモットーに活動している。FM802「802 BINTANG GARDEN」にて2004年4月に放送された「10年目の復活・春一番」で、「日本民間放送連盟賞」近畿地区 エンターテインメント番組部門の優秀賞を受賞。2004年から自身が企画したカフェライブイベント「想う壺」を不定期で開催中。
土井 コマキ (@doikomaki) | Instagram
LOVE
「Like A Diary」を聴いて
私にとっては、ですが、Keishi Tanakaの音楽は、隣のクラスの窓際でリラックスしてギターを弾いている、一際おしゃれな同級生みたい。カッコいいけどスカしてないから余計にカッコいい。入口は憧れなんだけど、中盤以降は、急に距離が近づいた放課後みたいで。多くは聞かずとも励ましてくれるから「あ、まだ私もがんばれるな」って気分になってて、ふっと心を開きたくなるような。ものづくりを大事にする人の優しさに触れた感触がありました。90's育ちとしては、ギターやドラムの質感など箇所箇所が懐かしく、でもちゃんと2025にアップデートされてる音作りが流石でした!
Keishi Tanakaが作る音楽の魅力、お気に入りの1曲
漠然と、何かしらの楽器プレイヤーが総合的なアレンジを見据えて作っている音楽のイメージだったので、ツーマンさせていただいたときに、Keishiさんが「ギターはあとから」って言ってたのがびっくりで。作曲&ボーカルはもちろん、ブラスアレンジもバンドアレンジも、毎回とても緻密でめっちゃいいアンサンブル。どういう作り方してるの?みんな友達なの?笑。で、トラックがそういう空気感で作れること自体積み重ねの経験値があってこそだとは思いますが、ライブの雰囲気がまたそれを超えていくのが好き。2024年のライブアルバム「Anywhere, by NEW KICKS」はほんとにいいライブアルバムでした。「Let Me Feel It」はかなり好きです。ライブアレンジ、グルーヴも曲も歌い方も。ボーカリストとして歌ってみたい、チャレンジしたくなる1曲です。
プロフィール
LOVE(ラブ)
大阪出身、東京在住のソングライター。15歳でギターと作曲を始め「愛を歌うより、愛が歌う音楽を」という思いからアーティスト名をLOVEとし、2007年3月14日の誕生日に「過ちのサニー」でデビューを果たす。同年、DREAMS COME TRUEのバッキングボーカルオーディションに3000人の中から合格。DREAMS COME TRUEが4年に一度開催しているライブ「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」にバンドメンバーとして参加したほか、ツーマン形式のアリーナツアーも経験した。デビュー15周年を迎えた2022年に配信シングル「Someone To Love」「We Only Live Once」をリリースし、ライブシリーズ「十五のお礼参り」を開催。2025年には15周年ライブの音源をまとめたライブアルバム「十五のお礼参り~必須の四弦と新年祭~」を1月、「十五のお礼参り~師匠の六弦と三人兎~」を2月に発表した。またラジオパーソナリティとしては15年の経歴を持ち、現在はTOKYO FMの音楽番組「ALL-TIME BEST」を担当している。
Keishi Tanaka公演情報
["Like A Diary" Release Tour]
- 2025年2月2日(日)大阪府 Yogibo HOLY MOUNTAIN
- 2025年2月7日(金)愛知県 Shangri-La
- 2025年3月28日(金)東京都 WWW X
[NEW KICKS GREENSPIA 2025]
2025年4月5日 (土) 大阪府 服部緑地野外音楽堂
<出演者>
Keishi Tanaka(Band Set) / THE BAWDIES / COMEBACK MY DAUGHTERS / 眞名子新
["Like A Diary" Release Tour by Acoustic]
- 2025年4月25日(金)兵庫県 Bo Tambourine Café
- 2025年4月26日(土)福岡県 LIV LABO
- 2025年4月27日(日)鹿児島県 Live Heaven
- 2025年5月10日(土)秋田県 BROOKLYN STRIKE 1F
- 2025年5月11日(日)宮城県 SENDAI KOFFEE CO.
- 2025年5月31日(土)東京都 東京都民教会
- 2025年6月7日(土)北海道 musica hall café
- 2025年6月8日(日)北海道 ON THE TABLE
プロフィール
Keishi Tanaka(ケイシタナカ)
Riddim Saunter解散後、2012年にソロ活動をスタートさせる。2013年1月に1stアルバム「Fill」、2015年4月に2ndアルバム「Alley」、2016年11月に3rdアルバム「What's A Trunk?」、2019年5月に4thアルバム「BREATH」、2022年に5thアルバム「Chase After」をリリース。これまでに詩と写真で構成されたソングブック「夜の終わり」、CD付き絵本「秘密の森」と音楽の枠に留まらない多様な作品を発表している。Tokyo Recordings、fox capture plan、LEARNERS、Ropesらと共作経験があるほか、2018年6月にはthe band apartとのスプリット7inchアナログシングル「Break It Down / Falling in Love」を発表し、その後ツーマンツアーを行うなどさまざまなコラボレーションでも話題を集めた。2020年にKan Sanoプロデュースの「The Smoke Is You」、oysmをフィーチャリングした「揺れる葉」を含む5曲入りのミニアルバム「AVENUE」を発表した。2022年にはソロデビュー10周年記念盤となる5thアルバム「Chase After」を発表。本作には関口シンゴ(Ovall)がギターで参加した「Let Me Feel It」や、村松拓(Nothing's Carved In Stone)が作詞作曲を担当した「青のサーカス」など全10曲が収められた。2025年1月には全編自宅スタジオでレコーディングした6thアルバム「Like A Diary」を発表。現在はバンド編成の東名阪ツアー「"Like A Diary" Release Tour」を実施中で、4月からは全8公演の弾き語りツアー「"Like A Diary" Release Tour by Acoustic] 」を行う。
Keishi Tanaka (@keishitanaka) | Instagram
Keishi Tanaka (@KeishiTanaka) | X