ナタリー PowerPush - JAMOSA

ポップに進化した新たな世界 ニューアルバム「SKY」

「SKY」を作ることでやっと飛べたかな

──アルバム「SKY」の制作を終えて、自分自身ではどんな面が一番成長したと思いますか?

歌詞もそうだしメロディもそうだけど、ボーカリストとしてが一番かな。今までは作詞家としてとかいろんなことを考えていたけど、今はボーカリストとして与えられた曲をどれだけ表現できるか、を考えてます。ホイットニー・ヒューストンもビヨンセもそうだけど、彼女たちみたいに「アヴェ・マリア」を歌い上げるって素晴らしいと思うし、ボーカリストとしてのスキルがあれば、たぶんどんな曲でも表現できるわけで。

──ビヨンセはアラニス・モリセットの「You Oughta Know」をステージで髪をぐるんぐるん振り回しながら歌うくらいだし。

そうそう。そういう意味でビヨンセも、R&Bっていうか全然ポップだと思う。なんか、ジャンル関係なくない? みたいなところがある。だってカッコいいし、やれてるし。それはビヨンセが曲を書いたからとか関係ないよなって思って。

──ジャンルは関係ないということでは、今回スピッツの「チェリー」をカバーしていますけど、ここでの歌いっぷりがとても好きです。

それはうれしい(笑)。何かカバー曲をやろうとなったときに、スピッツはみんな知っているからって思って、この曲を選びました。普遍的なメロディだからいつ聴いてもいい曲だし、なんか私の中ではこれはR&Bだったんですよ。

──ちなみに、アルバムタイトルの「SKY」はどういう由来なんでしょうか。

英語で「The sky is the limit」ということわざがあるんですけど、“Sky”ってほんとに無限で、行けるところまで行けるけど、地上にいたければ、それは自分の意志で地上にいてもいいし。今までの私は“Sky”にはいなかったと思うんです、飛べてなかったから。でもこうやって「SKY」でいろいろなことに挑戦して「やっと飛べたかな」って思うんですよ。あと、雨が降っていたり曇っていたり、いろいろな“Sky”があるように、いろいろな感情やストーリーもアルバムを通して描けたと思います。

自分の歌はポジティブメッセージでありたい

──ところでJAMOSAというアーティストにとって、音楽以外で影響を受けた映画や小説があれば教えてほしいのですが。

好きな映画は「The Hurricane(ザ・ハリケーン)」っていうデンゼル・ワシントンが出ている、ボクサーの映画ですね。「The Hurricane」は人種差別の話で、黒人だから捕まったっていう話なんですが、観ていると自分の中ですごくこう、込み上げるものがあって。私、ママが台湾人で、お父さんが日本人で、同じアジアでも家庭の中でカルチャーのぶつかり合いっていうのがすごくあったんですよ。それに自分はインターナショナルスクールへ行ってたけど、白人以外の人たちに対して偏見があったり、ワシントンD.C.に住んでいたときは有色人種は黒人しかいなかったから、アジア人だとすごく馬鹿にされたりとかもあって。で、日本に帰ってきたら帰ってきたで外人扱いされたりとかして。

──そうだったんですか。

でも、結局みんな人間じゃん、みたいな気持ちもある。ちなみに「RED」ってアルバムも「どんな肌の色でも流す血はみんなレッドだ」っていう意味でタイトルをつけたんですよ。どんな音楽を私がやってもそれはJAMOSAだし、何人だからどーのこーのとか、女だからどーのこーのって、みんな人間じゃん、みたいな気になりましたね。

──ちなみに、それは何歳ぐらいのときに観た映画なんですか?

10代で、私が一番音楽にどっぷりハマってて、メアリー・J.ブライジとかを聴いてた時期ですね。その後ビデオも買ってます。主人公にとっては神様を信じるといった内容だったけど、私はすごい音楽を信じていて、音楽を神様にしているんです。もちろん私が私でいることが大事で、今までいろんなことを言われたからこそ、そう思えることであって。たぶんそういう経験をしていなかったら、ここまでフラットな考えにはならなかっただろうし。子供の頃からいろんなカルチャーを経験したからこそ、自分ってなんなんだろうってすごい考えさせられたんですよ。

──アイデンティティについてとても考えたんですね。

そう。わかんなかったんですよね、自分がなんなのか。でも音楽で自分を探せたと思う。

──だから、JAMOSAさんの歌には説得力があるんでしょうね。

そうだといいですね。私の中で絶対にブレてないのは、受け取る人が私の歌を聴いて、絶対に前へ進むっていうこと。私はメアリー・J.ブライジから多くのことを学んだから、私の歌も彼女のようにポジティブメッセージでありたい。自分の歌でポジティブな影響を与えていきたいんですよ。

──今回「SKY」をリリースして、新たなライブツアーを展開していくわけですが、今までのライブとはまた変わった感じになるかもしれないですね。

そうですね。楽曲が今までとは違うっていうのもあるから。「もしも願いが叶うなら」とアルバム「CRY」からの曲を一緒につなげたらどうなるんだろうとか、いろんな遊びができると思うし。

──新しいファンの人達も、前からのファンの人達も楽しめるライブになるといいですね。

はい、今からとても楽しみにしています。

ニューアルバム「SKY」 / 2011年5月11日発売 / rhythm zone

  • [CD+DVD盤] 3465円(税込) RZCD-46801/B / Amazon.co.jpへ
  • [CD盤] 2625円(税込) RZCD-46802 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那
  2. もしも願いが叶うなら
  3. BEAUTIFUL WORLD feat. KG & AILI
  4. これ以上やさしくしないで
  5. いつまでも
  6. SKY IS THE LIMIT
  7. ありがとう MY FRIEND
  8. チェリー
  9. 小さな幸せ
  10. ありがとう
  11. BOND~キズナ~ feat. 若旦那

「ニッセン 2011 夏」テレビCMソング「もしも願いが叶うなら」4月27日よりレコチョク着うた(R)独占先行配信スタート!

LIVE INFORMATION
JAMOSA Live Tour 2011
  • 2011年5月27日(金)
    大阪府 梅田Shangri-La
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2011年5月28日(土)
    愛知県 ell.FITS ALL
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2011年6月17日(金)
    東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
    OPEN 18:30 / START 19:00
JAMOSA(じゃもーさ)

JAMOSA

1983年生まれのR&Bシンガー。日本人の父親と台湾人の母親の間に生まれ、10歳のときにマイケル・ジャクソンの来日公演にキッズコーラスとして参加した経験を持つ。17歳からインディーズシーンでの活動を開始すると同時に、Def Tech、m-flo、TERIYAKI BOYZ、SPHERE of INFLUENCE、Miss Monday、Big Ronといったビッグアーティストからのラブコールを受け、多数の客演をこなす。2005年9月、ミニアルバム「Standing Strong」をリリースした後、2006年8月にはシングル「DREAM」でメジャーデビュー。5枚のシングル、3枚のアルバムを発表し、女性R&Bシーンにおいて確固たる地位を築く。そして2010年8月にrhythm zoneへ移籍したのをきっかけに、再び活発なリリース活動を行っている。

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