ナタリー PowerPush - THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION×ギターウルフ

ジョン×セイジ 日米ロックンロール頂上決戦

日本を代表するロックンロールバンド・ギターウルフと、アメリカを代表するローファイロックの王者THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION(JSBX)がスプリットシングルをリリース。ズバリ「ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン VS ギターウルフ」と題された4曲入りシングルには、ウルフのカバーするDEEP PURPLEの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、JSBXによるBEASTIE BOYSとリンク・レイのメドレーカバー「シーズ・オン・イット」といった2曲と、とっておきの国内未発表オリジナル2曲を収録。爆裂ロックンロールの真髄とも言うべきすさまじい演奏が聴ける。

それに先立ち来日したJSBXとギターウルフがステージでも共演。去る11月17日に東京・下北沢の小さなライブハウスで行われたライブは、立錐の余地もない超満員。お互いの負けられない気合がぶつかりあい刺激となって、狭いステージがぶっ壊れそうなボルテージのライブが繰り広げられたのは言うまでもない。

お互いを深く敬愛する友人同士でもあるジョンと、ギターウルフのセイジ。ライブ前の2人に話を訊いた。

取材・文 / 小野島大 撮影 / 三島タカユキ 協力 / UNDERNEATH

ジョンスペ×ウルフ競演は15年ぶり

──ライブでは久々の競演ですね。

左からセイジ、ジョン・スペンサー

セイジ 多分……15年ぶり?

ジョン そうだっけ? しょっちゅうやってるような印象があるけど……前回は日本で?

セイジ いや、イギリスじゃないかな。

──ウルフがメジャーデビュー前にロンドンでジョンのサポートをやったとき以来?

セイジ 多分。

ジョン そんな昔だっけ? そんな気がしないけどねえ。

──お2人が直接知り合ったのもそのときですか?

ジョン 多分そうだと思うよ。

セイジ いや、その前に東京で会ってるよ。新宿のリキッドルームで。

ジョン ワオ、そうだっけ。全然覚えてない(笑)。とにかくその前からギターウルフのことはよく知っていたし、大好きだったよ。

セイジ もちろん俺もよく知ってたよ。有名人だからね(笑)。

──ジョンは当然レコードでウルフのことを聴いてたと思うんですが、どういう印象でした?

ジョン ワイルドだし、パワフルだし、エネルギッシュだよね。(セイジを指さして)このいでたちを見ただけでも強力なイメージが伝わってくるけど、とにかくライブを観た印象が強烈だった。ロックンロールのスピリットを感じたよ。あまりにクールで、あまりにすごすぎて、ジェラシーを感じてしまったぐらいだ(笑)。

──セイジさんはジョンに対してどういう印象を?

セイジ Very handsome!(笑)

ジョン おお!(笑)

セイジ 俺らがドイツのテレビに出たときは、ジョンが司会してくれたんだよね。

ジョン そうだったね。それ、YouTubeで観られるよ。

セイジ あ、ほんと?

ジョン とにかくお互い関係は深いということだよ。

──JSBXは2004年にはギターウルフのトリビュートアルバム「I Love Guitar Wolf Very Much」にも参加してますね。

ジョン そうそう。もうこのアルバムタイトルそのままの気持ちだよ。I love Guitar Wolf very much!!!

──どういう経緯で参加することになったんですか?

ジョン もうだいぶ前のことだから覚えてないな……きっと(部屋の片隅を指さして)あそこにいるはっちゃく(ギターウルフのディレクター)の差し金だろう(笑)。あのときはトリビュートアルバムが流行りでね、THE STOOGESとかDINOSAUR JR.とかいろいろオファーがあったけど、基本的に俺たちはそういう企画には絶対参加しないことにしてる。でもほかならぬギターウルフのためだったらと思い、ひと肌脱いだんだよ。

──それだけあなたにとってギターウルフはスペシャルな存在なんですね。

ジョン そのとおり。

セイジ それはうれしいなあ。ありがとう!

BEASTIE BOYSをカバーした理由

──今回ウルフとJSBXのスプリットシングルが出るわけですが、どういう経緯で?

ジョン・スペンサー

ジョン いつのまにかそうなった(笑)。でもとても光栄なことだと思った。即座にOKしたよ。

──スプリットシングルはウルフも過去に何枚か出してますが、今回はやはり特別な気合が?

セイジ もちろん! 一緒にやれたのはうれしかったね。ジョン、今回のカバーにはリンク・レイのフレーズが出てくるよね?

ジョン そのとおり。初期のBEASTIE BOYSのカバーをやったんだけどね。彼らの1stアルバムが出る前の古い曲だよ。特に好きな曲ってわけでもないんだけどAC/DCみたいなギターリフの入った、アホみたいな曲で、歌詞も男尊女卑的な内容なんだ。だからその部分はカットしてね。なぜビースティをやろうと思ったかというと、俺らのニューアルバム「Meat And Bone」をビースティのスタジオで録ったということもあるし、もちろん元々ファンだったということもあるし、またアダム(・ヤウク)が亡くなったということもある。リンク・レイは昔からずっと影響を受けてる。それはギターウルフもそうだよね。元々ビースティというキーワードが頭にあって、それにリンク・レイをメドレー的につないで演奏したら面白いかなと思ったんだ。スプリットシングルという形になったのはスタッフの提案かもしれないけど、とにかく俺たちはギターウルフの大ファンだから、こうして一緒にやれたのは本当にうれしい。昔ウルフとはマタドール・レコードで一緒だったんだけど、またレーベルメイト(ソニー)になれたのもうれしいね。

セイジ うんうん、そうだね。

昔からスーパーメジャーな曲をカバーしたかった

──一方ギターウルフはDEEP PURPLEの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をやってますね。なぜまたあの曲を?

セイジ

セイジ DEEP PURPLE? ハッハッハッ! あれは昔からの夢で(笑)。俺がギター始めた頃、みんなあの曲を弾いてたでしょ。

ジョン モントルーに行ったことある?

セイジ ない。

ジョン あの曲の歌詞って本当の話だって知ってる?

セイジ ほんとに?

──モントルーでDEEP PURPLEがレコーディングしてたら火事になったって話ですね。セイジさんは今まで演奏したことあるんですか?

セイジ いや。昔から1回はああいうスーパーメジャーな、誰でも知ってるけど、でも誰も手を付けないような曲をやってみたかったんだよ。ジョンみたいにマイナーな曲を引っ張ってくるのもクールだけどさ。

ジョン うんうん。

──ジョンはウルフの演奏を聴いてどう思いましたか?

セイジ (照れて)まあまあ、それはいいから!

──いやいや。せっかくの機会だし(笑)。

ジョン もちろん最高だよ。昔からセイジの演奏は大好きだからね。

セイジ (照れている)

ジョン でもスーパーメジャーな曲をやりたかったというのもわかるよ。ちょっと違うけど、「ハッピー・バースデイ」の曲あるだろ? 「♪Happy Birthday To You」 ああいう誰でも知ってるような曲を書きたいというのはあるな。あれは名曲だよ。だからセイジが、そういう名曲をやってみたかったというのはわかるよ。

──そういう有名曲のカバーをやったことはあるんですか?

ジョン うーん、ないかなあ……そういう有名曲に反発してるってわけじゃなくて、ただ興味がないだけなんだ。

スプリットシングル「ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン VS ギターウルフ」 / 2013年1月23日発売 / [CD+DVD] / 2835円 / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル / SICP-3723~4
スプリットシングル「ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン VS ギターウルフ」
DISC1 : CD
  1. スモーク・オン・ザ・ウォーター *
  2. シーズ・オン・イット ~ ジャック・ザ・リッパー *
  3. ガソリン子守唄 *
  4. リーヴ・ミー・アローン・ソウ・アイ・キャン・ロック・アゲイン **

*:新録曲
**:未発表曲

DISC 2:DVD(ライヴ・アット・下北沢シェルター)
ギターウルフ
  1. イナズマのメロディ
  2. オールナイトでぶっとばせ!!
  3. ドーベルマンナイト
  4. ジェット ジェネレーション
  5. ワイルド ゼロ
THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION
  1. メドレー
  • ガズークス
  • テル・ミー・ザット・ユー・ラヴ・ミー
  • スウェット
  • シャート・ジャック
  • ブルース・X・マン
  • ソウル・タイプキャスト
  • アンクリアー
  • (アウトロ)

ボーナストラック:ベルボトムス

THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION
(ざ・じょん・すぺんさー・ぶるーす・えくすぷろーじょん)

プロフィール画像

1991年にアメリカで結成された、ジョン・スペンサー(Vo, G)、ラッセル・シミンズ(Dr)、ジュダ・バウアー(G)からなるベースレスのスリーピースバンド。ブルースとパンクを融合させ、ヒップホップの要素も加えた現代的なロックサウンドで、欧米のみならず日本でも高い評価を得ている。2004年のアルバム「Damage」の発売を機にバンド名をBLUES EXPLOSIONと改名。その後活動が停滞するが、2008年からライブ活動を再開させる。2012年には約8年ぶりのアルバム「Meat And Bone」をTHE JON SPENCER BLUES EXPLOSION名義でリリースした。

ギターウルフ

プロフィール画像

1987年結成のスリーピースロックバンド。革ジャン、革パン、サングラスがトレードマークで、3コードを基本としたシンプルなロックンロールを鳴らす。ヨーロッパやアメリカでの評価が非常に高く、早くから海外でのライブ活動を行っていた。2005年にベースのビリーが心不全により急逝。同年9月に楽器未経験者のUGがメンバーとして加入した。2007年にはセイジ(Vo, G)の股関節損傷を理由にライブ活動を一時休止。2010年からライブ活動を再び本格化させた。2013年3月6日には前作「宇宙戦艦ラブ」から約2年3カ月ぶりとなるニューアルバム「野獣バイブレーター」をリリース予定。