「The 37th Anniversary LONDON NITE X'mas Special 2017」 PR

「LONDON NITE」37周年特集 大貫憲章×渡辺俊美対談|数々の才能を世に送り出してきた“ロックの名門”

12月17日に東京・clubasiaにてクラブイベント「The 37th Anniversary LONDON NITE X'mas Special 2017」が行われる。このイベントは「LONDON NITE」の37周年を記念して実施されるもの。音楽ナタリーではイベントの開催に先駆けて「LONDON NITE」の主宰者である大貫憲章と、イベントにゆかりのある渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、THE ZOOT16)の対談を実施し、「LONDON NITE」にまつわる印象深いエピソードを語り合ってもらった。なお今回の取材では、渡辺にアナログレコードを持参してもらい、彼が考える「ロンナイクラシックス」を紹介してもらった。

取材・文 / 望月哲 撮影 / 沼田学

ガーゼシャツ、剣道の袴、鋲付きランドセル

──俊美さんが初めて「LONDON NITE」に遊びに行ったのはいつでしたか?

渡辺俊美 18歳のときです。僕は大学に剣道の推薦で入ったんだけど、練習や上下関係だとか、いろんなことになじめずにすぐ辞めてしまったんです。で、あるとき校内をぶらぶらしてたらプロデュース研究会というサークルの人に話しかけられて。どんな活動をしてるのか聞いたら「夜な夜なディスコに遊びに行ったりしてる」って言うんで、面白そうだから入部したんですよ。

──それまでの体育会系とは真逆の世界ですね(笑)。

渡辺 そうそう。大学一軟派なサークルだったんじゃないかな(笑)。それで最初に遊びに行ったのがロンナイだったんですよ。

──ナイトクラビングは、それが初めてですか?

渡辺 初めてです。僕は福島の田舎から出てきたんで、それまでクラブとか全然行ったことがなくて。とにかくドキドキしましたね。遊びに来てる人たちも、みんなおしゃれだし。それから僕もおしゃれしてロンナイに遊びに行くようになりました。

大貫憲章 俊美くんは当時どういう格好をしてたの?

渡辺 セディショナリーズのスカートとか履いてました。

大貫 パンク系だったんだ。

渡辺 そうですね。スカートに革ジャンとか。

大貫憲章

大貫 いたよね、そういう人。藤原ヒロシなんかも、すごい格好してたよ。髪型がリーゼントなのにボンデージパンツ履いてたり。ロカビリーだかパンクスだかわからない(笑)。

渡辺 僕も独自のアレンジを加えてました。で、最終的にはガーゼシャツ着て、剣道の袴履いて、鋲を打ったランドセル背負って遊びに行ってました(笑)。

大貫 すごいね(笑)。

渡辺 おしゃれって言うか、単に目立ちたかったんだと思います。「アイツは何者だ!」みたいな(笑)。たぶん話しかけられて仲間を作りたかったんでしょうね。

大貫 仲間を作りにクラブに行くとか今じゃ考えられないだろうね。

渡辺 今はそれがネットになってるんだと思います。息子を見てても、「僕、こういうのが好きっす!」みたいな情報交換をネットでやってますから。

──当時のクラブでは、そういった情報交換が直接行われていたんですね。

渡辺 そうです。だから、ある種の社交場と言うか。そこに行かないと手に入れられない情報がたくさんあったんですよ。

大貫 当時はネットも携帯もなかったしね。

渡辺俊美

渡辺 でも行けば誰かしら友達がいるっていう。そこで音楽とか洋服の最新情報を交換して。当時はDCブランド全盛だったから、ファッション業界の人もたくさん遊びに来てましたよね。

大貫 MILKの大川ひとみさんとか。さっき話題に挙がった藤原ヒロシも、ひとみさんが企画したロンナイのファッションショーで優勝して一気に注目を集めるようになったわけだから。もともと目立つ客ではあったんだけど。

渡辺 いち早くスケボー始めたり。

大貫 ニューヨークから帰ってきたとき、段ボール敷いて頭でクルクル回ってるんだよ。で、「何やってんの?」つったら「今、ニューヨークで流行ってるダンスです」って。要するにブレイクダンスだよね。

渡辺 ホントにヒロシくんは早かったです。

大貫 日本のストリートカルチャーの先駆者と言うか。その後、カリスマとか言われるようになったけど、僕は昔から彼を見てるんで全然違和感がなかった。ただ、ヒロシはとにかく自由な感覚の持ち主で。人によっては生意気に見えてたのかもしれない。上下関係とか気にしてなかったし。

渡辺 基本、歳上の人も「●●くん」って呼んでましたよね。

大貫 僕には「さん」付けだったけど(笑)。全然「大貫くん」でよかったんだけど。

渡辺 いやいや。さすがにそれはないでしょう(笑)。

渡辺俊美がDJを始めたきっかけとは

大貫 そんな感じで当時のロンナイには個性的なお客さんが集まってたからケンカや揉め事も日常茶飯事だったよね。

渡辺 みんな若かったですから。

──俊美さんが遊びに行ったときもありましたか?

渡辺 しょっちゅうありましたよー。(小声で)僕はたまにでしたけど。

──参加してましたか(笑)。

左から大貫憲章、渡辺俊美。

大貫 例えば革ジャン着てる同士でもケンカするんですよ。趣味が近いから仲よくなるかと思いきや。

渡辺 牽制し合うんですよね。「てめー、軽々しく話しかけてくんじゃねえぞ!?」みたいな。

大貫 それでピリッとしたムードが漂ったり。みんなが同じ価値観じゃないのでね。むしろバラバラだから。それをまとめるのが大変で。

渡辺 大変、大変。よくやってましたね、大貫さん(笑)。

大貫 毎回、本当に大変だった(笑)。とりあえず、その場を落ち着かせてね。映画みたいな世界ですよ。

渡辺 でも結局、DJがカッコいい曲をかけると険悪なムードが一気によくなるんです。

大貫 そういう意味でも音楽の力は偉大ですよ。

渡辺 バチバチやり合ってた2人が「さっきはゴメンな」とか仲よくなったり。1回ぶつかり合わないと仲よくなれない(笑)。

大貫 それにしても当時は熱いお客さんが多かったよね。特にロンナイはパンクスの比率が高かったし。

渡辺 僕も当時、シャムズっていうパンクバンドでドラムを叩いてましたし。

大貫 お客さんにはバンドやってる子が多かった。メタルは全然いなかったね。メタルは伊藤政則さんのイベントに行ってたから(笑)。うちはパンク専門みたいな。

渡辺 パンクスとメタルでお互いのファッションをDisり合ったりしてましたね。

大貫憲章

大貫 でも、女の客は向こうのほうが多いんだよ(笑)。グルーピーみたいな女の子がいっぱいいたから。

渡辺 ははは。そうでしたね。

大貫 その点、こっちは野郎ばっかで硬派なノリだった(笑)。

渡辺 いい曲がかかったらみんなでワーって盛り上がって。楽しかったですね。

──俊美さんがDJを始められたのもロンナイの影響が大きいですか?

渡辺 完全にそうです。ロンナイに遊びに行くようになって、DJに興味を持つようになったんで。特に藤井悟くんと松岡徹くんっていう2人のDJにはすごく影響を受けました。人柄も選曲もとにかく最高で。憧れましたね。それで自分でもDJをやってみたいなと思うようになって。同時に、自分でお店をやるようになったのも大きかったですね。

──と言いますと?

渡辺 僕はラフォーレ原宿のセルロイドという洋服屋さんでバイトしてたんですけど、ある時期から店長を任されるようになって。それで忙しくてバンドの練習ができなくなっちゃったんですよ。店長になってから3年間無休で働いてたんじゃないかな。

大貫 確かに当時の俊美くんは完全にショップの人ってイメージだった。

渡辺 バンドやってても、例えば19時スタートのライブとか絶対に出れないじゃないですか。ただ閉店後の夜中は自分の時間があるんですよ。DJだったらバンドと違ってみんなで集まって練習する必要もないし、今の自分にもできるんじゃないかと思ったんです。

──そういう経緯があったんですね。

渡辺 はい。で、ちょうどその頃、下北沢ナイトクラブっていう、のちの下北沢ZOOになるお店で、悟くん、徹くん、荏開津広くんがイベントを始めて。彼らに声をかけてもらったのが本格的にDJを始めることになったきっかけです。

大貫 俊美くんがDJを始めたっていうのは、あとになってから知ったんだよ。当時はどういう曲をかけてたの?

渡辺 ハウスとか四つ打ちのダンスミュージックです。

大貫 へえ、そうだったんだ。

渡辺 せっかくDJをやるんだったら誰もかけてないような一番新しい音楽をかけたいなと思って。それも今思えば、僕自身のパンク精神みたいなものだったのかもしれませんね。ほかの人と同じことをやりたくないっていう。

The 37th Anniversary LONDON NITE X'mas Special 2017
The 37th Anniversary LONDON NITE X'mas Special 2017

2017年12月17日(日)東京都 clubasia
OPEN&START 16:00

LIVEギターウルフ / THE NEATBEATS / 勝手にしやがれ / THE ZOOT16 / Lemon & The Availables / THE TOKYO

DJ大貫憲章 / ヒカル / 稲葉達哉 / SHOJI / katchin' / Yossy / U-ichi / YU-TA

ゲストDJ松田“CHABE”岳二(LEARNERS)

大貫憲章(オオヌキケンショウ)
音楽評論家 / DJ。1951年2月22日生まれ。1971年から音楽評論家として執筆活動を開始する。またNHKラジオ「若いこだま」への出演を皮切りに「全英TOP20」「サウンドプロセッサー」「ロックディメンション」といったラジオ番組のDJやTVK「ミュートマ・ワールド」のVJなどを担当。現在自らがDJを務める番組「Kenrocks Nite - Ver.2」がInterFM897にて毎週木曜日23:00より放送されている。1980年からロック系クラブイベント「LONDON NITE」を新宿ツバキハウスにてスタート。以降、「ロックで踊る」をテーマに掲げ37年にわたり同イベントを開催している。2017年12月17日には東京・clubasiaにて「LONDON NITE」の37周年イベント「LONDON NITE X'mas Special 2017」が行われる。
渡辺俊美(ワタナベトシミ)
1966年12月6日生まれ、福島県出身のアーティスト。TOKYO No.1 SOUL SETのボーカル&ギタリストであり、ソロユニットTHE ZOOT16でも活動。2010年に、福島県出身の松田晋二(THE BACK HORN)、山口隆(サンボマスター)、箭内道彦(風とロック)とともに猪苗代湖ズを結成。2012年6月に初のソロアルバム「としみはとしみ」をリリースした。2013年12月にTOKYO No.1 SOUL SETのアルバム「try∴angle」を発表。2014年4月に刊行した初の著書「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」がベストセラーとなり、翌2015年にテレビドラマ化された。2015年6月リリースのシシド・カフカのミニアルバム「K5(Kの累乗)」では常磐道ズとして「くだらない世の中で」の作詞・作曲・プロデュースを担当。また2016年に上映された映画「パパのお弁当は世界一」では武田玲奈と共に主演を務めた。