音楽ナタリー PowerPush - ジョゼ
より生身に、“Sekirara”に
ジョゼが2010年の結成以来初のフルアルバム「Sekirara」を完成させた。これまでの作品と比べてよりキャッチーで開けた印象を持つ1枚に仕上がっているのは、ベーシストの脱退と吉田春人(B)の加入、ソングライティングを担う羽深創太(Vo, G)の心境の変化といった要因があったという。今回ナタリーではメンバー3人にインタビュー。彼らは“赤裸々”に現状を語ってくれた。
取材・文 / 伊藤実菜子 撮影 / 上山陽介
「一筋縄じゃいかねえな」って思われたかった
──ジョゼは2010年に大学の仲間で結成されて、昨年6月に今のメンバーになったそうですね。
羽深創太(Vo, G) そうです。僕が大学3年生のときに、明治学院の同じサークルで1個上の先輩だった中神くん……じんじんと、2個上の先輩だった前のベースの人をガッとつかまえて「やろうよ」って誘いました。当初はキーボードの女の子がいて、その子が持ってきた曲を遊びでやってたりしたんですけど、就職が決まって早々と抜けちゃって。3人になってからはとてもガチャガチャした音楽をやってましたね。
──ガチャガチャ?
羽深 セッションを根底とした実験的なロックというか。コードはめちゃくちゃで、組み立て方もツギハギなのがカッコいいと思ってたんですよ。「奇をてらうのが当たり前だろ」みたいに、ドヤ顔で曲を作ってて。世に出たときに「一筋縄じゃいかねえな、このバンド」って思われたかったんでしょうね。
──今のジョゼの楽曲は実験的というよりもストレートなロックですよね。
羽深 そうなんですよ、全然変わりました。最初はバンドをやることが楽しかっただけで、何かを伝えるっていうことを深く考えてなかったというか。とにかく自分の置きたい言葉とか音とかを、自分だけが満足いくように緻密に重ねてって。「こんだけ自分が納得いってカッコいいと思うならカッコいいに決まってるでしょ」みたいな殿様気分だったんですよね。でもいろんな人に出会っていくうちに、僕は何者でもなかったっていうのがわかって。
──それは1つ大きな転機だったのでは。
羽深 そうですね。俺は何者なんだろうって日々考えて、真剣に自分と向き合ってくうちに楽曲も徐々に変わっていきました。で、ちょっと注目されてきてからは次第にリスナーのことを考えるようになって。
──リスナーの反応を受けることが多くなったから?
羽深 はい。例えば2人のメンバーに聴かせたときの反応で、自分ってこうなんだなってことが鏡みたいにわかったりするんですけど。変な言い方だけど、聴いてくれる人が増えたことで鏡の数もどんどん増えていったんですよ。自分の正体がどんどんわかってきたからもっと自分のことを知りたくなって、それと同時にみんなのことももっと知りたくなって。
──自分のことを知りたいからリスナーのことを考えるようになったと。
羽深 まあそうですね、自分勝手な意見なんですけど。結成当時から今まで振り返ってみると、ひねくれてた自分が成長する過程がそのまま曲に出てて面白いなって思いますね。自分の成長期みたいだなというか。
──曲作りの進め方も変わっていきましたか?
羽深 変わりました。昔はカッコいいと思ったギターフレーズにドラムを合わせていって、メロディは後乗せだったんで。今は作詞と作曲を同時に進めてます。
中神伸允(Dr) 最初の頃ははぶちゃん(羽深)が言ってたみたいに、爆発力勝負みたいな部分がけっこうあって。だから今よりなんでもできた感はあったんですけど、その頃は各々が各々の好きなことを突き詰めるスタイルだったんで、1つのものを作るっていう感覚を今ほど共有できてなかったと思います。だけど今ははぶちゃんが歌詞もメロディもつけてある程度固まったものを持ってくることが多いんで、自ずと“歌”を大事にするようになりました。どうやったら歌が映えるのかっていう考え方に徐々にシフトしていきましたね。
ベーシストの脱退と加入
──吉田さんは前任のベーシストが正式に抜けた次の日に加入したそうですね。
羽深 僕とじんじんは止まりたくなかったんです。せっかくここまでこのバンドが面白くなってきたところなのにって。春人くんはもともと別のバンドでベースを弾いていて、僕らがバンド組み始めたくらいからの付き合いで。で、彼は僕らのCDを全部買ってくれてて、しかも企画ライブとかワンマンも全部来てくれてたんですよ。
吉田春人(B) 好きでした、普通に。
羽深 (笑)。うれしいな。やっぱり決め手はそこで。僕らを好きでいてくれる友達に弾いてもらうのが一番早かったんですよね。うまいベーシストはたくさんいると思うんですけど、僕はバンドってうまさより人間性が重要だと思ってるんで。だから決断は早かったです。
──吉田さんはそれまでファンだったバンドに加入することになっていかがでした?
吉田 話が来てほんとにうれしかったんですけど、やっぱり最初は好きなバンドに自分が入るってことに抵抗があって。すごく迷ったんですけど、2人がジョゼを続けたいって強く思ってることを感じたんですよね。やっぱりジョゼが好きだし、ここで自分が迷ってジョゼが止まるのもイヤだしなあって思って、まず弾いてみようと。
──「Sekirara」がバンドに加入して初めてのレコーディング作になったそうですが、意識したことはありますか?
吉田 僕はジョゼの曲はいちファンとしてずっと聴いてきたんで、いかにはぶちゃんの歌を100%生かすかっていう、そこだけはもう徹底しました。歌詞とかメロディに合わないフレーズやリズムだったら、いくらカッコいいと思っても全部ナシにして。以前の作り方については僕はわからないですけど、バンドが今は歌ありき、言葉ありきっていうところに重きを置こうとしてることはすごく感じましたね。
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収録曲
- Gravity Sky
- Moment
- Friendless Friend
- ルサンチマン
- 硝子の漂流記
- Adolescence
- アンドロメダに願いを
- 雨邪鬼マーチ
- 36F View
- Biographer
「Sekirara」Release Tour ONLY (Y)OURS TOUR 2015
- 2015年1月27日(火)東京都 下北沢SHELTER
- 2015年1月30日(金)福岡県 graf
- 2015年2月1日(日)広島県 HIROSHIMA 4.14
- 2015年2月2日(月)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2015年2月4日(水)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2015年2月11日(水・祝)千葉県 千葉LOOK
- 2015年2月14日(土)東京都 渋谷club乙-kinoto- / SHIBUYA DESEO
- 2015年2月18日(水)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2015年2月21日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2015年3月1日(日)宮城県 FLYING SON
- 2015年3月3日(火)東京都 下北沢CLUB251
- 2015年3月8日(日)北海道 COLONY
- 2015年3月13日(金)広島県 CAVE-BE
- 2015年3月14日(土)福岡県 福岡市内ライブハウス(※「TENJIN ONTAQ」への出演)
- 2015年3月23日(月)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
- 2015年3月24日(火)愛知県 ell.SIZE
「Sekirara」Release One-man ONLY (Y)OURS TOUR 2015
- 2015年4月4日(土)東京都 Shibuya eggman
NEW ALBUM「Sekirara」発売記念ミニライブ&サイン会
- 2015年1月29日(木)福岡県 タワーレコードアミュプラザ博多店 イベントスペース
START 19:00 - 2015年1月31日(土)広島県 アリスガーデン 特設ステージ
START 15:00 - 2015年2月6日(金)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
START 19:00 - 2015年2月22日(日)大阪府 タワーレコード難波店 5Fイベントスペース
START 14:00 - 2015年3月1日(日)宮城県 タワーレコード仙台パルコ店 イベントスペース
START 14:00 - 2015年3月7日(土)北海道 タワーレコード札幌ピヴォ店 イベントスペース
START 14:00
ジョゼ
羽深創太(Vo, G)、中神伸允(Dr)、吉田春人(B)から成る3ピースバンド。2010年の結成以来東京・下北沢や渋谷を中心にライブ活動を展開し、2013年3月に東京・新木場STUDIO COASTで行われたライブイベント「音小屋の灯――ロックと共に生きる僕らのフェス」に出演して注目を浴びる。同年5月に初の全国流通盤「Aquarium」、11月に2ndミニアルバム「Nocturne」と精力的に作品をリリース。2014年5月に前任のベーシストが脱退し、6月に吉田が加入し現在の体制となる。2015年1月、初のフルアルバム「Sekirara」を発表する。