女子ならではの「レコ屋あるある」
──女子ならではの「レコ屋あるある」は何かありますか? まめぐさんの「ジャンクコーナーにジャージで行く」はあるあるではないと思いますけど。
中島 あれはただの私の心構えです(笑)。でも「リュックで両手を空けるようにする」とかはあるかなあ。
Megu あー、わかる。あと、やっぱりレコード店には男性の方が多いから、1人でいると珍しがられることがよくありますね。
ayaka あります。びっくりされるよね。
──店内で女性に会うこともあまりない?
ayaka ないですねー。私は行きつけのお店で顔を覚えられているので、お店のおじさんに教えてもらえますね。1人で来てるのが珍しいからか、私が買いそうなレコードを把握してくれていて「聖子ちゃんのレコード入ったよ」って。
──「またあの80年代の子が来た」みたいな。
ayaka はい。そのときは女子でよかったなって思います(笑)。
中島 お店で隣の人が「……見つけた!」って空気を醸し出しているときがあるじゃないですか。昨日もあったんですけど、スタタタタタタタタッ! パッ! スー……って鼻から息を深く吸うあの空気感(笑)。私は欲しいものが見つからなかったので、「よかったね」って人の幸せを喜ぶような気持ちで遠くから見守ってました(笑)。あれ、すごく好きなんですよね。
Megu 隣の人が自分も好きなアーティストさんのレコードを掘ってると、勝手に「気が合うなあ」って思います(笑)。
──自分が見ようと思っている棚にそういう人が先にいると「自分の欲しいレコードが先に取られちゃうかも」とハラハラしませんか?
Megu そこから恋が生まれるかもしれないですよ?
中島 手と手が触れ合って……マンガみたーい!
左から中島愛、ayaka、Megu。
女子目線によるレコードの魅力
──1990年代の“渋谷系”全盛の頃は女子もこぞってレコードを買ってましたけど、人気のレコード店の袋を小脇に抱えているのがちょっとしたステータスみたいなところもありましたね。
中島 私も昨日、渋谷の街をレコード袋を抱えて歩きながら「私、今レコード持ってるんだぞ」って、ちょっと誇らしい気持ちになってました(笑)。
──そういうところで人気に火が着くこともあると思いますし、レコードバッグとか、女子ならではの観点で楽しめる周辺のグッズが増えてきたら層も広がるのかなと。
ayaka プレーヤーも今はおしゃれなデザインのものが増えてますよね。
Megu 私が今使ってるプレーヤーは、トランク型なんですよ。お部屋に置いておくだけでもインテリアとしてかわいくて、女子の部屋にもマッチすると思います。
中島 女子目線で言うと、レコードはジャケットが大きいぶん、当時のメイクがよくわかります。有名なアイドルさんだと大御所のヘアメイクさんが手がけていたりして、クレジットを見ていると「今も活躍されているこの方が!」という発見もあるんですよ。
ayaka その時代の流行が反映されてますもんね。それに、当時流行っていたものがリバイバルで盛り上がったりすることもあって。
中島 そうそう。でもじっくり眺めて研究してみると、口紅の色1つ取っても、今とは全然違ったりするんですよ。写真集みたいに豪華な歌詞カードが入っているレコードもあるし、自分が好きなアイドルやアーティストのジャケットで、メイクやファッションを研究してみるのも楽しいと思います。
アナログが……出したいです!
──皆さんと近い世代の方は男女問わず、やっぱり「レコードはよくわからない」「興味はあるけど、どこから手を付けたらいいのかわからない」というところで二の足を踏んでいる方が多いと思うんですよ。そんな人たちに、レコードならではの魅力を伝えてもらえますか?
中島 レコードを買い始めた頃、同世代の友達にはレコードを集めている人や80年代のアイドルが好きな人がいなくて。思春期だったので、「どうして私はレコードが好きなんだろう」「周りに同じものを聴いてる人がいないのはどうしてだろう」「いい音楽なのに、普通に話せない」って悩んでた時期があって(笑)。でも、レコード屋さんに行くと、同じものを探し求めている人がたくさんいて、たまに同年代の子を見つけるとすごくうれしかったんですよね。
──基本的に「レコード好きが集まっている場」だから、レコード好きにとって居心地のいい場所なのは確かですね。
中島 ayakaさんがおっしゃったように、わからないことがあると店員さんが親切に教えてくれるし、意外と敷居は高くないんだよってことは伝えたいですね。プレーヤーも今はお手頃なものがたくさんあるし、「踏み込んじゃえば早いよ」って。あと、中古レコードを聴いていると、タイムスリップしたような気持ちになれますよね。CDとか動画で当時の歌を聴くと、時代との間に1枚大きな壁あるような感じがするけど、レコードを聴いていると「私の知らないあの頃に、ワクワクしながら針を落としていた人がいたんだなあ」って。
──Negiccoとリリスクはアナログも頻繁にリリースしてますし、最近は新譜をアナログで出すアーティストも増えましたよね。海外ではもっとレコード市場が拡大している国もありますけど。
Megu 好きなアーティストさんがアナログを出しているとうれしいですね。好きなアーティストが出していたからとか、ジャケットがかわいいからとか、そういうこともレコードに触れるいいきっかけになると思います。
中島 私も……アナログが……出したいです!
──「活動再開を記念して過去のアルバム3作品が一斉アナログ化! ランカ・リー=中島愛『星間飛行』も7inchでリリース」とか、今ならあってもおかしくないですけど。
中島 それです! (急にセリフ口調で)私のアルバムを、アナログレコードにしてください。フライングドッグの皆さん、今です。
ayaka アハハハハ(笑)。
中島 Nao☆(Negicco)ちゃん仕込みの言い方で言うと「いつするの? 今でしょ!」。
2016年12月21日更新