生まれた頃からCDや配信音源が当たり前な世代には、アナログレコードは「敷居が高い」というイメージがあるかもしれない。また、レコード店に足を運ぶとその多くは男性客で、やはり「ターンテーブルの扱いが難しそう」「どんな機材をそろえていいかわからない」といった初歩の段階でつまずいてしまう女性が多いのではないか。
そこで本企画では、レコード店に足繁く通い、レコード収集の楽しさを満喫している女性アーティストたちによる座談会をセッティング。アイドルマニアの両親の元で育ち、昭和のレジェンドから現行アイドルまで幅広く愛する生粋のドルヲタayaka(lyrical school)、DJとしても活躍し、主に新譜アナログを収集するMegu(Negicco)、そして約3年ぶりの活動復帰宣言が大きな注目を集めている“まめぐ”こと中島愛の3人に、三者三様のレコード愛を語り合ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
三者三様、レコードとの出会い
左から中島愛、ayaka、Megu。
──皆さんはどういうきっかけでレコードを聴くようになったんですか?
Megu(Negicco) 私はNegiccoがアナログを出すことになったのがきっかけです。それまでアナログレコードと言われてもピンと来なかったんですけど、そのあとあるイベントに出たときに「MeguさんはDJをやってるんですよね?」と、レコードプレーヤーをいただいたんです。さっそく自分たちのレコードを聴いてみたら、CDとは違う魅力があって。「ほかにどんなアーティストさんがアナログを出してるのかな?」と思って調べてみたら、CDとは違うジャケットのアナログを出していたりして、そこから一気にハマっていきました。ディ、Digったりするのが楽しくて(笑)。
akaya(lyrical school) 両親が大のアイドル好きで、私がアイドル好きになったのは親の英才教育なんです(笑)。なので家にはアイドルのレコードがあって、母が持っていた中森明菜さんの「スローモーション」のジャケットを見たときに「なんだこのかわいいジャケットは!」って一目惚れしたんです。小学生の頃からアイドルが好きで、部屋にはモーニング娘。さんのポスターを貼ってたんですけど、同じ感覚でレコードを飾ったら、めっちゃかわいくて。最初はジャケ買い目的でレコード店に通うようになったんです。親の影響で大好きになった中森明菜さんや松田聖子さん、渡辺美奈代さんのレコードをひたすら集めて……眺めてます(笑)。
中島愛 私は1989年生まれで、あるとき「自分が生まれた頃の音楽はどんな感じだったんだろう」と気になって、1989年前後の音楽を聴き始めたんです。最初は8cmのシングルCDで集めてたんですけど、中学1年生のときに街に移動レコード屋さんが来たんです。そこで初めて、バーッとたくさんのレコードが並んでいるのを見て「なんだこれ!?」と衝撃を受けて。プレーヤーは持ってなかったので、私も最初はayakaさんと同じジャケ買いです。お小遣いで買えるのは1枚だけだったので、厳選して河合その子さんのレコードを買いました。そのアルバムはCDも持ってなかったから、歌詞カードを見ながら「どんな曲なんだろう」って想像を膨らませて、勝手に作曲して歌ったりしてました(笑)。基本的にアナログはプレーヤーを買うまでは、観賞用と、クレジット確認用でしたね。
左からMegu、中島愛、ayaka。
レコード店と女の子
──よく行くレコード店はありますか?
ayaka 私は神保町をひたすら回ってます。ほかのお客さんがこうやってる(レコードを探す仕草)音を聴いてるだけで幸せなんですよ。
Megu あははは(笑)。
ayaka 自分ではあんなにサッサッサッ、ってできないんですよ。
左からMegu、ayaka、中島愛。
中島 難しいですよね。隣に40代ぐらいの方が来て、すごいスピードでサササササ!ってチェックしてるのを見るとびっくりしちゃう。
Megu でもストンストン落とすと怒られちゃうんですよね。スピーディーな人を見るとカッコよく見える。
中島 そうそう。でも私は恥ずかしいから、ソーッと見てます(笑)。
──Meguさんの住んでいる新潟だと、地下街にあるKING KONG新潟店はアイドルのレコードも含めて品揃えが豊富なお店ですよね。
Megu KING KONGさんは私もよく行きます。ついこの間行ったとき、Negiccoが何年前かに出したCDにプレミアが付いて9800円になってました(笑)。
左からMegu、ayaka、中島愛。
中島 私の場合、行きつけのお店ではないんですけど……レコード店ではない、いろんな中古品が置いてあるお店のジャンクコーナーみたいなところをよく見ます(笑)。私、「あそこのお店にいけばあれがある」「ネットで買えばすぐ見つかる」みたいなことよりも、なさそうなところに眠っているお宝を探すのが好きなんです。
──完全にディガーの発想ですね(笑)。
中島 だから立ったりしゃがんだりしやすいジャージみたいな服で、埃がすごいかもしれないからマスクをして、万全の体制で挑みます。休みの日に3、4時間ぐらいお店の隅っこで……。
Megu すごい(笑)。
中島 たまにまったく知らないおじさんと2人になったときとか、不思議なグルーヴ感が生まれるんですよ(笑)。しゃべらないんですけど「……お好きなんですか?」みたいな(笑)。
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2016年12月21日更新