音楽ナタリー Power Push - アイドルカレッジ×桃井はるこ

誇り高き“アイドル”を生きる

アイドルカレッジがニューシングル「虹とトキメキのFes」をリリースした。結成7周年を記念して制作された本作は、彼女たちがレーベル移籍時に発表した「あのコが、髪を、切らない理由。」以来1年半ぶりにシンガーソングライターの桃井はるこが作詞を担当。アイドルとファンの心情をメタな視点で表現した作品となっている。音楽ナタリーではアイカレの南千紗登、石塚汐花、冨田樹梨亜、河東杏樹、海老原優花の5人と桃井にインタビューを実施。前半では楽曲に込められた思いをそれぞれに、後半ではメンバーに現在行われている7大都市ツアーのツアーファイナルに対する意気込みを聞いた。

取材・文・撮影 / 古川朋久

アイドルカレッジ×桃井はるこインタビュー

アイカレは美少女集団

──桃井さんはアイカレが2014年にStand-Up! Recordsに移籍した際に発表した「あのコが、髪を、切らない理由。」の作詞を手がけられました。それがアイカレとの初めての出会いだったんでしょうか?

桃井はるこ もちろんアイカレのことは知っていたんですが、お仕事という形で関わるのはあれが初めてでしたね。

南千紗登

南千紗登 私たちも桃井さんが作詞してくださると聞いて、当時すごくドキドキしてたのを覚えてます。レーベル立ち上げのイベントを川崎のCLUB CITTA'でやったんですけど、そのイベントを桃井さんが観に来てくださって。そこで初めてご挨拶させてもらったんです。アニメ好きのゆいぽん(中島優衣)は声優としても活躍されている桃井さんに会えるってことですごく緊張してたのを覚えてます(笑)。

冨田樹梨亜 朝からずっとソワソワしてたよね(笑)。

桃井 私の中ではアイカレって正統派アイドルのイメージで、美少女集団だなって思ってました。

一同 えええー!

冨田 うれしいです!

桃井 プリーツスカートを着て、ピシッとしてる感じで。

石塚汐花 ずっと制服っぽい衣装でしたからね。

──逆にアイカレの皆さんから見る桃井さんのイメージは?

 ボーカリストとしても素晴らしいのに、声優さんもやられていて。とてもかわいらしい声を出せてすごいなって思います。

海老原優花

海老原優花 「あのコが、髪を、切らない理由。」のときに仮歌を桃井さんが歌ってくださっていて、その歌声が魅力的でずっと聴いてました。

桃井 歌詞の譜割りを譜面に書くときに自分で歌ったほうがわかりやすいし、そのまま仮歌をお渡しもできるのでそうすることが多いんですよ。

 あと自分という絶対的なものを持ってらっしゃるなって。「私が桃井はるこ!」みたいな(笑)。そういうところがカッコいいです。

桃井 ありがとうございます(笑)。

アイドルは今の日本に必要な職業

──桃井さんは「あのコが、髪を、切らない理由。」と今回の「虹とトキメキのFes」の歌詞を手がけていますが、前者はレーベル移籍のタイミングで、後者は結成7周年記念のタイミングでと、アイカレにとって特別な作品の制作に携わってますね。

石塚 「あのコが、髪を、切らない理由。」には歌詞の中で「変わる勇気と 守る勇気」というフレーズがあるんですけど、レーベル移籍したその当時の私たちの心情を表してくれていて。今回の「虹とトキメキのFes」も7年アイドルをやってる私たちが、この先の活動でさらに勇気を持てるような内容の歌詞を書いてくださってます。

冨田樹梨亜

冨田 「何歳になってもアイドルとしてキラキラしたことをやってもいいんだよ」っていう桃井さんからの思いが伝わってくる楽曲です。今ってアイドルがたくさんいるじゃないですか。結成して1年くらいで大きなステージに立つグループもいるけど、この曲をステージで歌っていると、ステージの大きさとかファンの多さとか関係なくて、アイドルとして歌うことが好きだから歌い続けているという大事なことを思い出すんです。7年だろうが10年だろうが、アイドルとして活動している自分に誇りを持って歌い続けたい曲ですね。

桃井 そう思ってもらえると、なんかうれしいですね。

河東杏樹

河東杏樹 あと歌詞の意味もすごく深くて、この楽曲は私たちアイドル自身の気持ちを表していたり、ファンの皆さんの心情を歌っていたり、恋愛の要素もあったりと、1曲の中に3つも要素があるんです。

──確かにアイドル視点、ファン視点のそれぞれでアイドルのステージの魅力が伝えられてると感じました。

桃井 「虹とトキメキのFes」の作曲はHaToさんという方が手がけているんですが、曲調はダンスミュージックだったので語感を大事にしようと思いました。そこからどういったテーマを持つ楽曲にするかを考えていったんですけど、私、最近のアイドルに対して思うことがいろいろとありまして。

──と言いますと?

桃井 私が高校生くらいの時代って、アイドルになりたいっていう女の子ってあんまりいなくて。アイドル活動というのは将来モデルや女優になるためのステップという感じで、アイドルに特別な思い入れを持っていたり、ずっとアイドルでいたいっていう人は少なかった。でも最近の「なりたい職業」アンケートでは、モデルや女優よりもアイドルになりたいっていう女の子のほうが多いんですって。

石塚 そうなんですね!

桃井 アイドルに価値を見出してる人が増えてきた理由を考えていくと、世の中がモチベーター的な存在を求めてるんじゃないかなって思って。いろんな人に対して「がんばって」って言ってくれる、その人の笑顔を見ていると元気になれるっていう存在が今の日本にはすごく必要なんじゃないかと。だからアイドルって職業は絶対に今の日本に必要なんですよ。

 なんかその話、グッときますね。

桃井 でしょ? 今ってSNSがすごく普及して、自分の発言に対して褒めてくれる人もいるけど、けなす人も存在して。悪い意見のほうが目立つことも多いじゃないですか。人の声を気にして「このままアイドルを続けてていいのかな?」って思うこともあると思うんだけど、私は何歳でも自分が納得するまでアイドルは続けていいと思うの。

海老原 それはなぜですか?

桃井 「人に求められてるかどうか」という条件付きだけど、求めてくれる人がいる限りはアイドルでいてもいいと思う。アイドルって応援してくれるお客さんがいて、初めて成立する職業だからね。なんか最近のアイドルは必要以上に女の子のほうが年齢のことを気にし過ぎて委縮してるような気がして。自分で活動の制限をしちゃってるのがもったいないなって思います。

──20代中盤から後半でもアイドルを続けてる人はいますし、もっと自信を持って続けてほしいということですね。

桃井はるこ

桃井 そうなんです。年齢なんて関係ないんですよ。いいアイドルグループって、アイドルとファンの距離感が近くてライブでも一体になってるんですよね。お互い高め合って、お互いが楽しい。それにアイドルはファンの人に元気になってもうらためにがんばってるけど、ファンもアイドルに力をくれるじゃないですか。アイドルって舞台に上がってる人だけじゃなくて、その場にいるファンも含めてのものなんじゃないかって最近思ってて。

──お互いをリスペクトしてる関係性ですね。

桃井 そうなると素晴らしいですよね。私、英語の「Idol」って言葉の本来の意味に、日本のアイドルもだんだんと近付いているような気がしてて。ブリトニー・スピアーズみたいに年齢とか結婚してるとか彼氏がいるとか関係なくて、一目置かれている存在が「Idol」。日本のアイドルもそうなっていってほしいなって思います。アイドルカレッジは名前に“アイドル”と入っているので、アイドルであることを誇りに持って、これからも突き進んでほしくて「虹とトキメキのFes」を作詞しました。

すべてのアイドルとアイドルファンに聴いてほしい

 「虹とトキメキのFes」の歌い出しで「私は I・D・O・L」と歌ってるのは私なんですけど、アイカレに一番長く所属してて年齢も一番上の私がこのフレーズを担当することにとても意味を感じていて。ほかにもAメロの「いつまでなんて誰が決めたの」という歌詞にも共感できますね。

──サビ前の決めゼリフも南さんが担当してます。

 「決めた!」と「好きだから」という決めゼリフは、レコーディングのときとは違うニュアンスでライブで表現するようにしてます。ライブでは毎回そのときの心情を込めて言うようにしてるんです。

桃井 毎回同じニュアンスである必要はないですからね。それがいいんですよ!

石塚汐花

石塚 ちぃさんの決めゼリフはたまにすごく乙女っぽくなったり自信いっぱいだったりして(笑)。そのときのちぃさんの心情が伝わってきて、そこからサビに入るので私たちも気持ちが乗るんです。

桃井 最初は決めゼリフも何もなくて、ブレイクだったんですよ。でもここで1人にスポットライトが当たって何かを言ったほうがいいなって思って。

──あの瞬間の南さんのドヤ顔が見どころの1つです(笑)。

一同 あはははは(笑)。

桃井 初披露のときに、南さんが歌う前に泣いたって聞きましたけど、何があったの?

 MCで、自分がアイカレとして活動してきた7年間を振り返って語ってたら泣けてきちゃって。ファンの人は目が点になってました(笑)。

桃井 「虹とトキメキのFes」はアイドルカレッジのファンだけでなく、すべてのアイドルとアイドルファンの人に聴いてほしい曲なんです。ステージで生き生きと歌ってるアイドルの今ってとても尊いから、人の意見に左右されて活動を狭めるような必要はないと思うし、ファンの人も誰に何を言われても自分が応援したいアイドルを追い続ければいいんです。そんなことを思いながら歌詞を書きました。みんなが強い気持ちになればいいなって。

冨田 心がキラキラしてきました。

河東 今回英語でレコーディングするパートがあって、そこを私が担当してるんですけど、新しいアイカレの扉を開いたような気がしてます。切なさも感じさせる素敵なメロディですね。

海老原 その英語のパートになると今までの自分たちの活動がリフレインしてきて泣きそうになるんです。「私たちの未来は輝いている」という意味を持っているので。

アイドルカレッジ

──アイドルだからこそ共感できる、感情が込み上げてくるようなフレーズが多いんですね。

石塚 私、これから先も「虹とトキメキのFes」を歌っていたときの気持ちは絶対に忘れないと思います。もしかしたら私にも「このままアイドルをやってていいのかな」って思う時期が来るかもしれないけど、この曲を歌うたびに「アイドルでいいんだ!」って思うんじゃないかなって。

桃井 あまりメタな視点での楽曲はアイカレには似合わないかなって思ってたんですけど、今回「虹とトキメキのFes」で伝えたかった「アイドルって素晴らしい!」という思いは、今だからこそ言いたかったことだったんですよね。どんな風に皆さんが捉えてくださるか楽しみです。

Contents Index
アイドルカレッジ×桃井はるこインタビュー
アイドルカレッジ7大都市ツアー インタビュー
ニューシングル「虹とトキメキのFes」 / 2016年12月14日発売 / Stand-Up! Records
DVD付盤 [CD+DVD] / 2000円 / POCS-1495
通常盤A [CD] / 1000円 / POCS-1496
通常盤B [CD] / 1000円 / POCS-1497
通常盤C [CD] / 1000円 / POCS-1498
DVD付盤 CD収録曲
  1. 虹とトキメキのFes
  2. せいしゅんしもべティック
  3. アイドルカレッジと魔法のユートピア☆
  4. 虹とトキメキのFes(off Vocal)
  5. せいしゅんしもべティック(off Vocal)
  6. アイドルカレッジと魔法のユートピア☆(off Vocal)
DVD付盤 DVD収録内容
  1. 虹とトキメキのFes MusicClip
  2. 特典映像
DVD付盤 エンハンスド収録内容
  • 虹とトキメキのFes MusicClip(高画質mp4)
  • アーティスト写真(集合 & 個別アー写 各1枚)
  • アイドルカレッジ壁紙
通常盤A CD収録曲
  1. 虹とトキメキのFes
  2. せいしゅんしもべティック
  3. 虹とトキメキのFes(off Vocal)
  4. せいしゅんしもべティック(off Vocal)
通常盤B CD収録曲
  1. 虹とトキメキのFes
  2. アイドルカレッジと魔法のユートピア☆
  3. 虹とトキメキのFes(off Vocal)
  4. アイドルカレッジと魔法のユートピア☆(off Vocal)
通常盤C CD収録曲
  1. 虹とトキメキのFes
  2. 虹とトキメキのFes(off Vocal)
通常盤C エンハンスド収録内容
  • アーティスト写真(集合)
  • 虹とトキメキのFes CM映像
  • メンバー自撮り(1人3枚×18人分)
seventh anniversary アイドルカレッジ7大都市ツアー!!! ~キミに会いたくて~ ツアーファイナル
2016年12月29日(木)
東京都 恵比寿ガーデンホール
OPEN 16:00 / 16:30
アイドルカレッジ
アイドルカレッジ

「未来のアイドルをみんなと育てていこう」をテーマにダンスや歌唱、演技などのレッスンを公開授業として行い、ファンと共に成長していくアイドルグループ。B.L.T.IDOL COLLEGEとして2009年2月に結成し、2010年4月1日よりグループ名をアイドルカレッジに改めメンバーをリニューアルし再始動する。2013年2月に「少女卒業 / YOZORA」でドリーミュージックよりメジャーデビューが決定し精力的にライブ活動を行っていく。2014年7月にStand-Up! Recordsに移籍し、第1弾シングル「あのコが、髪を、切らない理由。」をリリース。2016年3月から4月にかけて東名阪ツアーを、同年10月より7大都市ツアーを開催。ツアー中の12月にニューシングル「虹とトキメキのFes」を発表し、12月29日には東京・恵比寿ガーデンホールにてツアーファイナルを迎える。

桃井はるこ(モモイハルコ)

1977年生まれ、東京都出身の女性アーティスト。高校時代から始めたパソコン通信での日記が縁で、コラムニストとしてデビューする。1997年には自身のクローンと呼ぶインディーバーチャルモバイドル「もあいはるこ」をプロデュース。当時はまだ珍しかった秋葉原路上でのゲリラライブを実施した。その後、声優やラジオのパーソナリティ、楽曲提供者としても活躍。2000年には満を持してシングル「Mail Me」でメジャーデビューを果たす。ゲームソングやアニメソングとポップミュージックの垣根を超えた、バラエティに富んだ音楽性でファンの心をつかんでいる。2016年7月にはセルフカバーアルバム「Pink Hippo Album ~セルフカバー・ベスト~」を発表した。