「王道」って、なんですか?
──今、宮田さんのお話の中に起承転結っていう言葉がありましたけど、イトヲカシさんの作品の中に「軌唱伝結」(きしょうてんけつ)っていうアルバムもありますよね。
伊東・宮田 そうだね。
──歌詞太郎さんの作品もイトヲカシさんの作品もタイトルに四字熟語が使われることが多くて、今回も「中央突破」ですが、お二人は四字熟語に何か特別な思いをお持ちなんですか?
伊東 まず僕らは日本語が大好きなんです。ほかの言語では1つの言い方で終わってしまうものが、日本語だとシチュエーションや心境によって表現が変わるんですよ。「ありがとう」という言葉1つ取っても「感謝します」や「お心遣い痛み入ります」とか、いろんな言い方がある。その細やかさって、日本人の心や考え方に直結していると思うし、特に大事にしていきたくて。で、そうやって日本語を大事にしながら作り上げた作品にタイトルを付けるとき……四字熟語ってすごく面白いと思ったんですよ。たった4文字の漢字でたくさんのメッセージを伝えられるから。
宮田 4文字で伝えたいことを表現するっていう、制約がある感じにも燃えます(笑)。あとは、簡潔ですごくいいなって。これからどうしていくかはまだわからないけど、現時点ではアルバムのタイトルはすべて四字熟語にしようって決めてます。
──そうだったんですね。僕、作品が出るたびにその四字熟語からイトヲカシさんのそのときそのときの気持ちを感じ取っていました。
伊東 ああ、確かにタイトルにはそのときのムードが全力で込められていると思います。その時々の僕らの“全力”を4文字で表したっていうところは確かです。
宮田 「王道の音楽をやっていきたい」っていう気持ちは前から変わらないけれど、そのときそのときの気分みたいなものはあるし、それは必ずタイトルに表れていると思うので、ユースケくんの言う通りだなって思います。
──あの……イトヲカシさんにとっての「王道」って、いったいなんですか?
伊東 僕らは、流行り廃りとは違うところにあるものが王道だと思ってます。
宮田 普遍的なもの、かな。
伊東 で、はるか昔から今まで、どんな時代にも愛されてきた表現方法の1つが「歌」なんじゃないかなって。歌は人が伝えたい心を入れることのできる“器”と言うか。その“器”っていうのは演技だったり絵だったりにも当てはまると思うんだけど、世の中にたくさん存在しているわけではないんだよね。心を伝えるための手段になるものって、実は少ないからこそすごく大事だし、最高だなって思える。自分たちにとってはそれが歌なんです。
宮田 100年先も残るものを作っていきたいよね。イトヲカシで表現したいもの、作っていきたいものって、それこそ教科書に載ったりだとか、電話の保留音になるようなレベルで“残っていく歌”なんですよ。
──そうなんですね……でも、もう僕の心には、イトヲカシさんはずっと残っていく音楽です。
伊東 本当にうれしいことを言ってくれるなあ。
以心伝心
──ちなみに、今回の「中央突破」の楽曲の中で制作が大変だった曲ってありますか?
伊東 「双星の陰陽師」のオープニングとして作った「カナデアイ」かな。2人で曲を作るときって、できた曲を聴くといつもはだいたい「ヤバいねこれ」「どうしよう、これ売れちゃう。俺たち、来年家でも買おうか?」みたいな話になるんですよ。
宮田 (キーボードを打つ仕草で)「はい! マンション検索しまーす!」って。
──あはははは!(笑)
伊東 本当に、ギャグとかルーティンじゃなく、毎回そういう気持ちになるんですね。でも完成した「カナデアイ」を最初に聴いたとき、一番に出てきた感想が「……イトヲカシってバンドだったっけ?」っていうものだったんです。
宮田 自分たちにしてみたら、エッジィな要素が強かったんだよね。
伊東 「あれ?」と思ってしまったと言うか。で、一度家に持ち帰ることにしたんだけど、どうしようか考えていたら、レフティから「一晩寝かせて考えたんだけど、これはもう1回やり直したほうがいいんじゃないかな」って連絡があって。
──そうなんですか。すごい。
伊東 そう、同じことを思っていたんですよ。2人の思いが一致したから、「ならば作り上げたものを思い切り壊してやり直そう」と。
宮田 僕たちが作った曲はアニメのコンセプトには完全に沿っていたと思うんだけど、イトヲカシが描いているビジョンからは少し外れていたんです。そこからアニメのオープニングとしてもイトヲカシの曲としてもふさわしいものはどういうものか、探り直して完成したのが今の「カナデアイ」なんです。
──へえー!
宮田 2人の中で再度ユニットとしての意思確認をすることもできたから、思い出深い楽曲になりましたね。
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ただ楽しめばいいだけだった
- イトヲカシ「中央突破」
- 2017年6月21日発売 / avex trax
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[CD+DVD]
3240円 / AVCD-93695/B -
[CD]
2160円 / AVCD-93696
- CD収録曲
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- スタートライン
- カナデアイ
- 宿り星
- あなたが好き
- はちみつ色の月
- さいごまで
- ドンマイ!!
- 半径10メーターの世界
- ヒトリノセカイ
- スターダスト
- DVD収録内容
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- スターダスト(Music Video)
- 宿り星(Anime Music Video)
- さいごまで(Music Video)
- カナデアイ(Anime Music Video)
- 半径10メーターの世界(東放学園version)
- スタートライン(Music Video)
- 超特急「My Buddy」
- 2017年7月26日発売 / SDR
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通常盤 [CD]
1000円 / ZXRC-1113 -
Loppi・HMV限定盤 [CD]
1000円 / ZXRC-1114
- イトヲカシ second one-man tour2017 ※終了分は割愛
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- 2017年7月2日(日)沖縄県 桜坂セントラル
- 2017年7月9日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2017年7月16日(日)東京都 Zepp Tokyo
- イトヲカシ
- 伊東歌詞太郎(Vo)と宮田“レフティ”リョウ(B、G、Key)による2人組音楽ユニット。中学時代からの同級生であり、はじめて結成したバンドのメンバーである2人は、学校を卒業後に別々の音楽活動を経て再会し、各々が培った音楽を一緒に発信すべく2012年にイトヲカシを結成する。並行してインターネット上に音楽を投稿、様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュース、サポートミュージシャンなどの活動をそれぞれが個々で行い、特に動画サイトにおいてその歌声とメロディセンスが大きな話題を呼び、投稿動画総再生数は2500万回、twitterフォロワー数は併せて62万人を超える。またライブ活動も積極的に展開。2013年以降は全国路上ライブツアーを実施しており、2013年3月から行われた「イトヲカシ全国路上ライブツアー~はるかぜのやくそく~」では、31カ所で1万2000人以上を動員。2年をかけて、個人でのライブも含めた形で全都道府県での歌唱を達成した。2016年よりイトヲカシの活動を本格化。9月にメジャーデビューシングル「スターダスト / 宿り星」をリリースする。2017年6月にはメジャー1stフルアルバム「中央突破」を発表した。
- ユースケ
- 7人組ダンス&ボーカルグループ、超特急の6号車・メインダンサー。イメージカラーは黄色。担当は「いつまでも元気でいられるように」という願掛けが込められた元気担当で、熱く純粋な言動が持ち味のムードメーカー的存在としてメンバーや8号車(ファン)に愛されている。大好物はパン。2014年リリースの6thシングル「ikki!!!!!i!!」で初めて表題曲の単独センターに抜擢され、翌2015年発表の「スターダスト LOVE TRAIN / バッタマン」でも「バッタマン」のセンターを担当。変顔や絶叫を織り交ぜた奇抜なパフォーマンスを得意とする一方、「Peace of LOVE」「FLASHBACK」などでは表情豊かに繊細な表現を見せる。個人としてはフジテレビ「次ナルTV-G」のメインMCを2016年4月より担当しており、バラエティ番組にも多く出演。また俳優としては2015年にTOKYO MX「ゴーストの恋」でドラマ初主演を務めた。超特急は現在全国ツアー「Bullet Train 5th Anniversary Tour 2017『Trans NIPPON Express』」を開催中。7月26日にニューシングル「My Buddy」をリリースする。