和歌山県在住の17歳のR&Bシンガー・KAHOHが2月6日にデビュー曲「HERE WE ARE」をLINE RECORDSより配信リリースした。
新人アーティスト発掘オーディション「STAR ARTIST 2018」で審査員特別賞を受賞し、デビューを勝ち取ったKAHOH。シンガーソングライターの麦野優衣が作詞作曲で参加したデビュー曲には、幼い頃から音楽に携わりプロとして音楽活動することを目指してきたKAHOHの姿が等身大の言葉で描かれている。音楽ナタリーでは夢へのスタートラインに立ったKAHOHにインタビューし、これまでの道のりや歌うことへの強い思いを語ってもらった。
取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / 須田卓馬
私、絶対人と違うことができる
──KAHOHさんは4歳のときにダンスを習い始めたそうですね。
はい。いとこがダンスをやっていて、そのレッスンを見に行ったときに「私、これやりたい!」って言ったらしいです。そのときのことは覚えてないんですけど、生徒の人たちが踊っているのを見てカッコいいと思ったんでしょうね。
──その頃の一番古い記憶は?
スクールに入ってすぐに発表会があったんです。普通は入ったばかりだと出られないんですけど、私はちょっと踊れたみたいで出してもらえて。それがうれしかったのは覚えています。
──歌を始めたのはもっとあとですか?
歌は中学生になってからです。それまでは家で坂本冬美さんを歌っていたくらい。自分のことを音痴だと思ってました(笑)。
──ピンポイントに坂本さんを。
同じ和歌山出身なんです。「また君に恋してるー♪」(「また君に恋してる」)ってよく歌っていたんですけど、家族からは音痴って言われて(笑)。でも、中学生になって初めてボイトレに行ったときに、先生に「私音痴だけど、歌がうまくなりたい」って言ったら「音痴じゃないよ。歌い方が変なだけ」と言われました。
──当時はプロのダンサーになりたいという意識は?
ありましたね。私は1つのことにすごく夢中になるタイプなので、そのときはダンスしかないと思っていました。
──4歳からダンス1本だったKAHOHさんが、中学生になって歌を始めたきっかけは?
中学1年生のときに、スクールの先生に「今度アーティストクラスを作るんだけど、KAHOHも入らない? 歌もやってみなよ」と誘われたんです。その頃ちょうどMACOさんの歌にハマっていたので、歌うのもいいなと思って「やります!」って言って。それで実際歌のレッスンを受けてみたらめっちゃ楽しくて、ダンスを辞めました。
──歌とダンスどちらもやる選択肢もあったと思いますが、なぜダンスを辞めたんですか?
ダンスの先生に「KAHOHはもう歌うことが大好きなんでしょう? ダンスに出てるよ」って言われて、「あ、もう辞めよう」と思いました(笑)。
──ダンスに歌が好きすぎるのが出ちゃっていると?
そうです。でも、ダンスをずっとやりながら、心のどこかでなんか違うなと感じていたんだと思います。自分にしかもっとできないことが絶対あるなって……ダンスも続けられたらよかったんですけど、でもそのとき歌を本気でやりたいと思ったから。ダンスは長い間やってるのに全然自信がなかったけど、歌を初めてやったときに「私、絶対人と違うことができる」という感覚になったんです。初めて自分を信じられるものが歌だった。
ヒップホップとの出会い
──具体的には当時歌うことのどういったところに魅力を感じたんでしょう?
私は昔から本を読むのが好きなんですけど、本って長いじゃないですか。でも歌詞は、短い1番2番の間にストーリーが全部詰まってるんです。私は言葉を見るのがすごく好きだから、それを伝えている“歌う人”に憧れていたのかなと思いますね。
──歌っているうちにどんどんスキルアップしていく感覚はありましたか?
ありました。だって毎週レッスンがあるから、次の週までにレベルアップしていなきゃいけないし。練習してわからないことを全部先生に聞いて、次の週には絶対それをできていなきゃ嫌だった。それを繰り返していたら自然とできることが増えて、歌えるようになっていきましたね。そのあとスクールはやめて、ボイトレの個人レッスンに行くようになりました。
──中学生の頃はレッスンでどんな歌を歌っていたんですか?
MISIAさんやJUJUさん、加藤ミリヤさん。絢香さんの曲もよく歌っていましたね。
──ヒップホップがお好きだそうですが、ヒップホップとの出会いはいつ頃?
それは高校生になってからです。でも、ヒップホップダンスをやっていたから、ずっと周りでヒップホップが流れていたんですよ。だから自然と身に染み付いている部分もあるのかな。
──いろんな音楽ジャンルがある中で、ヒップホップのどういうところに惹かれていったんでしょうか?
リリックだと思います。私、日本語ラップが好きなんですよ。特に唾奇さんが大好きで。唾奇さんのリリックはすごくリアルで、嘘がない。ホントに自分を削ってリリックを書いているような感じがして、それがすごくカッコいいなと思います。唾奇さんの音楽に出会ってから、いろんな方々の日本語ラップを聴くようになりました。
──KAHOHさんは歌において言葉や、そこにどういう思いが込められてるかというところに重点を置いているんですね。
確かにそうかも。私、人の話す“言葉”がすごく好きです。
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