音楽は聴くより演奏するほうが好き

──「早撃ちジミー」の異名もあるほど多作で知られるジミーさんですが、今回アルバムの制作期間はどれくらいですか？

今回の制作期間は1年くらいかな。昔は早かったですけど今はそうでもないです。たぶん細かい部分にこだわるようになったからでしょうね。気になるところがあったら前の段階に戻って延々とやりなおすといったことも多くなってきたので、前より時間がかかるようになりました。

──ジミーさんの曲は感情を揺さぶるミドルテンポのバラードが多い一方、ストレートなロックナンバーやエレクトロニカ的なインストまでさまざまな曲調があるのですが、いったいどのような音楽に影響を受けたんですか？

これ聞かれるといつも困るんですけど、聴くより演奏するほうが好きなんですよね。だからほんとに熱中して聴いてたものってないんですよね。

──曲のアイデアはどのように練るんですか？

僕のパソコンの中には、普段から適当にギターで弾き語りしてマイクで録ったフレーズが山ほど入っているんです。歌詞はなくてコードとメロディだけのものなんですけど、それをうまく組み合わせたりふくらませたりして1つの曲にしていくんです。

──具体的な手順はどんな感じですか？

手順的には、メロディとか歌詞とか確定する前に、だいたい1コーラスぶんのオケを先に作っちゃうんです。そこに録り貯めたフレーズを使いながらコードとメロディ、歌詞を乗せていって、とりあえず1コーラスできる。そのあとは全体の展開を見ながら細かいところをアレンジしていくといった感じです。昔からこのやり方ですけどユニークなほうだと思いますよ。

──歌詞はどのように作ってますか？

歌詞には難産しますね。暇なときに辞書をめくって、これは使えそうだって言葉を長年ノートに書き留めてあるんですが、それを見ながら、その場で辞書も引きながら見つけたいい言葉を広げていくような感じです。

──抽象的な歌詞が多いという印象ですが。

僕の中では曲ごとに明確なストーリーがあります。でも完成したものは聴いた人の判断に任せたいので、そのストーリーはあえて言わないことにしています。僕が言っちゃったらそれが正解になっちゃいますからね。僕の曲を聴いてくれた人が、それぞれの物語を作ってくれるのは、作り手として楽しいことです。誤解でも全然構いません。人それぞれ感じ方は違うでしょうしね。

音楽との出会いはギターの弾き語り

──そもそも音楽との出会いは？

ちっちゃい頃にピアノを習ったことがあったんですが、2回目くらいで飽きてやめちゃったんです（笑）。それからしばらく音楽に触れてなくて、高校に入ったときに親父のアコギをもらって弾き語りを始めたのが音楽との出会いですね。で、弾いていたら楽しくなってきちゃって、指が痛くなってやめちゃう人も多いんですけど、僕は全然苦じゃなくてずっと家で弾いてました。で、いつのまにかそこそこ弾けるようになって、大学入ったときにバンドサークルに入って、それから本格的に音楽活動を始めたという流れです。

──ではボカロを使い始めたのはいつですか？

大学でバンドやってたときですね。バンド用の曲だといつも同じようなアレンジになるので、ちょっと違う曲も作ってみたいなと思ってDTMを勉強したんです。そのときはインストものを趣味で作ってたんですが、そのうち声も入れてみたいなと思うようになって、人に頼むのもあれだし、自分でも歌は歌えないのでと思ってたらボーカロイドというものを知って、初音ミクを買ってみたのが出会いですね。

──デビュー2週間で6曲というハイペースでしたが。

はい。最初の曲を動画共有サイトに上げたら反応が予想以上によかったので、それから取り憑かれたように、1曲作っては上げて、上げたらすぐ次の曲を作り始めて、できたらまた上げて。4日くらい寝ないで食べないでやってたような気がします。すごく楽しかったですね。