音楽ナタリー Power Push - HOWL BE QUIET

“別れに咲く花”サネカズラに心をさらけ出して

悔やんだりできるのは、心が機能できてるってこと

──で、カップリングの「Higher Climber」。同じバンドとは思えないほど、ガラッと雰囲気が変わりますね。

岩野 あははは(笑)。

橋本 よく言われます!

──めちゃくちゃいい曲で、それこそアイドルにも歌ってもらいたいくらい。

一同 おおー!

竹縄 「DAYS」への書き下ろし曲なんですけど、歌詞のメッセージはアニメ抜きでもすごく歌いたいことだったりして。できてよかったなと思ってます。

──具体的に言うと?

竹縄 この曲で歌ってる「後悔」って、歌いやすいテーマなんです。例えば僕、親によく「怒られてるうちが華だぞ」って言われてたんですよ。怒られてるうちは気にかけられてるし、干渉したいから怒るのであって、「怒らない=感情が無」なわけじゃないですか。そいつが何をしようとどうでもいい。それはすごく恐いことだなと思うと同時に、後悔も同じなんじゃないかなと。

──後悔できてるうちが華?

竹縄 そう。自分が失敗したときにちゃんと悔やんだりできるのは、まだ心が機能できてるってことなんだと思います。逆にできなくなったら、たぶん人としてヤバい……っていうのが「Higher Climber」の個人的なテーマで。「DAYS」の第2期も、負けたところ……つまり最下層からストーリーが始まるので、そこと僕の感情がリンクして書きやすかったんですよ。

──アニメに寄せすぎてない感じが、とてもよかったですね。無闇にポジティブじゃないというか。ダークな言い回しもあって、これが採用されるのっていいなと思いました。

竹縄 いやー、その感想がうれしいです。

──バンドのことを歌ってるようにも聞こえました。

竹縄 ああ、確かに。自分のことやバンドの状況というのは、曲に出るんですよね。そのときの心情が少なからず言葉になる感じで。

──「こうやって歌っていたってさ もうどうしようもなく不安になる」っていう部分とか、特に。

竹縄 本当、これはまさにそうですね。2番の歌詞からはより個人的な思いが出てるかも。2番のだいご味ですね(笑)。

──ただ、泥臭いことを歌いつつも、アレンジはキラキラとした仕上がりです。

黒木 「泥臭いことをやってるときに見てる景色は、めちゃキラキラしてるんだろうな」っていう僕らの思いが表現されてると思います。アニメの中で全国大会への出場や優勝を目指してる姿だったり、僕らの場合アリーナやドームでのライブを目指す姿だったりね。

マイノリティでしょ! どう考えても

──もう1曲のカップリング曲「Dousite」は、どんなふうに作っていったんですか?

竹縄 前のシングル「Wake We Up」の初回限定盤DVDに「Wake We Up」のMVが収録されてるんですが、その続きの動画を撮ってるときに「何か1曲セッションっぽいことをやろうか?」っていう流れになったんですよ。で、1コーラスだけサラッと曲を書いたのが始まり。メンバーやスタッフの評判が思ったよりよくて、あとで聴き返したら自分でもいいと思ったので。

岩野亨(Dr)

岩野 3曲の中では、一番バンド感があるよね。最後らへんの「しちゃったら」から「でも頑張って」ってところは、歌詞の通りに聴いてる人の心もバタバタしてほしかったんで、僕はタムをメインに叩いたりしました。

──「月9で泣ける君が羨ましいです」っていう歌詞に共感しちゃいました。3曲を通して思ったけど、竹縄さんってけっこうマイノリティ目線ですよね。

竹縄 あっ、本当に? そうなんですかね?

黒木 いやいや、マイノリティでしょ! どう考えても(笑)。

──それもHOWLの魅力だなって、改めて思いました。歌が強い理由というか。

黒木 「サネカズラ」って花のチョイスからして、マイノリティだよ。

竹縄 あらら(笑)。

──「月9」がマジョリティ的に使われてますしね。

岩野 ですよね(笑)。

竹縄 あー、なるほど。そうかもしれないですね。意識してなかったな。「Dousite」はむしろ殴り書きくらいのノリで歌詞ができて、思ってることが垂れ流れてきたような感じなんで。

岩野 今回の歌詞はより正直だし、「マイノリティですけど、何か?」っていう人はすごく共感してくれるんじゃないかな。

裸の気持ちで受け止めて

──とにかく今作は聴き応え十分なシングルになってると思います。

黒木 コーラスもかなりたくさん入れたんですよ。間奏とかメロディがない部分とか、竹縄の声がいろんなところに存在してるのって新しい。声を楽しめる3曲とも言えますね。

橋本 デジタル音だけじゃない僕らの表現を出せたし、殻を1つ破れた感じはありますね。竹縄のソングライティングが際立つ楽曲ができたのも大きい。

竹縄 僕は「ここまで裸になれるんだ」っていう発見がありました。もともと、初対面の人にフィルターをかけがちなんですよ。すぐに心を開けないというか。でも、曲で初めてさらけ出せた。聴いてくれる人も、裸の気持ちでHOWLの音楽を受け止めてもらえたらいいなと思います。

岩野 歌詞をより大切にできたよね。繰り返しになっちゃうんですけど、歌詞がドラムのフレーズを引き出してくれる体験は新鮮でした。言葉を伝えるためのアプローチに、ステップアップがあった気がします。

ニューシングル「サネカズラ」 / 2016年12月14日発売 / ポニーキャニオン
通常盤 [CD] / 1296円 / PCCA-04458
DAYS盤 [CD] / 1296円 / PCCA-04459
通常盤収録曲
  1. サネカズラ
  2. Higher Climber
  3. Dousite
DAYS盤収録曲
  1. Higher Climber
  2. サネカズラ
  3. Dousite

Re:ACTION ~Answer 1~

2016年12月14日(水)大阪府 Shangri-La
<出演者> ONIGAWARA / HOWL BE QUIET
2016年12月15日(木)愛知県 ell.FITS ALL
<出演者> Brian the Sun / HOWL BE QUIET
2016年12月20日(火)東京都 WWW
<出演者> メレンゲ / HOWL BE QUIET
HOWL BE QUIET(ハウルビークワイエット)

竹縄航太(Vo, G, Piano)、黒木健志(G)、橋本佳紀(B)、岩野亨(Dr)の4人からなるピアノロックバンド。2010年の結成から渋谷や下北沢を中心に活動を続け、2013年12月に発表した1stアルバム「DECEMBER」が、タワーレコードのスタッフが選ぶ「タワレコメン」に選出された。2014年11月にCD「BIRDCAGE.EP」を発表。2015年11月からはバンド史上初の東名阪ワンマンツアーを開催した。2016年3月にシングル「MONSTER WORLD」でポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たす。12月には3rdシングル「サネカズラ」を発表した。