KAHOH「HERE WE ARE」インタビュー|歌と共に生きていく17歳のR&Bシンガー

自分で設けたタイムリミット

──中学生の時点でプロの歌手になりたいと思っていたんですか?

KAHOH

はい。実は私、歌を始めたときにタイムリミットを決めたんですよ。

──タイムリミット?

中学3年生までにどこの事務所にも入れなかったら、絶対に歌を辞めようと思ってました。

──中学3年生と言ったら、まだ15歳ですよ?

そのときは高校生になったら、きっとどこの事務所も受け入れてくれないと勝手に思っていて。スクールのライブには、自分より年下の子がいっぱい出てたんですよ。だから、自分が中学1年生で歌を始めたのも遅すぎたと後悔しました。もしもっと早く始めていたら、私はもっと歌がうまくなってたかもしれないってすごく悔しくて、ライブに出ている小学生の子たちがうらやましかった。そういう環境にいたから、高校生になったらもうダメなんだと思っていたんですよね。

──なるほど。

だから中学生のときにたくさんオーディションを受けて、何回も落ちました。リミットが近付いた中学3年生のときにオーディションの審査員の人に「歌を一からやり直したほうがいいし、なんで歌を歌っているのか考えたほうがいいよ」って言われて最終審査で落ちて。あのときはめっちゃ落ち込んで、1人で泣きながらバスで帰りましたね。

──それで、タイムリミットが訪れて……。

そうなんです。でも中学3年生のときには、歌をやっている子に誘ってもらってライブハウスで歌うようになって。大阪のumeda TRADに出たのをきっかけに、いろんなライブに出演させてもらえるようになったんです。それで、もう少しだけがんばってみようかなと思って。

──タイムリミットは過ぎちゃったけど、続けてみようかなと。

はい。結局は歌うことが好きすぎて、辞めれなかったんだと思います。中学3年生になってもどこの事務所にも入れなかったら絶対辞めるって、両親やみんなに言ってたのに。それで、タイムリミットを高校3年生まで伸ばしたんですよ(笑)。

──そこでもリミットを設けるんですね(笑)。

そうです。高校3年生になってもダメだったら、絶対辞めようと思ってました。高校に入ってからも「私は歌手になりたいんです!」ってみんなに言ってたら、学校の先生が私のことをスクールに紹介してくれて、そこでまたレッスンを受けるようになりました。

歌はずっと私の味方でいてくれる

──そして16歳のときにKAHOHさんはアーティストオーディション「STAR ARTIST 2018」で審査員特別賞を受賞します。このオーディションを受けたのはスクールの紹介ですか?

いや、自分で見つけて応募しました。

──とにかくプロになりたいという気持ちが強くて?

はい、スクールというせまい場所でしか評価されない歌なんて私にはいらないから。スクールの中で先生と生徒だけに「あの子めっちゃカッコいいな」って言われても全然カッコよくないです。もちろん先生は優しく教えてくれてたんですけど。

──そのオーディションでは何を歌ったんですか?

最終審査では絢香さんの「三日月」を歌いました。

──手応えはどうでした?

KAHOH

歌ったあとに「どういう音楽聴くの? どんなアーティストが好きなの?」っていっぱい質問されたときに、「これは絶対受かった!」と思いました(笑)。

──受賞したときはどういった心境でしたか?

めっちゃうれしかったです! お母さんに泣きながら電話したら、お母さんも「今までよくがんばったね」って泣いてて(笑)。やばい、思い出したら泣きそう……。

──何度もオーディションを受けてきて、ついに思いが実ったわけですもんね。

はい。でも、ダンスでは難しいけど、歌では絶対に結果が出ると思ってました。がんばってたら、歌はずっと私の味方でいてくれるって。

──歌うことはアーティストによって自分の感情を吐露するものであったり、ライブで人との一体感を楽しむものであったりそれぞれだと思いますが、KAHOHさんにとって歌うという行為はどういうものなんでしょうか?

“自分を保つもの”かな……歌っていないと情緒不安定になってしまうくらい、歌ってることは当たり前のことなんです。私の歌を届けるって、自分だけができることだと思うんです。この声は私しか持ってないし、歌い方も真似はできるけど誰も私には絶対なれない。

──歌うことはKAHOHさんにとって大切なアイデンティティなんですね。

歌うことで自分に自信が持てる。もう歌いたくないと思うこともあるけど……。

──どういうときに?

自分のことが信じられなくなったとき。具体的にどういうときかってすぐには出てこないんですけど、めっちゃ落ち込んでて「今の私が歌っても誰にも何も届けられないな」と思っちゃうときは、自分のことがすごい嫌いになって心を込めて歌うのが難しいです。

──KAHOHさんの中ではきっと歌と自分の距離感がものすごく近いんですね。自分の心と歌が連動しているような……。

本当にそう思います。歌と自分の心は一緒ですね。