音楽ナタリー Power Push - IRON ATTACK!

同人界の英傑 五虎将率いて新天地へ

メンバーを五虎将に

──「鉄撃三國志~SANGOKU ATTACK!~」のジャケットには「三國志」の武将たちが描かれていますが、これはIRON ATTACK!のメンバーを表しているんですよね?

CHINO はい。いろいろ考えて、ジャケットには五虎将(蜀で活躍した関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠)を描いてもらいました。1人ひとり当てはめていて、まいなすいょんは趙雲として描かれています。これは昔新選組の映画(「幕末純情伝」)で牧瀬里穂が沖田総司役を演じていて「沖田総司はBカップだった」という設定のオマージュで……。

──設定が細かいですね(笑)。

左から元帥(Dr)、Kira☆(G)、IRON-CHINO(G)。

CHINO もともと趙雲は美青年だったらしいので、女だったという設定で。でも実際まいなすいょんはどちらかというと軍師タイプなんですよ。バンドのブレーンであり、ボーカルで前線にも出るから……真田幸村のほうがいいかな。

まいなすいょん 「三國志」じゃなくなっちゃった(笑)。

CHINO Saka-thanはいつも裾の太いズボンを履いて足を開いてベースを弾くんですけど、仁王立ち姿は関羽そのものなんです。ベースも7弦ベースを使っていて、その巨大さたるやまさに青龍偃月刀。

──まさにピッタリな配役だったと。

CHINO 勇舞は張飛がバッチリだよね。

勇舞 自分では絶対に馬超だと思ってたんですけどね(笑)。

CHINO だってゲームの「三國無双」に出てくる張飛そのままじゃん! マッチョだし!

──確かに、イメージが被るところがあります。

CHINO で、元帥くんは一番若いのに老将の黄忠。これは矢をドラムスティックに見立てただけです(笑)。

──Kira☆さんは馬超なんですね。

CHINO 私の中では噛み合ってない組み合わせなんですけど、五虎将で残りの1人が馬超しかいなくて。でもジャケットのイラストは一番似てます。

──五虎将という縛りがなかったら、Kira☆さんはどの武将が当てはまりますか?

勇舞(Vo)

勇舞 関平ですね。

CHINO Saka-thanが関羽だから、立ち位置的にその息子である関平くらいだろうということで。たまにリズムのことでSaka-thanに注意されたりしてるし。でもジャケットに関平ってちょっと地味すぎるので、彼は馬超になりました。

──ということはCHINOさんは劉備ということですよね。

CHINO はい。私が劉備でないとストーリーが進まないので(笑)。

──蜀にこだわらないとして「三國志」登場人物の中で、自分に合っている武将は誰だと思いますか?

CHINO 自分は初代孫堅、もしくは三代目孫権だと思うんですよ。もともと呉が好きなんです。常に背水の陣を敷いてる感じが、メタルにこだわり続けてる姿に重なって。でもけっこうみんなに「いや、CHINOさんは曹操ですね」みたいに言われるんです(笑)。自分ではわからないのですが。

メタルのライブでサイリウム

──IRON ATTACK!のライブについての話も伺いたいのですが、10月にはスイスでライブを開催したんですよね。

CHINO そうなんです。スイスといっても田舎のほうだったので、物珍しさで来てくれたような人たちが多かったと思うんですけど、ライブが始まったらみんな熱狂してくれて。すごくハッスルしてるのに、ちょっとぎこちない感じが初々しくてよかったですね。

──現在のIRON ATTACK!の持ち曲は、同人ゲーム「東方Project」シリーズのアレンジが中心ですが、これらの曲って海外にも浸透してるんですか?

CHINO それが皆さん知ってるんですよ。やっぱりYouTubeとかで観るからだと思います。我々はメタルバンドということもあり、メタルの本場であるヨーロッパの方々にはなんの抵抗もなく受け入れてもらえて。

まいなすいょん(Vo)

まいなすいょん 今回初めて海外公演にサイリウムを持って行ってみたんです。

──一般的に海外のライブでサイリウムを使うことはないんでしょうか?

CHINO ないみたいですね。「あの光る棒はなんだ!?」みたいな反応でしたから。実はサイリウムとメタルの相性がいいってことはもともと知っていたんです。EIZO Japanというバンドにいたときに桃井はるこさんと毎年一緒にライブをしていて、私たちの演奏のときにも桃井さんのファンがサイリウムを振ってくれて、フロアの光がうねるように動くのがメタルに合うんですよ。坂本英三さんも「CHINOくん、これからはサイリウムだよ」とおっしゃってました。

まいなすいょん サイリウムって基本的に手に持ったら振るしかないので、「どうやってリズムに乗ろう」とか考えなくていいんですよね。今回のスイス公演でステージ上からサイリウムを投げてみたら、みんな楽しそうに振ってくれたので大成功でした。

CHINO オジー・オズボーンのTシャツを着た人が、大盛り上がりでサイリウム振ってましたから。

まいなすいょん それとサイリウムって持ち帰れるからいいんですよね。品物によりますけど、長いものだと10時間くらい光ってるんです。家に帰ったとき光は弱くなっているけど、サイリウムを見てライブの余韻に浸ってもらえたらなと思って、なるべく長い時間光っているものを持って行ったんです。

CHINO いろいろ考えて導入してるんですよ。まいなすいょんはウチの軍師ですからね(笑)。

──IRON ATTACK!はヨーロッパだけでなく香港や台湾でも海外公演を何度も行っていますが、海外のオーディエンスならではの反応ってありますか?

IRON-CHINO(G)

CHINO 海外の方は躊躇がないんですよ。日本のファンって周りの人の様子を見て拳を上げたりするのを遠慮してる感じがするんですけど、海外のオーディエンスは「自分が楽しむために来てるんだから周りのことなんて気にするか!」って感じで。

──それはヨーロッパでもアジアでも同じですか?

CHINO 基本的には同じです。唯一台湾だけちょっと日本に近い反応かな。だから台湾公演では我々がノリ方を先導して、会場の一体感を高めていくようにしていたり。ヨーロッパの方はギターソロで大騒ぎ、MCで「こんばんは」と挨拶しても大騒ぎ(笑)。そのぐらいみんな好きに盛り上がってくれるんですよ。

10周年イヤーで新しい必殺技も

──アルバムがリリースされる2016年はIRON ATTACK!結成10周年イヤーとなります。今後の展開はどう考えているんですか?

CHINO 我々はもともと同人サークルですから、同人の活動も続けていきますし、オリジナル作品も発表するわけですから、その路線も私が死なない限りは続けていこうと考えています。

──今回は「三國志」をテーマにしたコンセプトアルバムでしたが、今後は?

CHINO いつまでも同じ技しか使わないようなバンドにはなりたくないので、新しい必殺技を身に付けて、また別のIRON ATTACK!の姿を見せられたらいいですね。新しいスタイルの音楽も取り入れたいですし、人材マニアとしては2ndアルバムではスゴ腕のゲストをバンバン入れるのも面白いかなと……。それとオリジナル曲をライブで演奏するのがすごく楽しみなんです。海外遠征でもオリジナル曲をぶつけていきたいですし。これから忙しくなりそうだから元帥くんが単位を落とさないようにがんばっていきたいですね。

元帥 はい(笑)。がんばります。

IRON ATTACK!
ニューアルバム「鉄撃三國志~SANGOKU ATTACK!~」 / 2016年1月20日発売 / 2800円 / とらのあなレコーズ / TRNA-10012
ニューアルバム「鉄撃三國志~SANGOKU ATTACK!~」
収録曲
  1. 桃園結義
  2. 義気千秋
  3. 虎牢関の戦い
  4. 七星剣
  5. 命河一滴
  6. 関羽千里行
  7. 長坂を駆ける
  8. 臥龍立つ
  9. 双龍奏逢
  10. 赤壁
  11. 天下三分
IRON ATTACK!(アイアンアタック)

IRON ATTACK!

IRON-CHINO(G)、まいなすいょん(Vo)、勇舞(Vo)、Saka-than(B)、Kira☆(G)、元帥(Dr)の6人からなる音楽サークル。2006年にIRON-CHINOを中心に結成。同人ゲーム「東方Project」をメタル調にアレンジした楽曲で人気を博し、「M3」や「コミックマーケット」といったイベントでの活動を通してその知名度を高めていった。国内だけでなく海外公演も多数行っており、台湾や香港といったアジア圏のほか、ドイツやスイスといったヨーロッパでもライブを開催している。2016年1月にサークルとして初のオリジナルアルバムとなる「鉄撃三國志~SANGOKU ATTACK!~」をリリースする。