ナタリー PowerPush - THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION×ギターウルフ

ジョン×セイジ 日米ロックンロール頂上決戦

トリオ編成へのこだわり

──お2人とも、トリオという形で長いことバンドを続けているわけですが、トリオという形に何かこだわりはあるんですか。

ジョン・スペンサー

ジョン シンプルなのがベストだと思うんだ。人数が少なければ少ないほどより魅力的でパワフルになる。俺にとってラッセル(・シミンズ)やジュダ(・バウアー)との絆は特別なものだからね。彼らと一緒だと演奏もうまくいくんだ。

セイジ (いきなり)ラッセルは相変わらずヘビードランカーなの?

ジョン いや。彼は酒をやめたよ。

セイジ マジで?(笑) なあんだ。今夜打ち上げでたっぷり飲めると思ったんだけどなあ(笑)。

ジョン でも相変わらず楽しいヤツだよ、飲まなくてもね(笑)。

セイジ じゃあ彼は痩せたの?

ジョン うん。だいぶ痩せたよ。

セイジ そうか。彼は太ってるほうがいいんだけどなあ(笑)。

ジョン でもいまだに大男であることには違いないよ。あとで確認してくれ(笑)。

──セイジさんは3人であることにこだわりはあるんですか?

セイジ うーん、最初はもう1人ギターがいたんだけど、俺があまりにもヘタすぎて、人に合わせられない(笑)。

ジョン ギターは独学なの?

セイジ もちろん。

ジョン 俺もだよ。ジュダは1日何時間も練習して腕を磨いて、なんでも弾ける。でも俺は独学の上、たいして練習もしないから、全然うまくならない。よく練習する人は偉いと思うけど、俺にはできない。自分はパンクスタイルを貫きたいんだよ。

セイジ どんな曲をコピーしたの?

ジョン 俺かい? THE VENTURESかな。「ウォーク・ドント・ラン」とかさ。THE VENTURESの、いわゆるマイナスワンのレコードにあわせて弾いてた。ギター抜きとか、ベース抜きのバージョンにあわせてね。

セイジ へえ、そんなレコードあるんだ。

ジョン 昔はそういうレコードをよく売ってたよ。あとはTHE CRAMPSとかTHE GUN CLUBとかをコピーしてた。

「うまいギタリスト」よりも「いいギタリスト」

──いいギタリストになるためのコツってありますか?

左からセイジ、ジョン・スペンサー

ジョン (即答)足で弾かないことだね(笑)。いいギタリストであるために一番大切なのは技術じゃない。なぜ俺がギターウルフを好きかっていうと、ハートで演奏してるからなんだ。もちろん技術的にうまいことも価値があるけど、それはいわば「うまいギタリスト」なんだ。でもセイジの演奏には魂がこもってる。だから「いいギタリスト」なんだ。

セイジ やっぱ練習しないことだね!(笑)

ジョン あはは(笑)。わかるよ。練習しないの? 家でも?

セイジ スタジオで弾くだけだね。

ジョン 曲を作るときに?

セイジ そうそう。

──セイジさんは「うまくなりすぎたらダメだ」って、昔から言ってますよね。

ジョン もちろん技術的に優れたギタリストに「いいギタリスト」は多い。ジュダも何十年もかけて腕を磨いて素晴らしいギタリストになった。でも俺はTHE CRAMPSとかTHE GUN CLUBや60年代のガレージパンクに惹かれて、彼らのようなとてもシンプルでクールで生々しいロックンロールを目指そうと思ったんだ。あとはR.L.バーンサイドみたいなローファイなブルーズだね。彼らの音楽は手作りの感覚で、装飾も何もないけど、そのぶん生々しくて迫力がある。彼らの音楽を聴いて、これが自分の進むべき道だと確信したんだよ。

セイジ いいバンドはみんなハードに練習してるよ。俺たち以外は(笑)。気合をテクニックでカバーしようと思いだしたらもうオシマイだね(笑)。

ジョン いつもすごいエネルギーでプレイしてるよね、腰とか肩とか背中とかにこない?

セイジ 1回手術したよ。飲み過ぎで(笑)。アルコールで内臓は壊れなかったけど、骨にきた。

ジョン そうか、じゃあもう飲めない?

セイジ

セイジ いや、毎日飲んでる(笑)。

ジョン ジャンプしたりダイブしたり、すごくハードなライブだよね。怪我したことはないの?

セイジ (力強く)もちろんいつも!

ジョン 昔からの知り合いだけど、俺が年食ったぶん、セイジも年取ってるはずじゃない? ライブ前に、今日は気をつけようとかセーブしようとか思わない?

セイジ ああ、もちろんそう思うよ。でもやってるうちに夢中になって、ワケがわからなくなる。

ジョン 骨折とかしたことない?

セイジ 骨折はないな。ベルギーで、すっごい高いところからジャンプしたことあったけど、全然平気だった。

ジョン きっとそういうときは霊みたいなものに守られてるんだよ(笑)。

スプリットシングル「ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン VS ギターウルフ」 / 2013年1月23日発売 / [CD+DVD] / 2835円 / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル / SICP-3723~4
スプリットシングル「ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン VS ギターウルフ」
DISC1 : CD
  1. スモーク・オン・ザ・ウォーター *
  2. シーズ・オン・イット ~ ジャック・ザ・リッパー *
  3. ガソリン子守唄 *
  4. リーヴ・ミー・アローン・ソウ・アイ・キャン・ロック・アゲイン **

*:新録曲
**:未発表曲

DISC 2:DVD(ライヴ・アット・下北沢シェルター)
ギターウルフ
  1. イナズマのメロディ
  2. オールナイトでぶっとばせ!!
  3. ドーベルマンナイト
  4. ジェット ジェネレーション
  5. ワイルド ゼロ
THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION
  1. メドレー
  • ガズークス
  • テル・ミー・ザット・ユー・ラヴ・ミー
  • スウェット
  • シャート・ジャック
  • ブルース・X・マン
  • ソウル・タイプキャスト
  • アンクリアー
  • (アウトロ)

ボーナストラック:ベルボトムス

THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION
(ざ・じょん・すぺんさー・ぶるーす・えくすぷろーじょん)

プロフィール画像

1991年にアメリカで結成された、ジョン・スペンサー(Vo, G)、ラッセル・シミンズ(Dr)、ジュダ・バウアー(G)からなるベースレスのスリーピースバンド。ブルースとパンクを融合させ、ヒップホップの要素も加えた現代的なロックサウンドで、欧米のみならず日本でも高い評価を得ている。2004年のアルバム「Damage」の発売を機にバンド名をBLUES EXPLOSIONと改名。その後活動が停滞するが、2008年からライブ活動を再開させる。2012年には約8年ぶりのアルバム「Meat And Bone」をTHE JON SPENCER BLUES EXPLOSION名義でリリースした。

ギターウルフ

プロフィール画像

1987年結成のスリーピースロックバンド。革ジャン、革パン、サングラスがトレードマークで、3コードを基本としたシンプルなロックンロールを鳴らす。ヨーロッパやアメリカでの評価が非常に高く、早くから海外でのライブ活動を行っていた。2005年にベースのビリーが心不全により急逝。同年9月に楽器未経験者のUGがメンバーとして加入した。2007年にはセイジ(Vo, G)の股関節損傷を理由にライブ活動を一時休止。2010年からライブ活動を再び本格化させた。2013年3月6日には前作「宇宙戦艦ラブ」から約2年3カ月ぶりとなるニューアルバム「野獣バイブレーター」をリリース予定。