ナタリー PowerPush - JASMINE
2ndシングル「NO MORE」リリース 注目ニューカマーが“二重人格”な素顔を語る
1stシングル「SAD TO SAY」が新人としては異例の大ヒット。一躍その名が知られることとなった弱冠20歳のシンガーソングライター、JASMINE。デビューから約4カ月が経った現在、周囲の環境や彼女の心境に何か変化はあったのだろうか?
2度目の取材となる今回は、そんな近況はもちろん、彼女の中に存在する“JASMINEの実像”にも迫ることができた。それは2ndシングル「NO MORE」を語る上で切っても切り離せない“彼女の思い”だった。本音を包み隠さず話してくれる素顔のJASMINEが、ますます好きになった。
取材・文/川倉由起子
センター街で自分の曲が流れるとうれしい
──デビューシングル「SAD TO SAY」は発売以降、渋谷のセンター街などでかなり流れてましたね。
ありがとうございます。私もよく行ってるんですが、ちょっと恥ずかしかったです(笑)。渋谷で働くショップ店員の友達がいて、遊びに行くと「最近いつもJASMINEの曲がかかっててる」って言われました。
──そういう周りの反響や変化って、どうですか?
センター街は昔から遊んでた思い入れのある場所なので、そこで流れるのはうれしいですね。私自身、何年か前にセンター街で聴いて印象に残ってる曲が結構あるんです。例えばビヨンセの「Deja Vu」とかレミオロメンの「粉雪」とか。この曲を聴いたら2009年の夏を思い出す……みたいな、誰かにとってそういう存在になれたらうれしいです。いろんな人の人生に入り込んでるっていうのがいいですね(笑)。
──前回インタビューした際、デビューへ向けての気持ちを聞いたときに「ついにあの(メジャーの)フィールドに行くんだ! って感じ」とコメントされてましたが、実際デビューしてみていかがですか?
それが……ガラッといろんなものが変わるのかなって思ってたんですけど、割とそうでもなかったです(笑)。周りの環境は全然変わんないです。
──それって多分、PVとかのビジュアルイメージが強烈だから、素顔のJASMINEさんと会ってもファンが気付かないせいもあるのかなと。
そう! だから実感がないんだと思います。でも一度だけ声をかけられたことがあったんですよ。あるイベントに行ったとき、16~17歳くらいの女の子が近寄ってきて「握手してください」って。ブログでもほとんど素顔は出してないから、「お!? よくわかったね」って(笑)。私が知らない人が私を知ってるってことにスゲエ! って思いました。
──今ってちょっと謎のベールに包まれた感じですもんね。
素顔は本当に普通なんですけどね。激しい歌詞が多いからロックな女の子って見られてたりするんですけど(笑)。
JASMINEのときは血のめぐりがハンパない(笑)
──現在、自分の中でJASMINEとアスミさん(本名)の違いって切り分けてたりするんですか?
相当違いますね。多分、私、二重人格なんですよ(笑)。
──と、いうと?
JASMINEは(何かに)入り込むのが好きで、相当入りこむタイプなんです。PVとかもかなりそっちモードだし、アスミとは違う人になってるんです。
──JASMINEになるときはどうなるんですか?
もう血のめぐりがハンパじゃないって感じ(笑)。
──血行が良くなる感じ?
そう、MAXな状態。完全にオンになるっていうか、脳みそがギュッとなる集中力の部分かな。で、JASMINEでなくなるとオフになる。
──その切り替えスイッチは自分のどこにあるんですか?
うーん……それは歌を歌うときですかね。あとは音楽を聴いてるときと作ってるとき。クラブで踊ってるときもそうかな。
──じゃあ、そこに音楽があるとJASMINEに切り替わるってこと?
そうですね。「こち亀」の、バイクに乗ったら性格が変わる人(編集部注:本田速人)みたいな感じですかね(笑)。
アスミがJASMINEを思う気持ちは“愛”
──他に、JASMINEのキャラクター付けは何かあるんですか?
JASMINEは他人のことはほっといて、かなり自分勝手で、言ってしまえば人間じゃないんです。
──じゃあ、アスミさんが人間?
そうです。アスミはJASMINEのことが超好きなんです。JASMINEはアスミが好きだろうがなんだろうがどうとも思ってないんですけど。
──例えば自分の中でJASMINEを商品として見てる意識ってあったりします?
うーん、JASMINEは違うな。アスミがJASMINEを思う気持ちは“愛”なので。最近、JASMINEと付き合いたいみたいな感じで近寄ってきた男の人がいて、アスミはそれに相当イラっとしたんですよ。フザけんな! あんたには渡さないよー! って(笑)。
──あはは(笑)。でもそれって不思議な感覚ですよね?
アスミがJASMINEのことを大事にしないとJASMINEは輝けない。JASMINEに対する責任感みたいなものがあるのかも。JASMINEがいろんな人から求められれば求められるほど、アスミがJASMINEをもっとみんなに見てもらえる存在にしたいって気持ちが増していく……だから、マネージャーみたいな感じですかね。
──子供とか仲間ではなく?
そう。強いて言うなら、子供はアスミなんです。アスミにとってJASMINEは強い味方で、いつもいろんなことを教えてくれて、親友でもあり家族でもあり恋人でもあり……そうだなぁ、側近?
──そ、側近!?(笑)
はい(笑)。お互い、なくてはならない存在なんです。
JASMINE(じゃすみん)
13歳でゴスペルクワイアに加入し、15歳でアメリカ遠征に参加。その後シンガーの道を志し、17歳から都内のクラブを中心に本格的な活動をスタートさせる。その圧倒的な歌声がリスナーや音楽関係者から高い評価を受け、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズとメジャー契約を締結。2009年春からは音源未発表にもかかわらずJ-WAVEでレギュラー番組を担当し、その飾らないキャラクターも話題に。楽曲はすべて本人が作詞作曲を手がけ、心を打つメロディと等身大の感情を描く鋭い歌詞が熱い注目を集めている。