「ねぇミスター」の歌詞は今の自分のすべて
──リュックの3人は、KALMAの新曲「ねぇミスター」を聴いてみていかがでしたか?
松本 最初のドラムの入りからもう、衝撃でした。河川敷で聴きたくなるような感じだなと思って。夕方におじいちゃんが河川敷を自転車でゆっくり走っているのを、この曲を聴いて全力疾走しながら追い越したいなっていう感じの曲ですよね。
斉藤 どういうこと?(笑)
宮澤 私はわかる(笑)。走り出したくなるんだよね。
金田 悠月から弾き語りの音源が送られてきたときから、このイントロのリズムはイメージしていました。疾走感のある感じに仕上げたいと考えていて。あと曲全体に疾走感を出すために、実は冒頭のスネアロールが曲のほとんどのところに薄く流れているんです。
堂免 あと、1曲の中で展開が多すぎて、それもめちゃくちゃ衝撃でした。
畑山 この曲って展開多いの?
斉藤 多いよ。
宮澤 (笑)。あと、最初は元気になる曲だなと思って聴いたけど、2回目に歌詞を見ながら聴いたら、欲望がそのまま出ているような歌詞で、印象が変わりました。
斉藤 「ねぇミスター」は今の悠月がめちゃくちゃ出ている曲だと思う。
畑山 そうだね。ただ元気なだけじゃない。「ねぇミスター」の歌詞は今の自分のすべてっていう感じかもしれない。最後の「いろいろあるけど幸せだ!」の3連発の部分とかは、特にそうなんだよね。このコロナ禍でいろいろあったし、ライブもなくて毎日がつまらなかったけど、「死にたいくらいつまらなくはなかったな」と思って。自粛期間があったからこそひさびさに連絡を取った友達もいたし、配信ライブでお客さんの反応を見ることができたり。この時期だからこそできた曲もあるし、自粛が空けて会いたかった人に会えたときにもそう思った。だからこそ、「いろいろあるけど、今が幸せなんだ」っていう曲にしたかったんだよね、「ねぇミスター」は。
──「ねぇミスター」の明るさはコロナ禍だからこそ生まれたんですね。
畑山 そうですね。でも、それは「そう思わないとやっていけなかった」ということでもあるのかなと思っていて。家の中でもなんとか楽しみを見つけないと、やり過ごせなかった期間だったから。だから無理やりにでも「幸せだ」と書こうとしたっていう感覚もあるんです。11月に出る「La La La E.P.」は、1曲目から4曲目まで全部コロナの自粛期間にできた曲で。15曲くらいできた中から4曲を選んだんですけど、正解だったと思うのは、世界の現状を見て「今は会えないけど我慢しよう」っていう歌を歌うんじゃなくて、今までのKALMAみたいな曲を4曲選べたことなんですよね。
共通点は前向きな「未来」
──「幸せを描く」というポイントは、リュックにも共通していますよね。「ねぇミスター」にも「あたらしい朝」にも、歌詞の中に「未来」というフレーズが出てきて、どちらも未来を前向きに捉えようと描いているように感じます。
畑山 確かに、歌詞が前向きだという部分でKALMAとリュックは似ている部分があるかもしれないです。
松本 僕の場合も「生活」と「あたらしい朝」はコロナ禍の状況を踏まえたうえで、未来も見据えることができる曲を作ろうと思って歌詞を書いたんです。特に「あたらしい朝」のサビの部分はTwitterの「歌つなぎ」企画で悠月さんからバトンをつないでもらったときに作ったんですよね。その頃とは歌詞は変わっているんですけど。
畑山 そうだったね。でも「毎日を愉快に暮らそうよ」っていう部分は最初のときと一緒だよね。
松本 そうです、そこは一緒ですね。
畑山 この2組で対バンしても、絶対に雰囲気が合うんですよ。それこそリュックは横揺れで、僕らはお客さんを巻き込んでいく感じで、タイプは全然違うけど、相性はすごくいいと思う。それはやっぱり両方が明るいものを描いているからかもしれない。
松本 そうですね。僕は「自分たちが暗いことを歌ってもしょうがないよな」と思うんです。普段から和気あいあいとバンドをやらせてもらっているのに、歌詞で暗いことを書いてもどうなんだろう?って思うんですよね。
──「今は幸せな時代か?」と問われたら決してそうではないと思うし、「明るい未来が待っているのか?」と問われても、簡単に「はい」と答えられない状況だと思うんです。それでも、KALMAもリュックも、地に足の着いた日々の幸せを音楽で捉えようとしているし、未来に希望を描こうとしているように感じます。今、10代後半や20代になったばかりの世代のバンドがこういう表現を生み出していることが、皆さんよりも上の世代の僕には、すごくカッコよく見えるんです。
畑山 KALMAもリュックも、まだ全然大人じゃないんです。それゆえに不安なこともいっぱいあるんですけど、だからこそ僕もユウくんも明るい歌を書いている。そういう部分は絶対にあると思う。ユウくんもきっとそうだよね?
松本 そうですね。僕は不安は幸せだと思うんです。暇よりも暇じゃないほうが幸せなのと一緒で、不安なことがあるからこそ、自分を変えるチャンスになったりすると思うんですよ。不安を乗り越えることができれば、絶対に殻を破って新しい自分になることができる。最近はそう思うようにしていて……メジャーが決まってからは特に。
畑山 そうだ、リュックのメジャーデビューが決まってから、ユウくんと宮澤からLINEが来たんです。「不安です」って。でも僕らもメジャーが決まったときは不安だったよね?
斉藤 うん。
畑山 僕らみたいな未熟なバンドがいいんですか?っていう感じだったし、きっとリュックも同じ気持ちなのかなって思うけど。
──お二人からのLINEに畑山さんはどう返したんですか?
畑山 「意外と大丈夫だよ」って返しました。確かにいろいろ難しいことはあるけど、今のうちからそこまで不安に思わなくて大丈夫だよって。そうだよね?
宮澤 うん、たぶん。
畑山 覚えてないのかよ!
──(笑)。今日はお話の中で2組の相違点もたくさん見えましたけど、最後にすごく根本にある共通項が見えたような気がしてよかったです。
畑山 でも、きっと僕たちがお互いに30代になったら、作る曲は違う形になっていくんだろうね。
松本 そうですね。
畑山 それはそれで楽しみです。
先輩風吹かせてみました
──最後にお互い言っておきたいことや聞いておきたいことはありますか?
松本 僕からいいですか? 前に悠月さんが外で曲を作っているって聞いたことがあって、いいなあと思っていたんです。
畑山 外で作ってるよ。北海道の僕が住んでいるところは海も近いし、川もあるし、公園もあるし、そもそも田舎で人が少ない。だから外で作れるんだよね。ただ、前に公園のベンチで1人で曲を作ってたら、警察の人に声かけられたことがあったけど。
一同 (笑)。
畑山 「バンドやってるんです」って言ったら、その警察の人に「なんてバンド?」って聞かれたんだけど、その方がフェスが好きだったらしくて、「すげえ、『JOIN ALIVE』出てんの?」って言われて(笑)。「がんばってね!」とか言われたんだけど、そのあとちゃんと家と高校に連絡は行っていました。
一同 (笑)。
畑山 そうやって外で作るのは、北海道ならではかもね。でも冬はそれができなかったりもするし、僕は早く東京に住んで屋上で曲作りとかしてみたいと最近は思っていて。うるさいからダメって言われるかもしれないけどね。でも東京に引っ越して、あえて深夜でもうるさいような街に住んで、曲を作ってみたりしたい。今住んでる場所は夜になるとすごく静かになるから。そうやって環境を変えてみたいっていう気持ちが最近は強いんだよね。
松本 なるほどなあ。
──KALMAからリュックに言いたいことは?
畑山 あー、今度、11月30日に対バンツアーの東京編がLIQUIDROOMであるんです。2に出てもらうんだけど、リュックもオープニングで出てくれない?
松本・堂免・宮澤 えええーっ!!!
──3人共のけぞっちゃいましたね(笑)。
畑山 みんな、2も好きでしょ?
宮澤 好き! めっちゃ好き!
堂免 うわあ……マジで?
松本 ヤバい、ヤバい、ヤバい……。
──いい記事の締めになりますね、これは。
畑山 最後に先輩風吹かせてみました(笑)。
KALMAライブ情報
- KALMA 対バンツアー【チャレンジャー 2020 春 ~お花見~】(※終了分は割愛)
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- 2020年11月30日(月) 東京都 LIQUIDROOM OPEN 18:00 / START 19:00 <出演者> KALMA / 2 / リュックと添い寝ごはん(オープニングアクト)
- 拝啓~ママパパ兄弟じーちゃんばーちゃん友達先輩後輩先生車掌さん、そして普段から応援してくれてる皆さん、僕たち20歳になったでやんす!お酒で乾杯!パラダイス!クリスマス!ソーシャルディスタンスでラララララテラララランマンツアー2020冬~敬具
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- 2020年12月12日(土)福岡県 BEAT STATION
- 2020年12月15日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2020年12月18日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2020年12月22日(火)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2020年12月24日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
リュックと添い寝ごはんライブ情報
- リュックと添い寝ごはん 1st albumリリースツアー「neo neo」
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- 2020年12月15日(火)愛知県 APOLLO BASE
- 2020年12月17日(木)大阪府 Shangri-La
- 2020年12月23日(水)東京都 WWW