アルバムはバンドセットライブで映えるような曲ばかり
──そのZeppのステージで3rdフルアルバムのリリースが発表されました。「RAPTOR: IkAZuCHi」というタイトルにはどんな意味合いが込められているんでしょうか?
田端一聖(INUWASIのプロデューサー) タイトルには、アルバムの導入となるワードを入れたかったんですよね。INUWASIって犬と鷲が融合した“ハイブリッドラプター”という架空の生物をイメージしてるんですけど、イヌワシというのは現実にも存在していて。猛禽類の鳥にあたるので、その英語である「RAPTOR」という単語を使っているんです。猛禽類ってけっこう攻撃的なイメージですよね。そんな攻撃的なグループが出すアルバムは雷ですっていう、2段階に分けた表現をしたくて「RAPTOR: IkAZuCHi」と付けました。なので、今のグループの状態を示していると思います。まあ、「IkAZuCHi」に関しては外国の方から見ても強いワードにしたいと思って入れたところもあるので、意味があるようでそんなにないんですけど。単に字面がカッコいいなって(笑)。
──(笑)。メンバーの皆さんは、今回のアルバムに対してどのような印象がありますか?
ライカ アルバムには12曲収録されているんですけど、INUWASIらしいテンポチェンジの激しい曲はもちろん、去年の秋くらいから衣装が和をイメージしたものになり、海外を意識しているところもあるので、「HoMuRA」「Shadows Core」のような和の要素を取り入れた楽曲もあります。「Reflection」はアイドルっぽい夏曲だし、総合的に見てバランスのいいアルバムになったと思います。
カリヲリ 「king of Innocence」や「Dear the own」は前回のツアーですでに披露していたんですけど、ライブを通してファンの方と一緒に楽曲を完成させていった感覚があって。次のツアーはこのアルバムを引っさげて回るんですが、まだライブでやっていない新曲が5曲もあるので、ライブでどう響いて成長していくのかすごく楽しみです。
──イヴさんにとっては、本作が最後のアルバムになりますよね。
イヴ 寂しいですけど、INUWASIってめちゃくちゃたくさん曲があって。今でもライブがすごく楽しいのに、新曲が5曲も追加されたらどうなるのか私もワクワクしています。特に好きなのが2曲目の「DREAM」。デモが送られてきてすぐに好きになりました。今までは事あるごとに「shyness」が大好きな曲だと言ってきましたけど、今は「DREAM」が一番かもしれないです。聴いていても歌っていても楽しくて、最高です。
はのんまゆ 新曲はすでに何曲か振り入れしていて、お客さんも一緒に踊って楽しめるような曲が多いです。あと「Dear the own」は大きいライブハウスで聴いたらより迫力が出そうですし、アイドルファンじゃないバンド好きな人も一緒に楽しめる曲なんじゃないかな。今のINUWASIはバンドとアイドルの狭間みたいなラインにいると勝手に思っているんですけど、将来的にバンドセットライブで映えるような曲ばかりだと思います。
すずめ 早く大きなステージで歌ってあげたいというか、1曲1曲力を込めて作られたアルバムなので、この6人でツアーを通して新曲を届けられることにワクワクしています。特に「Colors in your eyes」をライブで歌うのが楽しみです!
がるむ 今作はいろんな要素が組み込まれているアルバムだと思います。特に「HoMuRA」とかは、「あれ、もう曲終わった?」と思ったら、まだあるよ!みたいな、びっくりさせられる展開で。この曲はまだ振り入れしてないんですけど、どういう振りになるのか楽しみだし、お客さんの反応も気になります。個人的には、一番難しいタイトルの「0n top 0f a11 tHa+」も好きですね。イントロの「レッツゴー!」のところとか、激しすぎるブレイクダウンとか。
──サウンド面では、どんなことをテーマにしたアルバムになっているんでしょう?
田端 アルバム全体で言うと、iPhoneとか車の中とか、そういったシチュエーションで聴いてもらうことを想定していないんですよ。あくまでライブ想定で、このアルバムを引っ提げたツアーが終わったときに、それぞれの楽曲がどうなっているのか。フロアの反応も含めて、ファンの方の評価にも重きを置いたアルバムと言えるかもしれません。
──ライブでパフォーマンスすることで完成する作品だと。
田端 はい。あと、ミックスにめちゃめちゃ時間を費やしました。1、2曲目の「nightmare mode」「DREAM」ではINUWASIのスタンダードな部分を提示していて、3曲目「0n top 0f a11 tHa+」では自分個人の気持ちというか、思っていることを曲に落とし込みました。イヴちゃんが卒業するし、グループ的には来年いろいろと変わる。いい意味で言ったら“再生”というイメージで、1回ぐしゃっとしてきれいにするというか、特に曲のブレイクダウンの部分でめちゃくちゃな展開を作りました。
──なるほど。
田端 4曲目「Shadows Core」とそのあとに続く「HoMuRA」では、和のイメージを音楽的にわかりやすく出しています。そして「king of Innocence」から「holy(Rearrange)」までは、バンドセットライブが映える音色として固めたラウドゾーン。そのあとはちょっとかわいい系というか、「Reflection」はハイパーポップをバンドアレンジでやったらどんな感じになるか、という考えから制作していただいた曲ですね。INUWASIのサウンドチームは今までやったことのない音楽のジャンルを取り入れていこうという向上心を持っていて、次の「Colors in your eyes」に関しては、カラーベースというジャンルに挑戦しています。バンドセットツアーでやるために生ドラムを入れてみたらいい形になりました。ラストの「World of Unreal」については、安易な言葉は使いたくないんですけど、INUWASIの歴史を語った曲で。常に変わり続けなければいけないという気持ちを持っている中、ここまでの5年間の変遷を表現してみました。
イヴちゃんが卒業したあともINUWASIは止まらない
──ニューアルバムを携えてのツアーは11月8日のSpotify O-EASTでスタートし、すでに話に出ている通り、全公演バンドセットで行われます。そしてこれがイヴさんが参加する最後のツアーになります。
イヴ O-EASTでのワンマンはこれが2回目で。前回はチケットをソールドアウトできたので、今回も完売させていいスタートを切りたいし、6人で全公演を無事に成功させたいです。ツアーが終わったらもう自分はINUWASIにはいないと考えると、残りの時間は思った以上に短いなと感じるんですけど、1つひとつのライブを大切にしたいです。INUWASIとしての時間を大事にして、とにかくツアーを成功させたい。本当に一瞬一瞬を噛みしめながら臨みたいと思います。
カリヲリ 私も1つひとつのライブを噛み締めながらツアーを回りたいです。アルバムの曲をライブでしっかり届けていきたいし、ファンの方と一緒に新曲を完成させていけたらと思います。ツアーファイナルの会場はまだ決まってないんですけど、その先にZeppツアーとかを実現できるように、自分自身を磨いていきたいなと。イヴちゃんが卒業したあとに後悔が残らないように、6人でいいツアーにしたいです。
ライカ INUWASIは今までたくさん変化をしてきたけど、今回のツアーを通してまた新しいINUWASIを見せていかなきゃいけないと思っています。アルバムの新曲を自分たちのものにしていきたいし、イヴちゃんには悔いのないように全力を出し切ってほしい。そして成長した状態でツアーファイナルを迎えたいです。
はのんまゆ 私は、今回のツアーが成功するかどうかが、今後のINUWASIの期待値とか可能性につながっていくと思っていて。ファンの方にはまだまだこれからもINUWASIについてきてほしいので、そのために初日から盛り上げていきたい。バンドセットで地方に行くのは初めてだから、たくさんの人にINUWASIのバンドセットってこんないいんだって思ってほしいし、バンド好きな人にも関心を持ってもらえるようなツアーにしたいです。そしてイヴちゃんには、INUWASIに入ってよかったなという前向きな気持ちで新しい世界に飛び出してもらいたいですね。
がるむ ファンの方もINUWASIはずっと6人のままだと思っていた人が多いんですけど、イヴちゃんに限らず、みんな普通に人生いろいろあって、グループとして集まっているのだから、永遠に続くものだとは思っていなくて。この6人こそがINUWASIだと思ってもらえるのはうれしいですが、この先も何があるかわからないし、そういう意味でもツアーの全公演で結果を出したいです。バンドセットでのツアーは初めてですが、いつも来てくださるファンの方にも「今日のINUWASI、ちょっとひと味違ったな」と思ってもらえる、観客全員の心に残るようなツアーにしたいですね。
すずめ 私はバンドセットでツアーを回れるのがすごくうれしくて。ツアーの中で壁にぶち当たることもあるかもしれないですが、私はそれでいいと思ってるんです。デビュー当時には立てなかった野音やZeppでのワンマンは無事に成功できたけど、その前はフロアがスカスカなときもあったし、上に行くためにすごく燃えていました。今もそのときの気持ちがないわけじゃないですが、活動していくうちに初心が薄くなってきたところはやっぱりあるので、来年結成5周年を迎えるにあたって、やってやろうという噛み付く姿勢や悔しがる気持ちを、もう1回思い出してツアーに挑みたい。今だからこそ届けられるINUWASIのライブに初心をプラスして成功させたいです。イヴちゃんが卒業したあともINUWASIは止まらないので、これからもファンの方に期待してもらえるようにがんばります。
公演情報
INUWASI 5th ANNIVERSARY BANDSET LIVE TOUR〝狗鷲雷閃〟
- 2024年11月8日(金)東京都 Spotify O-EAST
- 2024年12月28日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2024年12月29日(日)千葉県 柏PALOOZA
- 2025年1月4日(土)宮城県 Rensa
- 2025年1月13日(月・祝)大阪府 梅田 CLUB QUATTRO
- 2025年2月9日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
プロフィール
INUWASI(イヌワシ)
芸能プロダクション・MAPLE INC.に所属する、犬と鷲の融合“ハイブリッドラプター”をイメージした6人組アイドルユニット。2020年2月に黒い衣装を身にまとい、ハードコアの楽曲を歌うというスタイルで活動をスタートさせた。その後、作品の発表やワンマンライブの開催をコンスタントに続け、精力的な活動を展開。2023年2月に東京・LIQUIDROOMで初のバンドセットライブを行い、その後東京・渋谷CLUB QUATTRO、新宿BLAZEでのワンマンライブも成功させた。2023年10月に開催した東京・Spotify O-EAST公演にて、活動の“第1章”が完結し、“第2章”の幕が開けることを発表。2024年2月の東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)ワンマンを皮切りにバンドセットライブを軸にした活動を展開し、4月には東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でもバンド編成のライブを行った。6月にグループ初のシングル「Shadows Core:World of Unreal」をリリース。8月にはデビュー時からの目標の会場である東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブを成功させた。11月に3rdフルアルバム「「RAPTOR: IkAZuCHi」をリリース。同月より全公演バンドセットのワンマンツアーを開催する。2025年3月をもってメンバーのイヴがグループを卒業することが決定している。