ナタリー PowerPush - JAMOSA
ポップに進化した新たな世界 ニューアルバム「SKY」
2010年にrhythm zoneに移籍し、サウンドの幅を大きく広げたJAMOSA。彼女が移籍後第1弾となるオリジナルフルアルバム「SKY」をリリースする。この作品にはドラマ主題歌として大ヒットしたシングル「何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那」や、「ニッセン 2011夏」CMソングに起用された「もしも願いが叶うなら」など、話題の楽曲を多数収録。女性らしさや優しさを前面に押し出したナンバーも多く、よりポップに進化したJAMOSAワールドをアピールする内容となっている。
今回のインタビューでは移籍後初のアルバムに込めた思い、さらに制作を通じて生まれた自身の変化などについて、JAMOSAに存分に語ってもらった。R&B、ヒップホップといったルーツミュージックからポップなサウンドまで、幅広いジャンルを歌いこなすボーカリストに成長した彼女の自信と決意を感じ取ってほしい。
取材・文/伊藤なつみ
今は違うものを吸収している時期
──「何かひとつ feat. JAY'ED&若旦那」の大ヒット、おめでとうございます。「BOND」もそうでしたが、これまで「CRY」や「RED」といったJAMOSAさんならではのR&Bアルバムを聴いてきたファンにはポップ度が高くて、ちょっと驚きだったと思います。この流れには、昨年秋に出した「LUV ~collabo BEST~」での、いろいろなアーティストとのコラボからの影響があるのでしょうか?
きっかけは、若旦那と一緒に作った「BOND~キズナ~ feat. 若旦那」だと思います。2人で「最近調子はどうなの?」って話をしたときに、私が人間関係や恋愛などで感じている思いを伝えたんです。そうしたらそれを元にして、若旦那が人との絆、つまり「BOND」ってこういうものじゃない?っていう歌詞を送ってくれて。で、「なるほどー、私のストーリーなのに、若旦那を通したらこんな歌詞ができるんだ、スゴイ」って思って。そこから人に全部プロデュースを任せるのってどういうものなんだろうって思って、若旦那に「何かひとつ feat. JAY'ED&若旦那」のプロデュースをお願いしたんですよね。
──アルバム「SKY」の収録曲は、これまでと違い、全体にメジャーコードが多いですよね。歌詞はちょっと悲しいようなものでも、曲調自体は明るかったり、全体にポップな印象があります。
今まで私がやらなかったことって何なんだろうって考えながら、いろんなことに挑戦してみたくて、その一つが“ポップ”でした。だからポップなものに限らず“違うものを吸収している”っていう、今はそういう時期なんじゃないかなって思います。
──「何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那」で学んだこと、吸収したことは何ですか?
いろいろありますけど、例えば若旦那はシャウト系だし、レゲエだし、心の叫びを吠えるところがすごくあって。私は「メロディに乗せるから歌である」というR&B的な考え方の持ち主。で、歌詞に「持ってみろよ」ってあって、これは私が歌うにはちょっと違わない? って最初は思ったけど「普段女が言わない言い方だからこそ、逆にドキッと来る!」って言われて「なるほど!これも正解なのか」って思ったんですよね。
いろいろな人から刺激を受けて作ったアルバム
──それに対して、「ニッセン 2011夏」のテレビCMソングになっている「もしも願いが叶うなら」は、キュンと恋する気持ちが歌われたポップなナンバーですよね。
作詞家の渡辺なつみさんは、「JAMOってこういうところがキュートだよね、私もこういうふうに感じるときがある!」といった話をしてくれて。たぶん、そういうJAMOの女らしい部分を生かしてあげようと思ってこの曲を書いてくれたんだと思います。私ってすごく男くさいところもあるし、でも女っぽいところもすごいあるから(笑)。
──そうなんですね。歌詞のどのあたりに共感しました?
「一ミリも離れたくなくて人混み その手を離さず歩いた」とか。私、好きな人とはほんとに1mmも離れたくなくて、ずっと一緒に居たいタイプだから、そういうところにすごく共感しました(笑)。
──自分に近いフレーズがあるとやっぱり歌いやすい?
そうですね。心がすごく入るかな。「こういうことを言いたかったけど、ストレートに言えなかった」と思うことが多いから。なつみさんはメロディに対して譜割りとか、歌詞の乗せ方がすごく上手だと思う。
──なるほど。
今また私が吸収しているって思うのは、若旦那からもそうだけど、なつみさんからもすごく影響されているからで。あとはほかの人が書いたメロディはこれまで歌わなかったのに、もらった曲のメロディを聴いて「すごいポップで、歌ってみて気持ちいい。こういうメロディを私も作ってみたい」って思ったり。もしくは逆にこういう違うメロディを作ってみようって、「小さな幸せ」や「これ以上優しくしないで」を書いてみたり。刺激になっていますね。
「1回聴いたら忘れないメロディ」を選ぶ
──ほかの人が書いた曲を選ぶときは、どんな点をポイントにして選んでいったんですか? 今までいわゆるR&B、ヒップホップ路線だったJAMOSAさんが、今回ポップという観点で曲を選んだときはどこを基準点にしているんでしょうか。
1回聴いたら忘れないメロディですね。デモを聴いた時点で、別に意識してないけど後から「フンフン~」って歌えるものだったら、あ、これポップだ! みたいな(笑)。
──「小さな幸せ」と「これ以上優しくしないで」は、今までがそうだったようにJAMOSAさんが作詞・作曲したナンバーですが、どういったことを意識して書いた曲なんですか?
うーん、これは逆にR&Bポップって感じで、なんかこれまでの延長線上だったかもしれない。もっと私の世界観というのを重視した曲かもしれないですね。歌詞が先に出てきたから。
──R&Bポップですか? そういえば、リアーナの最新アルバムもものすごくポップを意識した作品になっていますよね。
そうですね。例えば、私はクリス・ブラウンが大好きなんですけど、クリス・ブラウンってすごい4つ打ちのものが多くて、アルバムを通して聴いたらもちろんブラックミュージック的な曲もあるけど、私にとってはすごいポップなところがあるんですよ。そういう作品を聴いていたりすると、アメリカのR&B自体もめっちゃ変わってきている気がしますね。
──そういう流れの中で、JAMOSAさんの音楽性も進化してきたのかもしれないですね。
そうですね。
CD収録曲
- 何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那
- もしも願いが叶うなら
- BEAUTIFUL WORLD feat. KG & AILI
- これ以上やさしくしないで
- いつまでも
- SKY IS THE LIMIT
- ありがとう MY FRIEND
- チェリー
- 小さな幸せ
- ありがとう
- BOND~キズナ~ feat. 若旦那
LIVE INFORMATION
JAMOSA Live Tour 2011
- 2011年5月27日(金)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 18:30 / START 19:00 - 2011年5月28日(土)
愛知県 ell.FITS ALL
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年6月17日(金)
東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 18:30 / START 19:00
JAMOSA(じゃもーさ)
1983年生まれのR&Bシンガー。日本人の父親と台湾人の母親の間に生まれ、10歳のときにマイケル・ジャクソンの来日公演にキッズコーラスとして参加した経験を持つ。17歳からインディーズシーンでの活動を開始すると同時に、Def Tech、m-flo、TERIYAKI BOYZ、SPHERE of INFLUENCE、Miss Monday、Big Ronといったビッグアーティストからのラブコールを受け、多数の客演をこなす。2005年9月、ミニアルバム「Standing Strong」をリリースした後、2006年8月にはシングル「DREAM」でメジャーデビュー。5枚のシングル、3枚のアルバムを発表し、女性R&Bシーンにおいて確固たる地位を築く。そして2010年8月にrhythm zoneへ移籍したのをきっかけに、再び活発なリリース活動を行っている。