伊藤千晃|子育てを経て生まれ変わった私の“新しい始まり”

昨年7月に第一子を出産し、今年9月からソロ活動をスタートさせた伊藤千晃。彼女が12月5日に自身初のミニアルバム「New Beginnings」をリリースした。今作は母親になって感じたことや、30代になって見えたこと、1人で活動を始めたことで気付いたことなどを反映した、現在の伊藤千晃を存分に感じられる作品となっている。

音楽ナタリーでは今回「New Beginnings」の制作に関する伊藤へのインタビューを実施。これからの展望についても話を聞いた。

取材・文 / 真貝聡 撮影 / 塚原孝顕

出産を経験したから、ソロ活動への不安にも強く踏み出せた

──「New Beginnings」はソロになって初のミニアルバムですね。

初という意味でいえば、自分がここまで楽曲制作に関わったこと自体が初めてで。今まではいろんな意見を基に作品を作っていたのが、今回は自分の意見を100%反映させられるところからスタートしたので、改めて音楽の難しさや楽しさを、この作品を通して学ばせてもらいました。

伊藤千晃

──作品を聴かせていただくと、ありのままの伊藤千晃さんを音楽の中に感じました。

今までの私は「曲で描かれている主人公になりきろう」と演技しながら歌ってきたんです。だけど、今回に関しては「伊藤千晃ってなんだろう?」という疑問が根底にありました。「自分は何をやりたいのか」「何を表現したいのか」のように。自分の心をここまで音楽に落とし込んだのは初めての作業でした。

──妊娠中のインタビューでは「自分自身と戦う」という言葉をよく話していましたけど、「New Beginnings」は悩んだ先の答えを、楽曲に落とし込んだ気がして。

前の私だったら「自分自身を見つめるって、どういうこと?」と謎な部分が多かったのが、今はまっすぐ自分自身を見つめてあげられるようになりました。だからこそ、歌詞を書くときにも明確な考えを書けるようになったと思います。

──トピックはいろいろあると思うんですけど、自分と向き合うことになった要因はなんですか?

ソロで活動をスタートさせたことが大きかったです。最初は自分1人で何ができるのかわからず、ワクワクもあるけれど不安のほうが大きかった。でも、何より出産を経験したからこそ、そんな不安を乗り越えて強く踏み出せた気がします。

一時は「このまま業界から消えたほうがいい人間なんじゃないか」と思っていた

──2013年に音楽ナタリーに掲載されたインタビュー記事が興味深くて。「『a-nation』で誰を観たいですか?」という質問に、伊藤さんは「倖田來未さんを観たい」とおっしゃっていたんです(参照:dtab&dビデオ×a-nation AAAインタビュー)。

おお! 2013年のインタビューで!?

伊藤千晃

──理由を聞いたら「産休から復帰して初の『a-nation』で、やっぱりママになるって女性にとってはすごいスペシャルなことだと思うので、母になった倖田さんがどんなパフォーマンスするのか、すごく期待しちゃいます」と。まさしく今の伊藤さん自身、出産したことで考え方が大きく変わりましたね。

確かに、今の話を聞くと点と点がつながりましたね。そのときは「自分が母親になるという目線で倖田さんを観たい」と言ったわけじゃないと思うんですけど……今思えば女性として根付いているものなんですかね。母親になってからと、なる前では女性は変わるんだなと当時から心の中で感じていたのかもしれない。実際に自分が母親になってみると、生きるうえでの考えも全然違いますね。

──どう変わりました?

「これからは失敗ができないな」って思うようになりました。子供を育てていくうえでは、一度の失敗がものすごい大ごとにつながるんですよ。だから緊張もするしプレッシャーもあって。そうなると、いかに失敗しないか策を考えるようになるんです。それは仕事に関しても一緒です。

──伊藤さんには育児という大きな仕事があるので、外で働かなければ失敗をする心配も減ると思うんです。それでも表舞台に立つことを選んだのは、どうしてなんですか?

伊藤千晃

正直、出産を経てからの1年間は「この業界に復活せず、子供だけを見て進むべきなんじゃないか」という思いと「やっぱり仕事をしたい」という思いの間で葛藤していて。さらに子育ても、やることなすこと初めてなのですごく失敗を繰り返したんですね。だけど子育てが落ち着いて、いろいろと冷静に物事が見えるようになったときに、ファンの存在が自分を大きく変える要素になりました。今ってSNSが普及したおかげで、毎日誰かが私にひと言くれるんですよ。「千晃ちゃん、元気にしてますか? 私たちはいつでも待っているんで、また笑顔を見せてくださいね」とか、「今、子育てで大変かな? がんばっている千晃ちゃんを想像すると幸せです」とか。私は何もしてないのに、私のことを心配してくれたり思ってくれる人がすごくたくさんいたんです。そういう言葉をいただくうちに「私、どうしてここでストップしているんだろう」と。もちろん、出産は人生において大きなことだけれど、出産をしたからと言って仕事を諦めるのではなく、むしろ自分が笑顔になれる方法として「そこに仕事があるなら私は働くべきだ」という考えに行き着いたんです。私の活力は仕事だったし、仕事がものすごい好きだった。それを望んでくれているファンの人たちがいたから「私はもう一度、歌を始めたい」と思うことができましたね。

──その経験は「New Beginning」を始め、この作品の楽曲に詰まってますよね。

本当にそうで。これからは誰かになり切る自分ではなくて、今の伊藤千晃を表現できる音楽を作っていきたいと願って「New Beginnings」を作り上げました。

伊藤千晃「New Beginnings」
2018年12月5日発売 / avex trax
伊藤千晃「New Beginnings」CD+DVD

[CD+DVD] 2268円
AVCD-96036/B

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伊藤千晃「New Beginnings」CD

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伊藤千晃「New Beginnings」FC・イベント盤

FC・イベント盤
[CD+グッズ] 2700円
AVC1-96038

CD収録曲
  1. New Beginning
  2. happiness
  3. Eternal Story
  4. LOVE or LIPS
  5. A Song For You
DVD収録内容
  • 「New Beginning」Music Video
  • 「Eternal Story」Music Video
イベント情報
伊藤千晃 1stミニアルバム「New Beginnings」発売記念イベント
  • 2018年12月24日(月・振休) 東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
    START 18:30~
バースデートークショー2019
  • 2019年1月12日(土) 東京都 ホテル椿山荘東京
    [1st] OPEN 12:30 / START 13:00
    [2nd] OPEN 16:00 / START 16:30
  • 2019年2月3日(日) 兵庫県 神戸ポートピアホテル
    [1st] OPEN 12:30 / START 13:00
    [2nd] OPEN 16:00 / START 16:30
  • 2019年2月11日(月・祝) 京都府 京都タワーホテル
    [1st] OPEN 12:30 / START 13:00
    [2nd] OPEN 16:00 / START 16:30
  • 2019年2月17日(日) 福岡県 ホテルニューオータニ博多
    [1st] OPEN 12:45 / START 13:15
    [2nd] OPEN 16:15 / START 16:45
名古屋市公会堂リニューアル記念CHIAKI ITOトークショー スペシャルエディション
  • 2019年3月25日(月) 愛知県 名古屋市公会堂
    OPEN 14:00 / START 15:00
伊藤千晃(イトウチアキ)
伊藤千晃
1987年生まれ愛知出身のモデル / アーティスト。コスメブランド「C-TIVE」のプロデュースやアパレルのコラボ商品開発などで幅広く活躍中。美容やファッションに関する豊富な知識で同世代の女性からの支持も高い。2018年夏にソロアーティストとして音楽活動を本格的に行うことを発表し、同年12月に初のミニアルバム「New Beginnings」を発表した。