HYDE|宿命を受け入れた“反逆者”

理由は「かわいい」

──タイトルの「ANTI」は「反対者」という意味を持つ言葉ですが、アイデアはどこから?

これはデザインからですね。

──え、文字の?

そう。作品の内容と見合っているかどうかも大事だけど、アルバムのタイトルをTシャツにしたときにかわいいかどうか。僕にとってそういうところがけっこう重要なんです。

──なるほど。

HYDE

それと、僕は“反抗”がロックの始まりだと思っていて。ソロ活動を再開して、改めてロックをやるにあたってそういった意味を持つ「ANTI」はアルバムに合うし、デザインもかわいいと思ったんです。

──まさか「かわいい」が基準とは……。

(笑)。僕は反抗することで初めて“創造”が生まれると思うんです。キリスト教の原罪の話では、神に背くことによって人は初めて“人”になったでしょ? 食べることを禁じられていたリンゴを食べたことで、アダムとイブは自由になったと考えてます。

──そうですね。

原罪の話を踏まえて「ANTI」というタイトルを付けて、さらにリンゴを描いたジャケットにしたんです。

──シングルも含めて、ソロ再始動後の作品のジャケットはどれもアイコン的なデザインですよね。

はい。例えばiTunesのアイコンで見たときに、絵を出してもなんの絵かパッと見ではわからないでしょ? だったらタイトルをジャケットに入れようという話からスタートして。シングルからアルバムにかけて流れがあるんですよ。最初(「WHO'S GONNA SAVE US」)は家の壁にタイトルが描いてあったのが、次はマンホール、その次は街の壁と徐々に舞台が外に向かっていく。最終的に「ANTI」が世界に氾濫するというのがコンセプトなんです。

──1年がかりの構想ですね。

そう。だから途中で「なんやったっけ?」ってわかんなくなったりもしましたけど(笑)。

──昨今の音楽シーンだとサブスクリプションサービスの普及によって、1曲1曲パワーを持った楽曲が注目される傾向があると思うんですが、そこであえてアルバムをリリースする意義はなんだと思いますか?

確かにシングルを出し続ける形もいいと思います。でも、ちょっとそれだと活動に緩急がない気がして、最後にドーンと花火がこないと気持ちよくないでしょ? それとアメリカの音楽シーンでもアルバムの存在は重要で、アルバムなのかシングルなのかでプロモーションの規模が変わってくる。僕にとってもアルバムというゴールがあると気持ちが違いますし。

歌い続けることが僕の宿命

──以前、3年以内に海外で実現させたい目標が決まっているとお話しされていたのですが、そのときは具体的なことは伏せられていました。それは今も秘密ですか?

秘密というか、さっきほとんど言っちゃったんですけど、アメリカのフェスでどこまで僕の音楽を浸透させられるか。3年以内に自分が満足がいくところまでいけるか。これが目標です。そのうえで、アメリカから撤退するかどうかを決めます。そこである程度のところにいければいいと思ってますけど、無理ならやめて「黑ミサ」をやります(笑)。

──では、まだ挑戦中だと。

HYDE

そうです。僕にとってこのアルバムが新しいスタートなんです。VAMPSが休止になってソロになって、3歩進んで2歩下がった感じだった。でも今回すごくいいアルバムができて、アメリカでのフェスへの出演もできたので、ここで再スタートを切りたいと思います。

──ソロとしての活動としては別なのですが、昨年の12月にL'Arc-en-Cielとしてクリスマスライブを行われたときに、2日目の最後のMCで「声が出なかった」と不調を正直に口にされていましたよね(参照:「導いてくれたこの日に感謝します」L'Arc-en-Cielが11万人を笑顔にした奇跡のラルクリ)。

ああ、今まではあんまり弱音を吐いたりすることはなかったですね。

──ああいった本音を明かした背景には何があったんでしょうか?

あの日は声が出なくてずっと張り詰めたものがあったんです。でも、あと残り1曲になったときに「これはいける」という確信が持てた。そのときにメンバーにも迷惑をかけたし、たくさんの人の協力のおかげであのステージに立てたので、感謝の思いをステージで言っておくべきなんじゃないかと自然と思えたんです。それが弱音を吐くことにもつながったんでしょうけど、あのときに一番伝えたかったのは感謝でした。

──そうでしたか。最後にデビューから25年以上にわたってHYDEさんが歌い続ける原動力をお聞きしていいですか?

これは僕の天職なんです。

──以前、D'ERLANGERのkyoさんとの対談でも、歌が天職だとおっしゃっていましたね(参照:D'ERLANGER「J'aime La Vie」発売記念 kyo(D'ERLANGER)×HYDE(VAMPS)対談)。

そう。神に与えられた仕事だと思ってる。もう僕が好きとか嫌いとかいうレベルじゃないんです。例えば呉服屋の2代目とかは、その仕事が好きとか嫌いではなく続けていくことが使命ですよね? その感覚というか。僕が音楽を作るのがめちゃくちゃ好きかどうかと言われると疑問があるんですけど、歌は神様が僕に与えてくれた仕事だと思ってます。それは、たくさんのファンの人たちがいてくれることや、こうやって活動を続けていけることが証明してるんです。いつ音楽をやめてもいいという気持ちでやってた時期もありましたけど、やっぱり歌い続けることが僕の宿命ですね。

HYDE

ライブ情報

HYDE LIVE 2019
  • 2019年6月22日(土)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月23日(日)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月25日(火)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月26日(水)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月28日(金)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月29日(土)東京都 Zepp Tokyo※「BEAUTY & THE BEAST」公演
  • 2019年7月2日(火)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2019年7月3日(水)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2019年7月6日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2019年7月7日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2019年7月9日(火)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2019年7月10日(水)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2019年7月13日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2019年7月14日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2019年7月16日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2019年7月17日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2019年7月20日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside※「BEAUTY & THE BEAST」公演
  • 2019年7月21日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2019年7月24日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年7月25日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年7月27日(土)愛知県 Zepp Nagoya※「BEAUTY & THE BEAST」公演
  • 2019年7月28日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年7月30日(火)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年7月31日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年8月31日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2019年9月1日(日)北海道 Zepp Sapporo