ナタリー PowerPush - HY

地元・沖縄への感謝を込めてHYが贈る10周年のストリートライブ

今年結成10周年を迎えるHYが、恒例となったストリートライブを地元・沖縄で9月22日に開催する。

会場の北谷美浜カーニバルパークは、HYが結成後初めてストリートライブを行った思い出深い場所。デビュー後も節目ごとに沖縄に戻り、同じ北谷でパフォーマンスしてきた彼らが、今回のストリートライブに込める気持ちとはどんなものなのか。ナタリーではメンバー5人を直撃し、約1カ月後に迫った記念すべきライブについて話を訊いた。HYが沖縄に抱く思い、ファンに伝えたいメッセージをこのインタビューから感じ取ってもらいたい。

また、現在ストリートライブ特設サイトで展開されているライブレポーター募集との連動企画を掲載。ここでしか観られないメンバーのコメント動画や、応募に必要なクイズを公開しているので、ファンはこちらのチェックもお忘れなく。

取材・文/大山卓也

原点の場所でライブができるのは自分たちのごほうび

2008ストリートライブ写真

──そもそも、地元の沖縄でストリートライブをやろうと思ったきっかけはなんですか?

名嘉俊(Dr,Rap,Cho) 最初にストリートライブをやったのは高校3年生の夏休みだったんです。その頃仲良くしていたスタジオの人が「いろんな人がストリートライブをやってる場所があるから、そこでやってみないか」って持ちかけてくれて。それがきっかけですね。

──じゃあそこからずっと地続きで今まで続けている?

名嘉 そうですね。あそこが原点だから今でもやりたくて。今もあの場所でライブができるのは、自分たちにとってごほうびですね。

──ごほうび?

名嘉 はい。未だに同じ場所でライブができるっていうのもあるし、しかもたくさん人も集まってくれるようになって。この10年での変化がすごくわかるんです。最初はみんなショッピングや映画に来てる人がほとんどで、そういうお客さんの足をどれだけ止められるかっていうのが自分たちの課題だったんですよ。で、怖いから30人ぐらい友達を呼んでライブしたんですけど、2回目3回目からもう来ないんですよ(笑)。「1回観たからもういいや」みたいな。だからそこからが勝負で、どんどん回数を重ねていって、いろんな人に支えられながら続けてきたら、去年は5000人も集まってくれて。ホントごほうびですね。

仲宗根泉(Vo,Key,Cho) 沖縄でのストリートライブはいつもあっという間に終わってしまうなぁって感じるくらい、楽しいんです。沖縄の人たちにHYの音楽を聴いてもらえるのはすごくうれしいことで。みんなが応援してくれてるから、今も変わらずストリートライブができているんだと思う。いつも感謝しながら歌ってます。

──自分たちで手作りでやってた頃とは規模が違うから、かかわる人の数も多いだろうし、大変じゃないですか。プレッシャーは感じませんか?

新里英之(Vo,Rap,G) いや、ストリートライブは地元ってこともあって、ホントにのびのびやってますね。

──普通のワンマンライブと一番違うところはどこですか?

新里 野外ってシチュエーションもあるから、遠くのほうからお客さんが集まってくるのが見えるし、逆にそのまま通り過ぎちゃうのも見えるし。そこで「どうしたらお客さんを集められるかな」って相談しながら試行錯誤してるところはあるかも。いろいろチャレンジしてるんですよ。そのまま歩いて流れていく人たちの足を止めたいって思って。

仲宗根 ストリートライブだと、歌声がどこまでも響くんですよ。それにHYを知らない人にも私たちの曲を聴いてもらえるチャンスだし。でも足を止めて聴いてくれる人もいれば、通り過ぎてしまう人もいて、すごくシビアに反応が見れるのが新鮮です。

おじぃーとおばぁーが観に来てくれるのがうれしい

──ライブの最中はどんな気持ちでやってるんでしょうか?

名嘉 沖縄の人って僕らの音楽以外の面も見てるんですよ。人間的な成長まで見てるからライブの最初は構えてて、徐々に盛り上がっていくんです。ライブ終盤は結局もうみんな一体になっちゃうんですけど、そこにたどり着くまでの空気感と緊張がすごい。だからストリートライブの序盤は結構緊張しますね。

──「人間的な成長も見られてる」っていうのは地元ならではですね。

名嘉 元々沖縄に住んでるので、普段自分たちがプライベートで買い物したりするのもファンのみんなに見られてるんですよ。だからアーティストとしてじゃなくすごく普通に接してきて、「いつ帰ってきたの?」とか「次はいつ県外に行くの?」とか、親戚か? みたいな話をいっぱいする。そういうアットホームなノリがある分、みんな自分たちを身内のように見てくれてると思うし、そういう人たちの前でストリートライブをやるってすごい……1年に1回くらいしかできないんすけど、その1年でどれだけ成長したかを見せられる集大成みたいな気持ちはあります。

──ストリートライブには友達や家族も来ると思うんですけど、身近な人たちの前でのライブはやりやすいですか? それともやりづらい?

新里 いや、うれしいですよ。去年のストリートライブにはおじぃー、おばぁーが来てて。ステージの脇からずっと観てました。自分は、おじいおばあっ子で育てられたんですけど、ステージの上では全く別人らしく。それを聞いてから「こんなに俺楽しんでるよ、おじぃー、おばぁー。もっと観てちょうだい」っていう思いが強くなって、ステージでも暴れて思いっきり演奏できて。そういうパワーが出てくる。

──照れくさかったりはしないですか?

新里 ないですね。去年は自分からおじいに目を合わせてたな。「やってるよ、俺」みたいに。

──この夏は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」にも出演していましたが、ああいう野外フェスと北谷のストリートライブは、同じ野外でも雰囲気は違います?

名嘉 違いますね。フェスでは、HYを応援してくれるみんなに楽しんでもらいたいのはもちろんだけど、HYを観たことのないお客さんにも「初めて観たけどよかったな」って思わせたい。それにいろんなアーティストから刺激を受けたり、会話もできるし。でもストリートはみんながHYを観にきてくれてる分、さっき言ったプレッシャーもあって……。あとは、やっぱり空気が違いますよね。

──空気っていうのはお客さんの空気?

名嘉 そう。それと沖縄の匂い。あとはライブ終わったら家に帰れるっていうのが最高(笑)。ライブ終わって、自宅帰って、半身浴で風呂に浸かりながら「はー、終わったっ!」みたいなのがいい。その後はたいていメンバーで飲みに行ったりするんですけど。

HY Street Live 2009 ~10th Anniversary くわっちーさびら~

2009年9月22日(火・祝)
沖縄 北谷 美浜カーニバルパーク
START 16:00

詳細はこちら

ストリートライブ生中継

CS放送「スカパー!」にてHY Street Liveの生中継が決定。

チャンネル
  • スカパー!Ch.190「スカチャンHD190」
HY(えいちわい)

2000年に沖縄で結成された、男性4人女性1人からなるミクスチャーロックバンド。翌年ミニアルバム「Departure」を沖縄限定で発表し、高い支持を得る。2003年にリリースしたアルバム「Street Story」は口コミで人気を集め、インディーズながらも100万枚以上もの大ヒット。続く2004年の3rdアルバム「TRUNK」もメガヒットを記録し、LINKIN PARKの日本武道館公演でオープニングアクトを務めるなど大躍進を果たす。その後もインディーズに在籍しつつ、精力的なライブ活動を展開。2007年3月には初のカナダ・アメリカツアーも敢行し、大成功を収めている。