ナタリー PowerPush - 川田まみ

“青臭い大人”の挑戦が生んだ新機軸

川田まみがニューシングル「Break a spell」をリリースする。今作の表題曲は現在放送中のアニメ「東京レイヴンズ」後期エンディングテーマ。川田は昨年2月のシングル「FIXES STAR」で見せた攻めの姿勢をそのままに、シンプルながらもエキサイティングで、どこかストレンジなデジロックナンバーを完成させている。

今回ナタリーでは新曲の発表を控えた川田のインタビューを実施。川田まみの2013年を振り返ってもらいながら「Break a spell」に至る道のりを明かしてもらった。

取材・文 / 成松哲

 
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自身とバンドの温度差に悩む

──2012年夏のオリジナルアルバム「SQUARE THE CIRCLE」をリリースしたときの取材、川田さんは「アニソンシーンの中堅・川田まみさん」として若手を引っ張っていかなきゃ、と悩んでいて(参照:川田まみ「SQUARE THE CIRCLE」インタビュー)、2013年2月には光明が見えてきたと言っていて(参照:川田まみ「MAMI KAWADA BEST BIRTH」&「FIXED STAR」インタビュー)。

はい。

──で、今回のシングル「Break a spell」を初披露した、2014年頭の「リスアニ!LIVE-4」を拝見したとき(参照:新年アニソン始め!「リスアニ!LIVE」今年も大成功)、川田さんは「SQUARE THE CIRCLE」の頃の問題に解決を付けたんじゃないかって気がしたんです。

あっ、ホントですか。ありがとうございます。

──若手を引っ張る意味で結成したガールズバンドとの関係が、“川田まみとそのバックバンド”ではない。“川田まみをバンマスにした1つのバンド”に見えたんです。先輩、後輩がいい関係を築けてるなあ、って。

そう観ていただけたならうれしいですね。ただ実は去年の3月に「MAMI KAWADA BEST BIRTH」のリリース記念ライブをやったあとあたりから、個人的にはなんかこうわかんない時期に入っちゃってたんですよね。

──「わかんない時期」?

「中堅の川田まみさん」的立ち位置、お姉さん的な立ち位置でやっていく。バンドを引っ張っていくような人間にならなくてはいけない。自分の中ではそういうイメージや覚悟ができていたし、ガールズバンドという華やかなスタイルのいいライブを見せていけている気もしていたんですけど、じゃあこの先この勢いをいい状態でキープしたり、新しいチャレンジをしたりするにはどうすればいいんだろう?っていうところで、去年はすごい悶々と悩んでいて。

──それはなぜ?

(川田の所属する音楽制作集団)I'veには「札幌から音楽を発信する」っていうポリシーがまずあって。だから私も札幌出身だし、彼女たちも札幌の子たち。地元でオーディションをして集めたメンバーなんですけど、北海道の空気のせいもあったのか、当時はどこかのほほんとしていて。それは「SQUARE THE CIRCLE」以前の私もそうだったんですけど……。お姉さん的立ち位置になった川田まみは、ちょっとのほほんとして見えるメンバーと一緒にどうやったら締まった音楽を作れるのか? 去年の夏くらいまでいろいろ考えてしまっていたんです。

クラブで見つけたバンドのあり方と自身の真髄

──どうやって解決しました? それとも実はまだ解決には至っていない?

いや解決はしました。ただどうやって?って聞かれると「徐々に」としか答えようがない感じですね。川田まみの真髄、川田まみがやりたい音楽をしっかりイメージして、真髄から少しでもズレていることを見つけたら、目をそらさずにしっかり向き合うっていうこととか、彼女たちの表情の変化を見逃さないようにして声をかけることとか、そういうことの積み重ねの結果、なんとなく解決策を見いだせるようになって。そうしたら私のそういう前向きな気持ちが彼女たちにも伝染して。その結果が「リスアニ!LIVE-4」なんかにも反映されたんじゃないかなって思ってます。もうひとつ、今お話をしていて思い浮かんだのが、去年はクラブ系のイベントに出演する機会が多くて。その影響もある気はしますね。一昨年の大晦日にI'veがMOGRAさんでイベントをやることになって、私もちょっとタッチさせてもらったら、それをきっかけに去年の2月には「魔Q(少女MASTERあらしZ)」っていうイベントのお話をいただいて。そこからなんかトントン拍子にオファーをいただくようになったんですよ。秋にageHaでやった「あきねっと」に出たり(参照:MOGRAのageHa乗っ取りパーティに川田まみ&黒崎真音)、このあいだはMOGRAさんと一緒にイベントを主催してみたりとかもしましたし(参照:川田まみ×MOGRAが真音、ワイパら迎えてクラブイベント)。

──ただクラブイベントでバンドセットでライブは……。

してないですね。MOGRAの店長のD-YAMAくんが繋いでくれたトラックを流しながらMCなしでノンストップで歌ってみたり、DJをやったりしていますから。ビールを飲みながら(笑)。しかもクラブでライブをすること自体「魔Q」が初体験だったので、当時は本当に1人で乗り込んでいくっていう感覚が強くて。でもその体験は非常に楽しかったし、それと同時にバンドの存在の大きさに気付くきっかけにもなったんです。1人で歌ってみたことで彼女たちの存在をすごく頼りにしていた自分に気付いたというか。あとバンドのことに悩みつつ、クラブイベントに出てみたことで、さっきお話した川田まみの真髄みたいなものを見つけられた気もしましたし。

ニューシングル「Break a spell」 / 2014年2月26日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCV-0034
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCV-0034
通常盤 [CD] 1260円 / GNCV-0035
CD収録曲
  1. Break a spell
  2. remaining snow
  3. Break a spell(instrumental)
  4. remaining snow(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • Break a spell PV
  • PV Making
  • TV Spot -in stores now ver.-
川田まみ(かわだまみ)

2月13日生まれ、北海道出身の女性シンガー。学生時代から歌手を志し、2001年に島みやえい子の推薦でI'veのオーディションに参加し合格。同年11月に発表された「風と君を抱いて」で歌手デビューを果たす。2004年6月にリリースされた「I've Girls Compilation 6『COLLECTIVE』」収録曲「IMMORAL」「eclipse」で高評価を受け、2005年2月に中沢伴行プロデュースによるシングル「radiance / 地に還る~on the Earth~」でソロデビューした。以降、さまざまなアニメのテーマソングを手掛け、独特の繊細なビブラート、透き通るように伸びやか、かつ力強い歌声で幅広い層からの支持を獲得。2012年8月に通算4枚目のアルバム「SQUARE THE CIRCLE」をリリースし、2013年2月には初のベストアルバム「MAMI KAWADA BEST BIRTH」、ニューシングル「FIXED STAR」を立て続けに発表した。そして2014年2月、アニメ「東京レイヴンズ」後期エンディングテーマ「Break a spell」をリリースする。