今年3月にSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビューしたKALMAが、11月25日に新作「La La La E.P.」をリリースする。また彼らと親交の深いバンド・リュックと添い寝ごはんが、12月9日にSPEEDSTAR RECORDSから発表する1stフルアルバム「neo neo」でメジャーデビューを果たす。
同じ2020年にメジャーデビューする3ピースバンドで、レーベルメイトとなる共通点の多いこの2組。音楽ナタリーではこの両者にインタビューを行い、初対面のエピソードから互いの新曲の感想まで、6人でにぎやかに語ってもらった。インタビューの最後にはKALMAからリュックと添い寝ごはんへのサプライズも飛び出す。2組のほほえましい関係性を感じ取ってほしい。
取材・文 / 天野史彬 撮影 / 山川哲矢
僕の母さんはKALMAよりもリュックが好き
──まず最初に2組の出会いから聞かせてもらえますか?
畑山悠月(Vo, G / KALMA) 初めて会ったのは2019年のサーキットイベント「JAPAN'S NEXT」ですね。O-Crestに僕らが出ていたんですけど、そのイベントにリュックも出ていて、出番終わりに挨拶に来てくれて。
松本ユウ(Vo, G / リュックと添い寝ごはん) 僕らはその前から音楽プラットフォームの「Eggs」とかを通してKALMAの曲は聴いていたので、KALMAに挨拶できるとなって、路上で飛び跳ねるくらいにうれしかったのを覚えてます。O-Crestの裏口のエレベーターで「ヤバい、今からKALMAに会うぞ」って、めちゃくちゃワクワクして。
堂免英敬(B / リュックと添い寝ごはん) あのとき、ヤバかったよね。
宮澤あかり(Dr / リュックと添い寝ごはん) 「この扉の向こうにKALMAがいる……!」みたいな。
畑山 その頃はリュック全員、KALMAのファンっていう感じだったじゃん。初めて会ったときは、ユウくんも目をキラキラ輝かせながら「悠月さん、悠月さん」っていう感じだったけど、最近はどう? 8月に一緒に弾き語りライブをしたときは、もう余裕だったよね?
斉藤陸斗(B / KALMA) 今はどんな感じなの?
畑山 「ああ、なんだ、悠月くんか……」みたいな。変わっちゃったんだよね。
松本 いやいやいや、そんなことないですよ!(笑) それくらい親しく接してくれているっていうことです。
畑山 じゃあ、いいよ(笑)。
斉藤 直接会う前に、「#ジューダイ」があるよね?
畑山 そうだ、直接会う前にNHK Eテレの「#ジューダイ」っていう番組で、僕らとリュックと諭吉佳作/menさんが特集されたことがあったんです。その番組を今日観返してきたんですけど、KALMAは主に僕が「進学よりもバンドを選んだ10代」っていう感じでフィーチャーされて、リュックは高校に通いながらバンド活動している10代っていう感じで扱われていたんです。僕の親もその番組でリュックを見ながら「すごいね、この子たちは」って言ってました。
松本 ホントですか?
畑山 ホントだよ。うちの母さんはKALMAよりもリュックが好きなんだから。「ボーカルの子に清潔感がある」って言ってた。だからこの対談は母さんが喜んでると思う(笑)。でも、そもそも共通のファンも多いから、みんな喜んでくれるんじゃないかな。
斉藤 僕らの周りの友達でも、リュックを聴いている人は多いもんね?
畑山 多いね。音楽仲間がリュックのインスタの投稿に「いいね」押していたりするんですよ。僕の投稿には「いいね」くれないのに……。悔しいんだよなあ(笑)。
──畑山さんは、同世代のバンドに対して悔しいという気持ちを抱くことも多いですか?
畑山 めちゃくちゃあります。同世代で友達としては仲がよくても、そのバンドが作ったいい曲を聴いたりすると悔しさを感じることは多くて。例えばMr.ふぉるても友達だけど、やっぱりバンドとしては悔しいなと思ったり。リュックもそうなんですよね。直接会う前からEggsでリュックの曲を聴いていたけど、リュックにランキングの順位を抜かされたこともあったし、そういうのはすごく悔しくなります。しかも、聞けば僕らよりも年齢は1個下で、都会でバンドやっていて、いいなあ……って。KALMAが持っていないものを持っているバンドなんだなと思って、悔しかった。でも、これはいい悔しさなんですよね。ウザくないから。
宮澤 ウザくないって(笑)。
畑山 だって「なんで人気あるんだ?」って思わないもん、リュックには。曲がいいし、「そりゃあ、みんな聴くよな」って思う。
──リュックの3人から見て、KALMAはどういう存在ですか?
松本 今もそうですけど、ホント雲の上の存在というか……。
宮澤・堂免 うんうん。
畑山 嘘つけ! 宮澤、普段タメ口じゃん!
宮澤 違いますよ!
畑山 じゃあ、いいよ(笑)。
宮澤 私たちが初めてKALMAを聴いたのは、Eggsで聴いた「僕たちの唄」だったんです。
松本 スタジオで、みんなで聴いたんだよね。
宮澤 そう。「これヤバい!」って。
畑山 ホント?
堂免 なりますよ。聴いていると、めっちゃワクワクしてきて。
畑山 体踊った?
堂免 踊りました。
畑山 心は?
堂免 お、踊りました……。
斉藤 言わせてるじゃん(笑)。
松本 でも本当に、KALMAの曲を聴くと「こういう音楽をやりたかった」と感じることが多いです。メロディもそうですけど、KALMAの曲って、1曲の中にいろんな展開があってドキドキするんです。僕は嫉妬というよりは、憧れになっちゃいます。
お互いがうらやましい
──KALMAから見てリュックの曲はどうですか?
金田竜也(Dr / KALMA) 朝目覚めて、1日の始まりに聴きたくなるような曲が多いなと思います。KALMAみたいなわちゃわちゃ感とは真逆で、いい意味でキレイというか、もちろんロックなんだけど、聴いていて自然と体が動いてしまうみたいな。
畑山 朝起きて、電車に乗ったりバスに乗ったりするじゃないですか。そのときにとりあえず耳にイヤホンを挿して、携帯を開いて、Apple MusicなりSpotifyなりで最初に再生したくなる。そのくらいスッと入ってくる感じがします。重くないからどんなときでも聴ける。朝に聴けば元気が出るし、夜に聴いても1日を締めくくってくれるし。「とりあえず聴こう」と思えるって、すごいことだと思うんです。それくらい、いい音楽っていうことだから。
斉藤 もしKALMAがリュックの曲をやったとしても、全然よくないと思います。リュックがやるからこそ、さわやかで気持ちよく聴ける感じがする。
畑山 わかる。KALMAでああいう曲はできないよね。
斉藤 そもそもリュックは、演奏がうまいから。
畑山 そうそう。軽音部だったっていうのもあると思うけど、1人ひとりの技術がちゃんとある。ユウくん、めっちゃギターうまいんだよな。この間、弾き語りで一緒にやったときも、自分はずっとコード弾いてるのに、ユウくんはアルペジオを弾いていて、「うまっ!」みたいな。
松本 逆に僕は悠月さんの声がうらやましいです。弾き語りライブのときに、悠月さんがTHE HIGH-LOWSの「日曜日よりの使者」を弾き語りでやったじゃないですか。それにめちゃくちゃジーンときて。悠月さんはアルペジオというより、ストロークだからこそ映える声だから、そこがうらやましいなって思うんです。
畑山 楽しく、気持ちよく歌いたいっていう気持ちがとにかく大きいからね。できるだけ簡単なコードでジャーンとやりたい。でも、ユウくんを見ると「いいな、ズルいな」と思う。「実は畑山はギターうまい」とか思われたいじゃん(笑)。
一同 (笑)。
畑山 でも弾けないんだよなあ。
──KALMAとリュックは同世代かつ同じ3ピースで、畑山さんが言うように近しいファン層の人たちもいて、共通する部分は多いけど、でも実は全然違う2組という感じですよね。
畑山 そうだと思います。似ているようで似ていない2組というか。
斉藤 雰囲気は似てるよね。
畑山 3人が仲のいい感じとか、雰囲気は似ていると思う。
松本 でも僕らは素の雰囲気を曲に出せないんです。KALMAはそれができるんですよね。いつも3人は楽しそうだし、普段の私生活がそのまま曲に出ている。そこがすごくうらやましいんですよね。僕らは身構えちゃうんですよ。本当は普段通りのスタジオの雰囲気でライブがしたいんですけど、それがうまくいかないというか。
畑山 そうかなあ? リュックは普段はふざけているけど、演奏になるとガッチリやるから、それがギャップでいいなと思う。僕らは演奏のときもおちゃらけちゃうし。
宮澤 そこがうらやましいんですよ。私たちは緊張でガッチガチになっちゃう。特にうちはMCがヤバいんです。みんなでしゃべろうって言っているのに、誰もしゃべれなくて、すぐ次の曲にいっちゃう(笑)。
正反対なMC
──ライブのMCに関して、KALMAからアドバイスはありますか?
松本 それ、めちゃくちゃ欲しいです!
斉藤 MCに関しては、僕らは何も言えないです。しゃべり続けちゃうんで。この間もMCでしゃべりすぎて、名古屋のライブで25分も押したんですよ。
松本・宮澤・堂免 ええっ!?
畑山 あれは反省しないとなあ……。KALMAはほぼ僕1人でしゃべっちゃうから。SEが流れてバッとカッコよくステージに出ていっても、1曲目をやる前からしゃべっちゃうときもあるくらい(笑)。で、僕がしゃべっているのに対して、陸斗がうんうんってたまに相槌を打ってくれて、竜也はずっと見守ってるっていう。
斉藤 うんうん。
金田 悠月が1人でどんどんしゃべっているのを遠くから眺めてます(笑)。
斉藤 相槌と言っても、僕と悠月はMCでケンカもするけどね。
畑山 しかもライブに関係ない話題で揉めるから。で、それが終わると、ぬるっと曲に入るっていう。
堂免 僕らはもう演奏でいっぱいいっぱいになっちゃって、関係のない話題も出てこないんですよ。だからKALMAの雰囲気がうらやましいんです。
畑山 全然よくないよ。名古屋で25分押したときも、2曲分くらいMCで話しちゃって。KALMAのことが好きな人だったらいいかもしれないけど、対バン相手目当てのお客さんが僕らのMCを見てどう思ったんだろう?って(苦笑)。
斉藤 なので、MCに関しては僕らからアドバイスできることはないです!
一同 (笑)。
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