私がスーパースターになったら……
──そのオーディションをきっかけに、2月6日に配信シングル「HERE WE ARE」でデビューしました。いつ頃レコーディングに取りかかったんですか?
夏ですね。オーディションに受かってから、すぐにレコーディングでした。
──作詞作曲にはシンガーソングライターの麦野優衣さんが携わっています。夢を追って歩いていくKAHOHさんの姿が等身大の言葉で描かれていますね。
そうなんです。この曲は今の自分の心境にものすごくリンクしていて……私には大好きな友達がいるんですけど、その子がファッションの勉強をするために来年の4月からアメリカに留学に行っちゃうんですよ。毎日悲しいけど、「私がスーパースターになったら、あなたもスーパーファッションデザイナーになって、服を作ってね」ってすごく大きな夢の話をしているんです。そんなときにこの歌詞を初めて見て、なんて自分の気持ちに合った歌なんだろうと思いました。優衣さんも、本当に17歳の気持ちに寄り添って書いてくれたと思います。
──この曲は夢を追う人の歌と言っても、何か新しく始めた人の歌ではなくて、道の途中を歩いている人の歌になっていますよね。ずっと音楽で生きていくことを目指してきて、そしてこれからもさらに大きな夢を持って音楽を続けていく今のKAHOHさんの姿にまさに重なります。
ホントにそう思います。今まで歩いてきた道がちゃんとあって、でもそれも無意味じゃなかったって思わせてくれるような歌……私の曲って感じです(笑)。
リアルじゃないと、誰にも聴いてもらえない
──楽曲のプロデュースはRYUJAさんが担当されています。RYUJAさんはKAHOHさんが中学生のときに歌っていたという加藤ミリヤさんの楽曲もプロデュースされている方ですね。
RYUJAさんにはスタジオで初めてお会いしました。そのときに歌を聴いてもらったんですけど、「力強いのに繊細な歌声だね」って褒めてもらえたのをすごく覚えています。
──レコーディングのとき、RYUJAさんからはどういったディレクションを受けましたか?
英語の発音の仕方についてアドバイスされた記憶はあるんですけど、基本的には「好きに歌っていいよ」という感じでした。自由な雰囲気でやらせてもらえました。
──初めてのレコーディングはスムーズにいきましたか?
スムーズにはいかなかったです。1日中かけてなんとか終わりました。レコーディングのときに気付いたのは……私、それまでは自分で勝手にごはんを食べたら歌えないと思ってたんですよ。
──どういうことですか?
お腹がいっぱいになったら歌いにくいと思っていて。だから私はそれまで歌う前は何も食べないようにしていたんです。でも、1番を録ったあとにごはんを食べてお腹いっぱいになっちゃったんですよ。そしたら2番を歌うときにみんなに「ごはんを食べてからのほうが歌いいじゃん」って言われて、これからはちゃんとごはんを食べようと思いました(笑)。
──ははは(笑)。歌声はとても透明感があって美しいですが、着飾っている感じが一切なく、まっすぐで素直な印象を受けました。ご自身ではどういうことを意識しながら歌っていましたか?
何も考えていないんですよね(笑)。カッコつけたいとか、自分のことをどう見てほしいとか、そういうことは考えてないです。だって歌は私そのものだから、そのままじゃないとダメ。リアルじゃないと、誰にも聴いてもらえない。
──KAHOHさんにとって歌は表現するものじゃないんですね。
はい。私自身が聴いてくれている人の心の中に飛び込んでいくという感覚です。歌=自分だから、人の耳に入るものは“私”なんです。
──自分をそのまま届けるという。
だからもしカッコよく歌いたいなら、私がカッコつけてるような気分の日じゃなきゃダメだし、かわいく聴いてほしいなら、ハートいっぱいの日じゃないとダメなんです。自分の心と歌が連動している感覚ですね。
誰かの日常生活の一部になりたい
──KAHOHさんはデビューが決まったときに「世代のカリスマになりたい」とコメントされていましたが、どういうアーティストになったら「カリスマになった!」と言えますか?
みんなが聴こうと思って私の歌を聴くんじゃなくて、道を歩いていると私の歌が勝手に聞こえてくるようになったとき。今ならアリアナ・グランデみたいな。アリアナの新曲が出たら、お洋服屋さんで店員さんが「アリアナを聴こう」じゃなくて、「流しておこう」ってなりますよね。「これ流してたらイケてるっしょ」って。
──いろんな人の日常生活に自然とKAHOHさんの音楽が流れているような形が理想ということですよね。
はい。誰かの日常生活の一部になりたいです。そうなれたら、私はすごくうれしい。
──KAHOHさんは歌において言葉を重視されていますが、今後作詞にもトライしたい気持ちはありますか?
最近、初めて1曲だけ歌詞を書いたんです。それまではポエム的なものを書くぐらいだったんですけど、これからはどんどん作詞にも挑戦していきたいですね。自分の心と歌が連動しているので、恋愛していたら恋愛の曲を書いてみたいですし(笑)。
──では最後にデビューを迎える心境と今後への意気込みを聞かせてください。
私はずっと音楽で生きていきたいし、その覚悟が決まった感じです。スタートラインに立てたから、絶対に無駄にはしない。走って階段を登りたいです。