一番の目的は男装

──「堀江由衣をめぐる冒険V～狙われた学園祭～」は今回メインで映像化される2日目を拝見したのですが、当日は何カ所か謎に思ったところがあったんですよ。なので今日はご本人に解説をいただきたいなと。

今回はけっこう意見が分かれるんですよ。「今までで一番わかりやすかった」という方もいれば、「全然わからなかった」という方もいて。確かに謎解きの部分とか難しかったかなとは自分でも思うんですけど。

──設定自体はすごくわかりやすいですよね。学園モノ。開催の10カ月前に会見が行われ（参照：次は学園モノ！ほっちゃん「めぐる冒険V」で女子高生に）、堀江さんの制服姿での登場が話題になりました。

ナタリーさんまでも巻き込んで（笑）、偽物の記者の中に本物が紛れてるみたいな。オーディオコメンタリーではそのときの裏話もしています。

──会見の段階では、設定や内容はどのぐらいまで決まってたんですか？

だいたいいつも大筋は早めに決めてしまいます。ただ、会見の段階では細かい設定まで決めきれていなかったから、1つひとつの発言にけっこうハラハラしていたことを覚えています。

──ざっくり“学園モノ”という設定と、当時ハマっていたという謎解きを取り入れることだけは決まっていて。

はい。でも私にとって今回一番の目的は、男装なんですよ。女子高生が男装して男子校に潜入して、男子にちょっとチヤホヤされるっていうのがやりたかったんです（笑）。「あいつ男なのに……なんか好きかも」みたいな。そのセリフを言われたいという願望からスタートしました。

大きな会場ならではの演出

──なるほど。そこからの発想で女子校と男子校という、ベタと言えばベタな設定がまず用意されて。

そうそうそう。少女マンガの王道の、ちょっと流行ったあの感じ（笑）。学校の細かい設定や謎解き部分……誰が爆弾をしかけたとか、どこに伏線を張るかという部分は、開催間際まであれこれ考えました。

──国立代々木競技場第一体育館という大きな会場をどう使うかというのも重要なところですよね。

そうですね。メインステージやサブステージをどうするか。あと客席を回るトロッコは、結局なんと4種類も用意してもらいました。

──準備を進めるうちに当初の予定から大きく変更したところ、設定をボツにしたようなところはあるんですか？

最初は会場の両端に男子校と女子校、2つのメインステージを作ろうと思ってたんです。やっぱり大きな会場でライブをやるときって、ステージから遠いお客さんのことが気になるんですよ。だから大きな会場ではトロッコを使ったりとか、できるだけいろんなところで歌えたらいいなっていつも考えるんです。でも、お話を考えていたら男子校パートが意外と長くなっちゃって。そうするとバランスが悪いかなと思って、結局ステージを分けるのはやめにしました。大きく変わったのはそのステージ分けぐらいで、大筋は最初に考えていた通りでしたね。ただ、本当は1日目も2日目もまったく同じ内容にしようと思ってたんです。お話の内容はそのままで、曲だけちょこっと変える程度かなって。でも2日間やるからにはちゃんとしたオチが用意したいねということで、内容を少し変更しました。