音楽ナタリー PowerPush - I Don't Like Mondays.

ネアカな4人が遊んで作った“セレブリティロックバンド”のデビュー盤

「なめんなよ!」とは思ってます

──少し話がさかのぼるんですが、皆さんが音楽を始めたのはいつ頃なんですか?

兆志(G)

兆志 僕は子供の頃ピアノを習ってたんですけど、やっぱり上手な子にはまったく勝てないじゃないですか。これは無理やなと思って辞めた頃、たまたまギターに触る機会があって。父の知り合いにDeep Purpleを教えてもらって衝撃を受けたんですよ。まだ12歳くらいで、これから毎日練習したらプロになれるって安易に考えてましたね。

──憧れのバンドでいうと?

兆志 やっぱりギターが目立つグループが好きで、Deep PurpleとかLed Zeppelinですね。僕はずっとギブソンを使ってて、男っぽい形が好きなんですよ。だからレコーディングでストラトキャスターを使ったほうがいい場面でも、絶対にレスポール。

──そこは曲げたくない?

兆志 曲げられないですね。だからゲイリー・ムーアみたいなギターヒーローにずっと憧れていたし、そういう存在を日本のクラブで踊ってる人たちにもっと知ってほしいなとも思うんです。

──謙二さんはいかがですか? いただいた資料だと「子どものころは『セサミストリート』が好きだった」と書いてあるんですが。

 その情報書いとく必要あるの?(笑)

謙二 すごい好きでずっと歌ってたらしいんですけど、全然覚えてないんですよ。僕も兄貴が弾いてたDeep Purpleを聴いて、ギターを持ってバンドを始めるんです。それからはミスチルさんとか日本の曲もずっと好きだったし、高校生のときにはOasisで「UKすげえ!」って目覚めて、Radiohead、U2、最近だとKasabianとか片っ端から聴きましたね。ベースを始めてからはEarth Wind & FireとかJamiroquaiが好き。

秋気 僕は、8歳のときに兄がドラムセットを買ってきたんですよ。それを遊びでずっとイジってたのが最初ですね。

──そのときお兄さんは何歳ですか?

秋気 中学に入ったときかな。文化祭でバンドやるって言って、カタログに載っていた一番安い3万円のセットを。

──3万で買えるんですか?

秋気 そうなんですよ、意外と安い。ただ音はひどかった(笑)。

──でも8歳で家にドラムセットがある家庭はなかなかないですよ。

秋気 そうなんですよね、だから今思うとラッキーでした。それから10歳くらいでKornのライブビデオを観たらめちゃくちゃカッコよくて感化されて、音楽の道に進もうと決めたんです。

──なるほど。最初にバンドのオフィシャルサイトに上がったビジュアルやPVでは、皆さんが楽器を弾いてる姿がなかったじゃないですか。

 そうそう、だから「本当は弾いてないんじゃないの?」ってよく言われるんです。

謙二 でも意外とがんばって作ってるんですよ。

──だから正直に言うと、すごくチャラい人たちなのかなと思っていて。

 あー、それもよく言われる!(笑)

──でも実はそれぞれちゃんとバックボーンがあって、理想像が共有できてるんですね。

秋気 でもバンドって枠にもこだわってないんですよ。

 あまりバンド色を強くアピールすると、バンドが好きな子しか反応してくれないじゃないですか。だからそこはすごく意識してますね。

兆志 それで普通に弾けると、逆に驚かれていいんじゃない?

 まあ僕らとしては「なめんなよ!」とは思ってます(笑)。

遠慮なくぶつかり合える関係

──では結成から2年が経ち、デビューが決まったときの心境は?

 「やっとか」って感じでしたよ。

兆志 「おせーよ、時間かかったな」という。

 「まだー?」ってずっと思ってましたもん。

兆志 でも時間がかかったぶん、僕らの価値観をしっかり共有する余裕ができていたなとは思います。

秋気 そうだね、4人が好きなそれぞれのものが一致するポイントを探して、バンドがどう進むかを定めるための2年間だったんだなって。

──デビューアルバムのタイトル「Play」はどんな意味で?

謙二 遊びながら作ったということが一番で、あとはとにかく聴いて楽しんでほしい、という思いです。

──今までは皆さん4人だけで作っていたところに、編曲として河野圭さんに入ってもらったのは?

 やっぱり第三者の方が入ったらどんな変化が起こるのかを試してみたかったんですよ。でも僕らで作り込みすぎてて、河野さんからは「触りようがない」とは言われましたね。

──それだけ完成度が高かったということですよね。

兆志 それも言っていただけましたね。でも僕らの中ではもうひとつ上に行きたいという思いもあって。

 一緒にスタジオに入って河野さんのアレンジを少しずつ加えていくんですけど、「Perfect Night」なんかはかなり変わりましたね。

──それは、徐々によくなっていく手応えがあるんですか?

謙二(B)

謙二 とまどいましたね……。

 「どうなるんだろう?」という感じでした。でも結果として聴いてみると、いい感じで崩してもらってるんだよね。

──やっぱりそこはプライドというか、頑固になる部分もあるんですね。

秋気 だけど、僕らは普段から自分のパートだけにこだわって作ってるわけじゃないんですよ。悠のボーカル録りでもほかの3人が意見を出し合うし、楽器もそう。僕のドラムのパートにほかの3人がいろいろ言ってくるので、そこに新たに河野さんが加わってくれた感覚ですね。

謙二 今までもほかのメンバーに変えられたりしてたからね。

──それができるっていうのは、やっぱり相当仲がいいんですよね。

謙二 そうなんでしょうね。

 そのぶんイラッとすることもたくさんあるんですけどね(笑)。詞に関しては僕が書いてメンバーに見せるんですけど、やっぱり意見されると腹立つこともあるんですよ。でも振り返れば、あのときアドバイスしてくれたからよくなったなっていつも思う。

秋気 ライブハウスでやっていたときも、ほかのバンドさんに「仲いいね」っていつも驚かれてました。僕らは遠慮なくぶつかり合える関係ではありますね。

奏でたい音が一番映える詞に

──詞はすべて悠さん?

 そうですね。詞も全員で作ろうとしたことがあったけど、かなり苦しくなって。1人がまとめて書いたほうがスムーズだよねと。

──どんな部分から書き始めます?

悠(Vo)

 サビのキャッチーな部分が多いかな。これは恋愛系にしようとかテーマを考えて書いていたこともあるけど、でも途中でどんどん変わっちゃうんですよ。だからあまり決めすぎないようにしてます。

──自分の過去の恋愛を題材にしようとか、社会的な事柄に対して訴える詞にしようとか、作詞への向き合い方っていろいろあると思うんです。でも悠さんは、とてもポジティブな言葉が全面的に出てますよね。

 やっぱり、変に重苦しいことを書くバンドじゃないと思ってるんです。僕の哲学を語ったところで、誰が喜ぶんだろうって。それよりも、バンドとして奏でたい音が一番映える詞にすることが最優先ですよね。

──詞は英語と日本語が混ざってますが、そのバランスはどう決めてます?

 最初は基本英語で書くんですよ。そこから部分的に日本語に変えていく感じで。

──なぜ日本語に?

 日本で活動する以上、日本語でも書きたいなって思いがあるんです。もちろん全部英語が合う曲だったら、それはそうします。

──でも皆さんが理想とするメロディを作ると、日本語が乗りづらいこともありませんか?

 めっちゃありますね。でも日本語に合わせたメロにしてカッコ悪くなるのも嫌なんです。そこはせめぎ合いで、うまいこと言葉がはまると最高にうれしいですね。

I Don't Like Mondays.(アイドントライクマンデイズ)

I Don't Like Mondays.

悠(Vo)、兆志(G)、謙二(B)、秋気(Dr)からなる4人組バンド。2012年に表参道で結成され、“月曜日が嫌いなセレブリティロックバンド”というコンセプトで活動を開始する。キャッチーかつ洗練されたサウンド、英語をふんだんにとり入れた歌詞、メンバーの4人中3人が身長180センチ超えというビジュアルが話題を呼び、2014年9月にミニアルバム「Play」で日本コロムビアよりメジャーデビューを果たす。