HY×青山テルマ|20周年へ向けた全力トリビュート&セルフカバー

それぞれが自分の曲のように心を込めて歌ってくれてる

──アイランドふうなアレンジもそうですが、歌に関しても今回のカバーではテルマさんの新たな一面が見えているような気がして。

青山 そうですね。とりあえずIzuのボーカルの迫力には到底勝てないので(笑)、聴き心地のよさを大事にすることにしたんです。基本、ミックスボイスを使うことで歌詞とメロディがスッと皆さんの心に染み込んでいったらいいなって。目指したのは、みんなが好きなマヨネーズっていう感じです! わかる?

仲宗根泉(Key, Vo)

仲宗根 わからんわ!(笑)

青山 えー、わかるでしょ! マニアックな料理ではなく、みんなが食べやすいシンプルな料理を作る感覚で歌ったんですよ。

──自分のクセを全面に押し出さない、ナチュラルな歌唱ってことですかね。

青山 そうそう。カバーをやらせていただくときには、自分の我、自分らしさを出すことももちろん必要だとは思うんです。でも、心からリスペクトしている方々の歌を歌うからには、そのファンの方にも受け取ってもらいやすいものであることも重要だと思うんですよね。だから今回は、「青山テルマだぞ!」っていう部分は控えめに、バラエティ番組で見せている自分は抑えて(笑)、とにかく素直に歌ったんですよね。

仲宗根 私の苦手なミックスボイスをテルマはすごく上手に使うんですよ。きれいなミックスボイスで歌ってくれたことで、「火曜サスペンス劇場」みたいな感じだった「昔の人よ」がほんとに聴きやすくなった。テルマのことは人間的にも信頼していますけど、今回のカバーを通していろんなことを学ばせてくれた感じもしましたね。それがほんとにうれしい。

──トリビュートアルバムには、テルマさん以外にも多彩なアーティストが参加、斬新なカバーが目白押しです。

新里 それぞれのアーティストが、自分の曲のように心を込めて歌ってくれてることを感じられるのが何よりうれしかったですね。どの曲もガラッと生まれ変わっていて、ジャンルも多彩。それはあたかも、音楽性の異なる5人が集まっているHYを象徴しているようでもあって面白かったです。まさにHYらしい、“チャンプルー”なトリビュートアルバムになったと思います。

10組の中に自分が入れたことに改めてビックリ

──各自、特に印象に残った楽曲をあげていただけますか?

宮里 BIGMAMAの「ホワイトビーチ」にはビックリしましたね。原曲っぽさをある程度残してくるのかなって思ってたんだけど、それを裏切って思い切り振り切ったアレンジをしてくれていて。めっちゃカッコよかった。

許田信介(B)

許田 いつもお世話になっているモンパチ(MONGOL800)パイセンの「隆福丸」もすごいよね。最後に3拍子になるところとか、リズムの取り方も面白くて。「自信作」って言ってたのが納得できる、カッコいいカバーになってると思います。

新里 僕はWEAVERの「ささくれ」かな。彼らのカバーを聴いたことで「この曲の歌詞ってこんなによかったんだな!」って改めて気付かされました。WEAVERらしさがしっかり出ていて、ほんとにカッコいいと思いますね。

仲宗根 私は、テルマの曲がやっぱり好きなんだけど、もういっぱい話したからね(笑)。

青山 うん、大丈夫。もうおなかいっぱい(笑)。

仲宗根 となるとネーネーズさんの「366日」ですね。「映画のサントラか?」って思うようなイントロから始まって、琉球の舞踊や中国っぽい雰囲気を感じさせるなんとも言えない世界がどんどん繰り広げられていくんですよ。この曲はこれまでにいろんな方がカバーしてくださっているんですけど、今までになかったまったく新しい「366日」になったと思います。沖縄料理屋さんで流れていたら絶対マッチしそうですね(笑)。

──沖縄色の強い仕上がりで言うと、宮沢和史さんの「帰る場所」も素敵ですよね。

新里 そうですね。参加してくださったことだけでもうれしかったのに、それ以上に素晴らしいカバーをしていただけたのが最高でしたね。古典的な三線の使い方を取り入れることで、シンプルなんだけどパワーを感じる沖縄らしい仕上がりになっていると思います。歌にはTHE BOOMの風を感じることができますし。たくさんの人に聴いてもらいたい1曲になっていると思います。

──名嘉さんはどうですか?

名嘉 僕は「HAPPY」ですね、上白石萌音さんの。声質や歌い方がこの曲のイメージにばっちりフィットしていて。「この曲、あげちゃおうかな」って思うくらいのカバーになってました。原曲とはまた一味違う「HAPPY」が聴けたことも楽しかったし、個人的には「上白石さんのような声が好きなんだな」っていう発見もありました(笑)。

青山 私はまだほかの方々のカバーを聴けていないんですけど、お話を聞いてるだけで絶対面白いトリビュートになってるんだなってことが伝わってきます。参加する10組の中に自分が入れたことに改めてビックリしますね。今までがんばってきてよかったな、って普通に思っちゃいました(笑)。

──そんなトリビュートアルバムの2週間後には、これまた初となるセルフカバーベストアルバムがリリースされますね。

青山 わー、超楽しみ!

名嘉 20周年を前に「ベスト盤を作ろうぜ!」ってことになったんですけど、普通に作るのではなく自分たちらしいことが何かできないかなって考えたんですね。その結果、ファン投票で収録曲を決めたり、それらをセルフカバーすることにしたんですけど……セルフカバーは超大変だったよ(笑)。

青山 うん。先月、Izuと2時間くらい電話で話したんだけど、そのときにも言ってましたね。そりゃ大変ですよー。一度作り上げたものを改めてレコーディングし直すなんてね、プレッシャーもあるだろうし、私だったら絶対心折れちゃうと思う、ポキッて(笑)。ただ、これまでの曲を改めてリバイバルすることで、HYさんがたどってきたいろいろな変化も感じられると思うんですよ。今のHYさんだからこそできることも間違いなくあるはず。それが注ぎ込まれたアルバムはファンならずとも絶対聴きたいと思うんですよね。元の曲と聴き比べるのも絶対楽しいですもんね!