Karin.|揺るぎない決意を込めた高校生活最後のアルバム

純粋に楽しめた「RADIO CRAZY」

──音楽に出会うまでも、大きく感情が揺れ動くことはありました?

半年に一度くらいは感情が爆発していました。音楽活動を始めてからも、急に感情があふれてきて歌いたくなくなって、人に迷惑をかけたこともあります。でも、今は音楽に出会えたからこそ、自分の気持ちをちゃんと話せるようになりました。正直なところ、高校生活が終わるのは怖いですね。いまだに憂鬱で悲しい出来事がないと曲が作れないと思っているので、いろいろと悩んでいる高校生活が終わったら、歌えなくなってしまうかもと思っています。

──自分から音楽を発信されて、聴く方々を救済する立場になってきているので、もうそんなに怖がらなくてもいいと思うんですが。

Karin.

こんな自分を認めてくれる人がいるというのはうれしいですね。昨年末に各地のイベントに出させてもらったときは、お客さんも集まらないだろうと思っていたんですけど、多くの人が私の曲をしっかりと聴いてくれていたのが驚きでした。それまではライブの前半になかなか気持ちが入らず、お客さんの顔色をうかがいながらやっていたんですが、大阪の「RADIO CRAZY」では、ただただ楽しいと思ってライブができて、すっきりしましたね。初めての体験でした。

──そこまで自分を認めてもらえたと実感できた大きな経験があっても、ご自身の中の恐怖心は消えないですか?

いろんな自分がいるんですかね? 普段からよく考えごとをしますし、一生悩み続ける人間なんです。何かやりたいことが浮かんでも、周囲に対して敏感な分、そこからまた考え込んじゃいますし。例え満たされたとしても、新しく悩みができちゃうんですよ。「アイデンティティクライシス」が完成したときも、すぐ次のレコーディングの話になったので、余韻に浸っている暇もないし、その時間が自分に必要かもわからないです。悲しみとかそういうものは、どっかに置いていけるようになりたいですね。

変われたことを歌にしたかった

──「髪を切ったら」には「この悲しみも歌にできるから」という歌詞がありますね。

「髪を切ったら」は1人で弾き語りでライブをしていたときの曲で、「この悲しみも歌にできるから」の部分も含め、歌詞を半分くらい書き換えてタイトルも変更しました。今までは過去の過ちや後悔、今起きてる出来事だけを歌詞にしていたんですけど、今回は先のことを思い浮かべながら歌詞を書いてみました。

──そうだったんですね。

それとデビューをきっかけにバンドで活動するようになったので、それを表現してみたんです。1番では1人で弾き語りで歌っているんですけど、2番からはバンドが入るという流れになるんですよ。「アイデンティティクライシス」ができてから、自分が変われたことを歌にしたかったんです。そういう意味で「髪を切ったら」は「メランコリックモラトリアム」の最後に入れました。

Karin.

──1番から2番の流れで1人の弾き語りからバンド演奏になるところと、「この悲しみも歌にできるから」という歌詞からも、本当に力強さを感じました。「アイデンティティクライシス」以降、自分が変われたというのは具体的に、どういうところだと捉えていますか?

自分のことをほかのものに置き換えて歌詞で表現できるようになりましたね。「藍錆色の夕日」という曲でも自分を夕日に例えたりしましたし、前よりは自分の感情がコントロールできるようになったかなと思います。自分がやっていることに対して「これはダメなんだな」とか考えられるようになりました。例えば、今までは曲ができたらとりあえずライブで歌ってみようと決めて、次の日とかに録音したのを聴いていたんです。だけど聴く前に自分でメロディや歌詞を思い出せない曲なら、いい曲ではないと判断していたんですね。断捨離というか。でも、「髪を切ったら」みたいに曲を書き換えて復活させることができたのは、今回のアルバムで変われたことの1つかもしれないですね。

──今までは一度も陽の目を浴びない曲もあったんですね。

そうですね。だけど、それもつらいですよね。自分が泣きながら曲を作っても、携帯に録音して溜まっていくだけなのは、自分の作品なのに可哀想だなと。今後「髪を切ったら」のように復活する曲もあるかもですか、そのままだと恥ずかしいので、絶対書き換えるでしょうね。

私が歌わず誰が歌う

──少し気の早い話かもですが、もう次の曲とか考えていますか?

たくさん曲を書いていて、アレンジも始まっています。物語性があるものが好きなので、今までのアルバムに続くように物語としてつながりのあるものができたらいいなと。今回の「メランコリックモラトリアム」も「アイデンティティクライシス」とつながっていますから、これを聴いて、「アイデンティティクライシス」にも戻って聴いてもらえたらうれしいです。もし全然違う曲調の新曲ができたとしても、今までの作品と地続きになっていると思いますね。

──今までと全然違う曲ができるかもしれないというのは、とても興味深いです。

私の曲に悲しいイメージが付いてしまうのも避けたいので、いろんなことに挑戦していきたいです。もっと私が自信を持てるようになったら、人を励ます曲も作れるかもしれません。そうなったら「Karin.っぽくない」と言われると思いますけど、「悲しいのが似合う」と言われると、私がもっと悲しくなってしまいますので。でも、悲しみを表現した曲が誰かを勇気付けることもあると思うし、最近、傷付け合うことも幸せだと思うんですよ。たぶんこうやって一生悩み続けるので、そういう気持ちが反映された曲ばかりにはなるんでしょうね。それでも私は変わっていきたいと思って歌ってるんですが、私に変わらないでほしい人もいるのかなって。

──Karin.さんに変わらないでほしいというのは、今後Karin.さんが売れていく状況に対して、そこを変わったと思ってしまうということなんですかね?

私は売れたいというより多くの人に知ってほしいだけですし、もしも私と同じ気持ちや感情を持っている人がいるなら、私の歌を聴いてほしいだけなんです。「命の使い方」は特にそういう歌ですし、私が歌わないで誰が歌うんだと思えたんですね。「命の使い方」が証明されてしまわないように、これからも私は歌い続けなければいけないという気持ちが増したんです。ずっと悲しい気持ちでいたいわけでもないんですけど、自分に対してまだ納得していないということなんですかね? どんな状況になったとしても、常に新しい悩みが出てくると思います。

ツアー情報

Karin. 初ワンマンライブ&ツアー「最終章おまえは泣く」
  • 2020年6月7日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2020年6月21日(日)大阪府 Shangri-La
  • 2020年6月28日(日)愛知県 ell.FITS ALL

出演イベント

HAPPY JACK 2020 ~Show Must Go On~
  • 2020年3月14日(土) 熊本県 熊本B.9 V1 / 熊本B.9 V2 / Django / ぺいあのPLUS'
Talking Rock! presents「ニューロック計画!2020」
  • 2020年3月20日(金・祝) 大阪府 umeda TRAD
「SANUKI ROCK COLOSSEUM 2020」-MONSTER baSH × I♥RADIO786-
  • 2020年3月21日(土) 香川県 高松festhalle / 高松オリーブホール/ DIME / 高松MONSTER / SUMUS cafe / 瓦町駅地下広場(観覧無料) / 786FM香川ステージ(観覧無料)
FM NORTH WAVE & WESS PRESENTS IMPACT! XV supported by アルキタ
  • 2020年4月11日(土) 北海道 Sound Lab mole / KLUB COUNTER ACTION / BESSIE HALL / Spiritual Lounge / Crazy Monkey / COLONY
ARABAKI ROCK FEST.20
  • 2020年4月25日(土) 宮城県 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
  • 2020年4月26日(日) 宮城県 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
  • ※Karin.はいずれかの日程に出演。

NIIGATA RAINBOW ROCK 2020
  • 2020年5月4日(月・祝) 新潟県 新潟市内のライブハウス