JUNNA|戦いの先にある“Here”

テレビアニメ「マクロスΔ」に登場する戦術音楽ユニット・ワルキューレでの活躍を経て、今年6月にソロアーティストとしてデビューしたJUNNA。デビューミニアルバム「Vai! Ya! Vai!」では、16歳とは思えない情念すら感じる歌声で大人びた“歌謡ロック”を歌いこなした彼女だが、11月発売のニューシングル「Here」ではエスニックな要素が取り入れられた新たなサウンドに挑戦している。音楽ナタリー2度目の登場となる今回のインタビューでは、ソロデビューと初の単独ツアーを経験し、次のステップへと突入した現在の心境を聞いた。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 草場雄介

課題を1つ1つクリアしていくような初ツアー

──JUNNAさんはこの6月に1stミニアルバム「Vai! Ya! Vai!」をリリース後、8月から9月にかけて初のワンマンツアーをされました。今日はそのツアーの感想から聞かせていただけますか?

東京で始まって大阪、名古屋と各2公演ずつ、計6公演やらせていただいたんですけど、やっぱり東京の初日はホントに緊張して、どうしていいのかまったくわかりませんでした。ワルキューレ(テレビアニメ「マクロスΔ」の劇中に登場する戦術音楽ユニット。そのエースボーカルである美雲・ギンヌメールの歌唱パートをJUNNAが担当した)では5人でステージに立っていましたし、しかも美雲はMCをほとんどしないんです。だからどうやってお客さんとコミュニケーションを取ればいいのか、一生懸命考えて。

──実際、初日はうまくしゃべれました?

私はお客さんと会話するのが好きなので、MCもそういう感じで。お客さんもたくさん笑ってくださったし、私も楽しくしゃべれたんですけど、まだ伝えきれない部分もたくさんあったので……。

──課題が見えた?

JUNNA

はい。そういう課題を1つひとつクリアしていくようなツアーだったかもしれません。2日目以降はいくらか緊張もほぐれて。最後の名古屋は私の地元なので、家族や親戚や友達がたくさん観にきてくれて「ああ、帰って来たんだ」と思いながら、無事にツアーを終えることができました。

──歌の心配はなかったんですか?

心配な部分はもちろんあったんですけど、それ以上に不安な要素が多すぎて(笑)。

──歌の心配をしている場合ではない(笑)。

歌に関して言えば、まずソロで2日連続でライブをするのが初めてだったし、ワルキューレでは自分はハモりだけで主旋律はほかのメンバーが歌う曲もあったりして、声を休める時間があったんですけど、今回はそれがないんですよ。だから声を持たせるために、ある部分では抑えつつ、「でもここは声を張らないとお客さんも楽しめないな」みたいに考えながら。公演ごとに改善していくような感じでした。

美雲とJUNNAの違い

──ではニューシングルの話に移ります。表題曲「Here」はアニメ「魔法使いの嫁」のオープニングテーマですね。

お話をいただいてから原作コミックを拝読したんですけど、「マクロスΔ」とはまた違った世界観と言うか……。

──全然違いますよね。「魔法使いの嫁」は家族のいない孤独な少女・羽鳥チセが、異形の魔法使い・エリアスの弟子兼花嫁として迎え入れられるというストーリーですから。

今まで見たことのない、自分にとって新しいジャンルで「こういう世界もあるんだな」って思いました。

──JUNNAさんはワルキューレの美雲・ギンヌメールというキャラクターとして「マクロスΔ」の楽曲を歌い、その後ソロアーティストとしてご自身の歌を歌われました。今回はJUNNAさん名義でアニメの主題歌を歌うというパターンですが、ご自身の中でそれらの歌い分けみたいなものはありますか?

JUNNA

ありますね。まず美雲は、いつも堂々としている、強くてミステリアスなキャラクターなので、それを絶対に忘れずに。だからライブの本編ではMCをしないし、ステージ上でも基本的に笑顔はあまり見せず、カッコよく見せることを意識しています。一方JUNNAとして歌うときは、歌声自体は美雲とそんなに変えてはいないんですけど、例えばバラードでは強さの中にも弱さを見せたり、ライブでも明るい曲ならずっと笑顔で歌ったり。

──素の自分のまま?

はい。「Here」では主人公のチセの気持ちを歌で表現するにはどうすればいいか、すごく考えました。例えば第1話はチセが競売にかけられるところで始まるんですけど、自分がそんな状況になることなんてないじゃないですか。だから私たちの想像を超えた孤独や寂しさがまず最初にあって、そこからエリアスと出会って、チセの気持ちもどんどん変わっていく。それを1曲の中で表現したいと思って歌いました。

──実際、「Here」の歌声は実にエモーショナルで、「ホントに16歳なんですか?」と改めて問いたくなります。

ありがとうございます。最初は、今言ったみたいに孤独や寂しさを表現しようと思ったんですけど、終盤のアカペラのパートではとにかく力強さを見せようと思って。あそこが一番インパクトを与えられる部分でもありますし。

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新曲「Here」への挑戦

JUNNA「Here」
2017年11月1日発売 / FlyingDog
JUNNA「Here」CD

[CD]
1512円 / VTCL-35263

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収録曲
  1. Here
  2. Steppin' Out
  3. ソラノスミカ
  4. Here -Instrumental-
  5. Steppin' Out -Instrumental-
  6. ソラノスミカ -Instrumental-

ツアー情報

JUNNA ROCK YOU TOUR 2018 ~I'm Here~
  • 2018年4月15日(日)宮城県 LIVE STUDIO RIPPLE
  • 2018年4月22日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2018年4月28日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2018年5月5日(土・祝)愛知県 Zepp Nagoya
JUNNA(ジュンナ)
JUNNA
2000年11月2日、愛知県生まれのシンガー。テレビアニメ「マクロスΔ」で劇中に登場する“銀河系最強の戦術音楽ユニット”ワルキューレのメンバー、美雲・ギンヌメールの歌を担当し、2015年大晦日に配信シングル「いけないボーダーライン」でワルキューレとしてデビューを果たす。以降、2016年4~9月のアニメ放送に合わせてワルキューレでの活動が活性化し、2枚のシングルと3枚のアルバムを発表した。2016年夏には東名阪のZepp会場を回るライブツアー「SANKYO presents『マクロスΔ』戦術音楽ユニット ワルキューレ 1st LIVE in Zepp Walkure Attack!」を、2017年1月には神奈川・横浜アリーナでの2DAYSライブ「ワルキューレがとまらない」を成功させた。2017年6月に1stミニアルバム「Vai! Ya! Vai!」でソロデビュー。11月にはテレビアニメ「魔法使いの嫁」オープニングテーマ「Here」が1stシングルとしてリリースされた。2018年春には2度目のソロツアー「JUNNA ROCK YOU TOUR 2018 ~I'm Here~」を行う。