本当は自分自身のために歌ってるような気もする
──メジャー1stシングル「Dangerous Key」がテイチクエンタテインメントからリリースされます。メジャーレーベルから作品を出すということで、心境に何か変化はありますか?
いい意味でそんなに心境的な変化はないんですよ。「メジャーだから」というのはあまり考えすぎず、目の前にある貴重な機会に全力を捧げて、ただ自分ができることを全力でやっていきたいなと思っています。
──音楽的にいろんな引き出しをお持ちの中で、メジャー1stシングルの表題曲はスケール感のあるロックナンバーになりました。作詞作曲はSNNJさん、Dviiさん、ryosaku.kさん、Ryo Itoさんという布陣ですが、どういう経緯でこういった明るいロックテイストになったんですか?
去年リリースしたロックナンバー「Bless me」が、男性のリスナーの方からもけっこう好評みたいで。アーティストとしては、そういうふうに同性のファンの方にも音楽を届けたい気持ちがあります。ただ、いきなりメジャー1stシングルで「Bless me」以上にハードコアな曲をバンッと出すのは、今まで応援してきてくれたファンの人たちからすると、ちょっとついていけないと思うんですよ。なので、ファンの子たちも聴きやすい、ポップな方向性のロックナンバーにしたいなと思い、こういう曲を作っていただきました。
──サビでストリングスが入ってきて開放的になっていくサウンド感が、聴いていてとても気持ちよかったです。
最初はマイナーコードの楽曲だったんですよ。でも、もうちょっと前に一歩踏み出すような曲になったらいいなと思って、メジャーコードに変えて、雰囲気を明るくしてもらいました。
──ポジティブなエネルギーに満ちた曲になっていますが、1番のAメロ、Bメロには「土砂降りの街は まるで氷のボディブロー」や「行く宛てのない僕は野良猫」というフレーズもあり、これまで抱えてきた葛藤が垣間見えます。ただ前向きなだけの歌ではない。葛藤も含めて、ありのままの姿が描かれていますね。
僕は音楽を通して、嘘のない自分を表現したくて。音楽で嘘をつく必要はないし、つらかったら「つらい」と歌えばいい。アメリカで成功してるアーティストと話す機会もあったけど、やっぱりスターと言われる人たちって、自分に嘘偽りなくまっすぐに生きてるなと感じたんです。
──前に俳優としてのインタビューで「自分と近すぎるキャラの役より、まったくかけ離れた役のほうが演じやすい」とおっしゃっていましたが、音楽においては自分の気持ちに重なる歌のほうが歌いやすい?
そうですね。音楽に関しては、自分が今まで経験してきたことをリアルに伝えたいなと思っていて。普段はあんまり人に弱音を吐かないから。
──周りの人にも?
はい。そんなに人には相談しないです。特にソロアーティストになってからは、相談する人があまりいないから自分の中に溜めちゃうんですよね。だけど、歌を通すと、自分の気持ちを素直に出すことができる。音楽が僕にとって唯一、自分の思いを表に出せるものなのかなと。歌でしか本音は言えない。
──先ほど「音楽活動は岩橋さんにとってどういう位置付けのものですか?」と聞きましたが、それが岩橋さんが音楽をやる大きな理由なのかもしれないですね。
そうかもしれない。いつも「みんなのために歌ってる」と言ってきて、それは偽りないんですけど、本当は自分自身のために歌ってるような気もします。ソロアーティスト活動を始めてからの4年間、何をやったらいいのか正解がわからない日々が続きました。ずっともがきながら活動してきて、正直つらい思い出のほうが多いです。でも、正解かわからない日々を一歩一歩全力で進んでいたら、それが正解になるということがわかってきて。そういう経験がこの曲に重なっていると思います。
──「Dangerous Key」というタイトルから、先の見えない未来に向かって進んでいくことへのワクワク感みたいなものを感じますが、この言葉にはどういう印象を受けましたか?
スーッと自分になじみました。先の見えない日々に焦ったり、不安になることはあるけど、安全な道を行くよりは、「何が起こるんだろう?」とドキドキしていたいですね。自分次第で未来は変わっていく……どうなるかわからない毎日が面白いと思っています。
言葉の組み合わせ次第で強い印象を残せる
──「Dangerous Key」の歌詞の言葉遣いがとても面白いなと感じました。「五臓六腑まで染みわたる 時代にするんだ」「百戦錬磨のビジュアルが 牙を剥いている」とか、普通は組み合わせないワードが連なっていて。「ビジュアルが牙を剥く」なんてあんまり言わないじゃないですか。
僕も初めて歌詞を見たときは「えっ!」と思ったけど、いざレコーディングを迎えて実際に歌ったら、聞きなじみのない日本語のほうがキャッチーだなと感じて。
──すごく耳に残りますよね。
そうなんです。僕も1回歌っただけで、頭からフレーズが離れなくて。言葉の組み合わせ次第で強い印象を残せるんだなって、1つの発見になりました。
──レコーディングではどういったことを意識しながら歌いましたか?
なるべく声の質感を太くしたいと考えて歌いました。声帯を下ろすような、チェストボイスを意識して。僕は声が高いほうだけど、Aメロの低いメロディのところでも印象付けたいと。
──2番サビのあとのラップパートでは自分を解放している感じがありますね。
ラップで自分を全部解放したあとの「最大限 countdown 最上級 by myself 傍若無人のφ」というブリッジも好きで。ブリッジでは優しい声を意識していて、ラップとのギャップがあって自分でも気に入っています。メジャーリリース曲ということで、生涯忘れることのない楽曲になったんじゃないかなと。ライブでイントロが流れたときに、ファンのみんなが「この曲がきた!」と思ってもらえるような楽曲になったらうれしいです。
自分の弱さを受け止めないと、前に進むことはできない
──カップリングの「Find A Way」はさわやかなサウンドに乗せて「自分の道を見つけたい」という前向きな気持ちを歌うポップなナンバーです。先ほど「ソロアーティスト活動を始めてからの4年間、何をやったらいいのか正解がわからない日々が続いた」とおっしゃっていましたが、まさに自分の道を探し続けてきた時間だったんじゃないでしょうか。
はい。だから「Find A Way」の「弱さも全部受け止めて ありのままでいればほら Shining so bright 確かな未来照し出すよ」というフレーズは自分の心に響きました。自分の弱さを受け止めないと、前に進むことはできない。弱さを受け入れることで、初めて自分のリアルを届けられると思う。
──「Find A Way」はのびのびと歌われているような印象を受けました。レコーディングはどうでしたか?
レコーディングの1日目に「Dangerous Key」、2日目に「Find A Way」を録ったんですけど、新しいチームでの初めてのレコーディングということで、最初は少し緊張していたんです。それも2日目になると解けてきて。1日目はプロデューサーさんやエンジニアさんが僕にとって一番合うキー、歌い方、ブレスのタイミングを探ってくださってる感じでしたが、2日目はそれがだいたいわかってきたような空気がチーム全体にあって、スムーズにいきました。「Dangerous Key」と比べると、ちょっとアイドルっぽい感じの歌声になっていると思います。
──出だしの「Genki Let’s Go!」という掛け声が印象的ですが、これはどなたのアイデアなんですか?
僕です。最初は「Let's Go」だけだったんですよ。でも、「Dangerous Key」も「Let's Go!」で始まっていて。一緒でも面白いんじゃないかという意見もあったんですけど、「Find A Way」のほうはもう少しハッピーな「Let's Go」にしてみようと思って、勢いのある感じにしてみました。「Genki」というのは自分の名前を言ってると同時に、みんなに「元気?」と呼びかけている意味もあって。
──なるほど。オープニングでいきなり必殺技を決めてるような、大きなパワーを感じました。
あんまりイントロで自分の名前言う人はいないですもんね。DJマスタードくらいしか思いつかない(笑)。そういえば「Dangerous Key」のラップの「危険エリア 土足は厳禁」というところ、歌詞は「厳禁」になってるんですけど、実はレコーディングでは「玄樹」って歌ってるんですよ。これも僕の遊び心です。ぜひ聴いてみてください。
──バレンタインデーの2月14日に豊洲PITでバレンタインライブ「GENKI IWAHASHI White Belle」が開催されます。Xで衣装のアンケートを取っていましたよね。「カジュアル」「フォーマル」「セクシー」の3択で。
アンケートを取ってるんですけど、実は僕の頭の中にはもうイメージがあります(笑)。僕は「どういう服がいい? どういう髪型がいい?」ってファンの皆さんに聞くけど、自分の中では決まっちゃってるんですよね。でも、アンケートから「こういう感じは、今はみんな好きじゃないんだな」というヒントは得ています。みんなが喜ばないことは避けて、違う方向から攻めていこうといつも思っていますね。今回のバレンタインライブはメジャー作品をリリースしてから初めてみんなの前に立つ公演ということで、いろいろと内容を考えているところです。今後の将来につながるようなライブにしたいと思っているので、楽しみにしていてください!
公演情報
GENKI IWAHASHI White Belle
2026年2月14日(土)東京都 豊洲PIT
[昼公演]OPEN 14:15 / START 15:00
[夜公演]OPEN 18:15 / START 19:00
プロフィール
岩橋玄樹(イワハシゲンキ)
1996年12月17日生まれ、東京都出身のソロアーティスト。2021年3月に所属事務所から独立。4月にオフィシャルサイトとSNS公式アカウントを開設し、ソロアーティストとして本格的に活動を再開した。12月に1stシングル「My Lonely X'mas」をリリースし、クリスマスライブ「Fairy Christmas 2021」でファンの前に姿を見せる。2022年8月に1stアルバム「How To Love」を発表し、初の全国ツアー「GENKI IWAHASHI TOUR 2022 "How To Love"」を行った。2023年8月に2ndアルバム「I'm A Popstar」、2024年12月に3rdアルバム「I'm A Hero」を発表。2025年4月には自ら全4曲の作詞作曲、アートワークを手がけたEP「THE GÉNKI I」をリリースした。2026年2月にテイチクエンタテインメントよりメジャー1stシングル「Dangerous Key」をリリースし、東京・豊洲PITでライブ「GENKI IWAHASHI White Belle」を開催。俳優としても活躍し、ドラマ「恋愛ルビの正しいふりかた」や映画「男神」に出演している。
岩橋玄樹 (@genki_iwahashi_17) | Instagram
衣装協力
セットアップ
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