少女と女性の境目

──その「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」のテーマソングとして使用された「はないちもんめ」が、「世界のしかけ」のカップリングとして収録されています。

この曲は3日間くらいで書き上げました。R&Bやヒップホップのテイストを感じられる曲で和楽器を使いたいなとイメージしながら作ったんです。完成したバージョンでは和楽器は使っていないんですけどね。「はないちもんめ」っていう言葉は、ずっと自分の曲に使いたいと思っていたから「今や！」って。すごく楽しみながら作りました。

──歌詞にはどういった思いを込めたんでしょう。

花は散ることが決まっているからきれいに咲くものだと思うのですが、人間も死ぬことがわかっているから欲張りになるのかなって。花と人には似たところがあるなと思いながら書き上げました。

──そして、この曲のアレンジはmabanuaさんが担当されています。

そうなんです。mabanuaさんは幻想的な雰囲気を音で表現してくださって、とてもありがたかったです。

──mabanuaさんとの楽曲制作で、印象的な出来事はありますか？

サビに入る前のベースの唸り方がとても独特なんです。あとストリングスがどこか中国風のサウンドで、「これ、どうなってるんだろう？」って思って。私にはできないストリングスのアレンジを入れてくださって、ミックスのときには「そこ音量上げてください。もっと聞かせて！」ってお願いしてしまいました（笑）。

──では、歌のレコーディングの際に意識したことはありますか？

この曲では、“少女と女性の境目”にいる女性を表現したかったんです。なので、そういったイメージを自分の中に持って……だんだんと大人になっていくような歌い方を意識しました。

──出雲さんの今の年齢も、そういった“境目”の年齢かもしれないですね。

そうですね。

お高くとまれ

──前作はヴィレッジヴァンガード下北沢店限定盤でしたが今作は全国流通盤ということで、デビューシングルよりも多くの人の耳に届く機会があるのではと思います。新作をこんなふうに聴いてほしい、といったような思いはありますか？

私は、自分の歌に共感は求めないんです。自分自身も、人の歌に共感することはないから。そういうところをふまえて聴いてもらえたらと思います。なので、本当に自由な気分で聴いてもらえたらうれしい。

──2作目をリリースして、このあとに出雲さんがやってみたいことは？

MVを自分で作ってみたいです。あと絵を描くことも好きだからジャケットも描いてみたいし……とにかく全部自分でやってみたいから、がんばらなきゃなって思います。

──では歌手として目指す夢や目標はありますか？

いろんな国でライブをしてみたいですね。私は日本人だから日本を感じさせる表現をしていきたいと思うし、海外に行っても日本語で勝負してみたい。曲を作る上でも、美しい日本語を使うことはすごく意識しています。英語は使わず、だけど和製英語だったら使う。自分はそういうところを大事にしていきたいです。

──「当流女」のインタビューの話に戻るのですが、JABBERLOOPのYOHEIさんが出雲さんの作る曲を指して「世界観が一貫している」とおっしゃっていたんです。そこで、出雲さん自身は自分の作品にはどんな特徴があると考えているか、教えてもらえますか。

ひねくれていると思います。それは私自身がひねくれているからなんですけど……例えば「自分が1番だ」って思っているし、周りの人に「なんでそんな強い言い方するの？」って言われてしまうような話し方をしてしまうし、そういう性格が悪いところが曲にも出ているのかなって思います（笑）。私、段階を踏まないと理解してもらえないんです。最初は「暗い人」って思われて、そこから「性格悪いね」になって、最後には「明るい人だね」って言われるんですが（笑）。

──性格が悪いとは思いませんが（笑）、今のお話を聞いたあとだと「世界のしかけ」の「お高くとまれ」というフレーズがなんだかしっくりきますね。

あはは（笑）。そうかもしれないです。