ノリの悪い俺らでも歌いたくなっちゃうような
──曲を作るにあたって、まず話し合いから入るのは変わらないですか?
秋気 そこは変わってないです。「バンドであることを意識しよう」「夏映えするEPを夏に出そう」って、今年の頭には話し合ってて。タイトルは僕ららしくシンプルなワンワードにしたくて、自分たちの遊び心やポップさ、お茶目な部分をいいバランスで表わせたものになったと思います。
悠 I Don't Like Mondays.っていう長いバンド名に対して、「SUMMER」はハマりがよかったんです。レコード会社の方には「えっ、もうちょっとないの?」とかも言われたけど、意思を曲げずに「いや、これで!」って。
──「夏」と言っても、その捉え方はさまざまですよね。
秋気 そこも話し合いでイメージを共有しますね。リード曲をどんな曲調に仕上げるのかも、「1人の部屋で聴くというよりはみんなで外で騒げるようなものが夏っぽいよね」とか。1stミニアルバムの「PLAY」(2014年9月リリース)に「Golden Life」っていう曲があるんですけど、「ああいう壮大で野外に似合う曲調を2017年のナチュラルな気分で作ってみるのはどう?」とか。あとは疾走感も欲しい。かと言って、ワイワイしすぎじゃ今の僕らっぽくない。そんなことを意識しながら作っていったかな。
謙二 そのリード曲の「On my way」は、夏にいろんなところでライブするのをイメージして作った曲でもあるよね。
秋気 うん。イントロが流れた瞬間、お客さんがワクワクできる曲にしたくて。聴き手のテンションを保っていけるコード進行ということについては、今までで一番練った。
悠 ライブで演奏して初めてわかるんですけど、盛り上がると思ってた曲でも案外Aメロは落ち着いちゃったりするもので。だから、ずっとノセていられるのを作りたかったよね。
兆志 裏話としては、レコーディングのときにギターのアンプが壊れたりもしたね。本当はそこでエレキをいっぱい録る予定だったけど、アンプが壊れてできなくなったから、その時間で予定になかったベーシック以外のアコギを重ねたんです。そのおかげで思わぬ疾走感は生まれたかも。
謙二 ライブのことを考えた曲だけど、僕らこう見えて「手を振ってくれ!」「こうノッてくれ!」みたいな煽りはあまり好きじゃなくて。とは言え、聴き手を巻き込まないのもどうかと思うんで、曲の途中にみんなで自然と歌えるようなセクションを入れているつもりです。そうやって引っ張れる感じにしたかった。
悠 こんなにノリの悪い俺らでも歌いたくなっちゃうような、そんな曲が作りたくてね(笑)。
──やっぱり、過去の楽曲が見えないところで効いてるというか。イメージしてたアイドラの夏曲と違って、「こう来たか!」的な意外性がありました。
悠 ありがとうございます。作品のタイトルは「SUMMER」ですけど、その言葉に寄せて夏の恋愛をただ歌うのはやりたくなくて。前に進んでいくようなビートとか掻き鳴らされるアコギとか、先にできてたサウンドから走り出したい気分を受け取って、歌詞にした感じなんです。今の自分たちに言いたいことでもあるし、対象は友人や家族、過去の恋人でもいいように、あえて限定せずに。僕らの場合はバンドですが、同じく目指す場所があって、まだその途中にいる人にも届いてほしい。もう一度がんばりたいとき、どういう言葉を聞きたいか、自分に対して言いたいか、いろいろ想像して書きましたね。
同じことをやってたら自分の生き方として満足できない
──ちなみに、アイドラの作品に「夜」の歌詞が多いのは偶然ですか?
悠 僕、なぜか夜が好きで。今回入ってる「TONIGHT」にしても「WE ARE YOUNG」にしても、夜ばっかりですもんね。逆に、恋愛をガッツリ歌う曲は朝のシーンが多い。これまでの曲だと「SUPER SPECIAL」「Girlfriend」「Marry me」とか。だって、夜にロマンティックなことを言うのはなんか普通じゃないですか。同じように、朝に「がんばろう」ってのも当たり前だから、夜で歌いたくなるのかも。
──そして「PRINCE」ですが、この曲は3月に配信済みなので、「On my way」よりも先にできあがっていたということですか?
悠 そうです。作品の中で最後にできたのが「On my way」なので、今作のムードを形作ったのは「PRINCE」になりますね。「PRINCE」が夏を感じさせるトロピカルなサウンドだったから、「SUMMER」のコンセプトにつながっていったと思う。とは言え、歌詞はとてもシリアスで。いわゆるMVを作るような曲でこんなに考えさせるというか、浸れる系の曲はこれまでなかったし、新鮮かもしれません。
──むしろ、シリアスで浸れるタイプの曲はやらないくらいのスタンスに見えてました。
悠 デビューの頃は本当にそうでした。だけど、ひと通りやりたい曲をやりきって、土台ができた感覚が大きいんでしょうね。飽き性なのもある。ずっと同じことをやってたら自分の生き方として満足できないし、いい意味でリスナーの予想を裏切りたいし。出すべきタイミングが来たんだと思います。
兆志 「TOKYO」を経て「FASHION」が作れて、カラーが白黒になった感じと言うかね。ここでまたド派手なものに戻っちゃうのは違う気がしたんで、モノトーンを思わせる「PRINCE」みたいな曲をやるのもいいんじゃないかなって。ファンの人は驚くかもしれないけど、極めて自然な流れです。
謙二 シリアスな曲をまったくやってこなかったわけじゃないしね。バンドの真面目さって言ったらヘンですけど、そういうアイドラの今をわかりやすく伝える意味で「PRINCE」はすごく有効だと思います。でも、新しいことをやろうと気張ってはいないんですよ。
悠 結局、真面目すぎない感じだよね。こんだけ「バンドバンド」言ってるのに、ドラムは打ち込みだし(笑)。
一同 あはははは!(笑)
秋気 ややこしいね。バンド=生音という意味ではなく、アイドラを形作ってきたものは大切に、あくまで自分たちらしいバンド感を追求したいってことなんです。打ち込みも完全にクラブとかでしか使われないような音じゃない。ライブで生のドラムに置き換えても遜色なく別のよさがちゃんと出る音作りをしてるので、そのあたりも聴いてみてください。
悠 切ないコード感で、踊れるというよりは聴いて浸れる曲にしたかったんです。そこに去年出したシングル「TONIGHT」からの流れを汲んだトロピカルさを入れるとどうなるかなとか、実験的な試みもして。結果、日本の音楽シーンにあまりない新しさが出たと思ってます。
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引き算の美学
- I Don't Like Mondays.「SUMMER」
- 2017年6月7日発売 / 日本コロムビア
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初回限定盤 [CD+DVD]
3888円 / COZP-1304~5 -
通常盤 [CD]
1728円 / COCP-39906
- CD収録曲
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- On my way
- Shape of love
- PRINCE
- TONIGHT(KSUKE Remix)
- WE ARE YOUNG(from AL「TOKYO」)
- Freaky boy(from AL「FASHION」)
- MEMORIES(from miniAL「PLAY」)
- 初回限定盤DVD収録内容
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LIVE@2016.11.19 Zepp DiverCity
- Fashion
- Sorry
- Stranger
- Marry me
- Crazy
- Freaky boy
- Game over
- Girlfriend
- Don't look back
- Tonight
- Life
ライブ情報
- E.P.「SUMMER」Release Party
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- 2017年6月7日(水)東京都 UNITSOLD OUT
- 2017年6月9日(金)愛知県 伏見JAMMIN'
- 2017年6月13日(火)大阪府 Shangri-La
- I Don't Like Mondays.(アイドントライクマンデイズ)
- 悠(Vo)、兆志(G)、謙二(B)、秋気(Dr)からなる4人組バンド。2012年に表参道で結成され、2014年9月にミニアルバム「Play」で日本コロムビアよりメジャーデビューした。音楽とファッションの融合を目指し、楽曲制作、ライブ活動に加えてセレクトショップ「RESTIR」との共同ブランド「IDLMs. CREATIVE DIRECTION BY RESTIR EDITION」を立ち上げるなど多方面で活動を展開している。2016年10月から11月にかけ、全国5カ所をめぐる初のワンマンツアーを開催。2017年6月に新作CD「SUMMER」を発表する。