音楽ナタリー Power Push - 堀江由衣

女子高生ほっちゃん大活躍!謎が謎を呼ぶ学園祭の裏側

国立代々木競技場に自転車で登場

──ではオープニングから流れを追っていきましょう。まずは「めぐる冒険」シリーズお決まりのオープニング映像があって……。

はい。今回も寝坊から始まります(笑)。

──そして1曲目の「Stand Up!」では、自転車型のトロッコに乗って制服姿で登場するという。これはインパクトがありました。

しかもメインステージではないところから始まるっていう(笑)。ここは演出家さんと少し意見がぶつかったところ(笑)。やっぱり演出家さんとしては、最初はメインステージでドーンと見せたいんですよ。でも私は「まずは学校に行く場面から始めないと」というところにこだわって、通路から登場する始まり方を提案しました。2曲目の「YAHHO!!」はエコー女子学院の校歌という設定で、学校に着いたらまずは校歌(笑)。

──そしてMCではなく、物語の導入を伝える芝居が始まると。お客さんへの挨拶も学内の生徒に対する呼びかけになっていて、客席には女子校の制服を模した、試されるデザインのTシャツを着たファンの姿が……。

1枚で女子高生気分になれる「エコー女子学園制服Tシャツ」見本。

でもあのTシャツ、遠目に見ると本当に制服を着ているように見えるんですよ! あのTシャツ、みんなどうしてるんだろう。家で着てくれてるのかな……。

──そのあとの「Word I need」「Happy End」では大勢のダンサーと一緒に踊る、学校の机や椅子を使ったダンスパフォーマンスが華やかでした。学校を舞台にしたのは、こういう集団でのパフォーマンスが見せたいという目的もあったのかなと思ったのですが。

そうですね。集団のパフォーマンスが女子校の1クラスを表現するのにぴったりなので。この2曲は特にそれを意識しました。「Word I need」はAice5の楽曲なんですけど、歌詞が女子校っぽいかなと思ったし、ちょうど物語パートの声でAice5のメンバーが全員参加してくれていたこともあって「じゃあAice5の曲も歌っちゃおうか」って。仲良しグループの会話みたいなイメージです。のちにまさかAice5が再結成するとは!(参照:イヤホンズ×Aice5 ニューシングル同時発売記念特集)次の「Happy End」は身近に男子がいない女子校ならではの、恋に恋するパワーが表現できるかなと思って並べました。机と椅子をどんどん動かすので、ここが一番たっぷりとリハーサルしました。

学校の椅子と机を使ってパフォーマンスするほっちゃん(中央)。 学校の椅子と机を使ってパフォーマンスするほっちゃん(右)。

5年半越しのハチの歌と“ミラーボールの魔術師”

──ピアノ伴奏だけで歌う「Little Honey Bee」は意外な演出で、歓声も大きかったですね。本編終了後のトークコーナーでは「ピアノ伴奏だけで歌うなんて、ほっちゃんすごいなあ」と終演後にTwitterなどで言え、という指令が出ていました(笑)。

みんなちゃんと言ってくれてましたね(笑)。「Little Honey Bee」は好きな曲で、ずっと歌いたかったんですよ。しかもこの曲はハチの歌なのに、ハチが出てくるライブ(2009年9月に開催された東京・日本武道館公演「堀江由衣をめぐる冒険2 ~武道館で舞踏会~」。参照:ほっちゃんin武道館!華やかな舞踏会で“17歳”のバースデー)では歌えなかったんですよ。作詞をしてくれたあさのますみちゃんに当日「ハチの話だから絶対歌うと思って楽しみにしてたのに……」って言われて、それがずーっと心の中に引っかかってたんです(笑)。

──およそ5年半越しで実現したわけですね。

「歌ったよ、あさのさん! 歌ってるよ今!」って思いながら歌ってました(笑)。

ジャングルジムの上でパフォーマンスするピンクマちゃん(左)とほっちゃん(右)。

──「半永久的に愛してよ♡」では、中央にピンクのジャングルジムが設置されたセンターステージへ移動して。

夕暮れの公園で同級生とおしゃべりするイメージですね。

──次の「Garden」では、ジャングルジムの上で巨大なミラーボールが回転するという壮観な舞台演出が印象的でした。

キレイでしたね。演出家の方が「ミラーボールの魔術師」と呼ばれているらしく(笑)、ミラーボールを効果的に使うのが得意だそうで。ここはクラスメイトがピンクマちゃんのラブレターを違う人に渡しちゃって落ち込んじゃうシーンで……私はバラードをあまり歌いたがらないタイプなんですけど(笑)、バラードがまったくないのも観ていて疲れちゃうかなあと思って、毎回1曲か2曲は入れるようにしていて、これはその1曲です。ストーリー的にもちょうどいいし。学園モノのマンガや映画なら中盤以降に落ち込むシーンが入りますけど、私の場合はかなり前のほうにあります(笑)。

堀江ゆいお、大活躍

──そしてここからは、ご希望の男装による男子校パートが始まります。男装して男子校に潜入すると言い出して「大丈夫、しばらく男の子役やってたし」っていう……。

得意のメタ視点(笑)。

「青クマ学園校歌」を歌う青クマ学園生徒と堀江ゆいお(後列左から2番目)。

──男子校パートでは「めぐる冒険IV」(参照:堀江由衣「堀江由衣をめぐる冒険IV ~パイレーツ・オブ・ユイ3013~」インタビュー)の「パイレーツ・オブ・ユイのテーマ」に続く、ムダに壮大なオリジナルソング「青クマ学園校歌」が登場します。

ムダに壮大ですね(笑)。青クマ学園の男子生徒たちが校歌を歌っているところに私が潜入して、なぜかダンスシーンに。

──男子生徒としての名前が「堀江ゆいお」というのも安直ですごいですね(笑)。

あのあとスマホのゲームで男の子の主人公に「ゆいお」って名前を付けました。

──「学園祭で一緒に踊ったカップルは永遠に愛し合う」という言い伝えもまた、典型的な学園モノ設定ですね。

クマ スタオ

学祭あるあるです。このあとの男子寮に潜入するシーンでは、「MISSION」という曲を作っておいって本当によかったなあと思いました(笑)。青クマ学園理事長の息子、クマ スタオくんの部屋に入って、ピンクマちゃんが間違って渡したラブレターを探すというシーンなんですけど、ここで使ってる懐中電灯は本物なんですよ。懐中電灯で照らして引き出しの中を探すんですけど、マイクを持って歌いながら引き出しを開けたりなんだかんだするのが、実はけっこう大変で。タイミングが遅れると次のセリフが始まっちゃうから、絶対に時間内にミッションを終わらせなくちゃいけなくて。

──堀江さん以外のセリフは音楽に合わせた収録音源だから、役者と違って待ってはくれないわけですね。

はい。観ている人には案外伝わらない苦労だと思うんですけど。

──ただ、セリフのシーンでは声優さんたちの音声に合わせて、ダンサーの皆さんはちゃんとセリフ通りに口を動かしてるんですよね。これは今回映像を観て気付きました。ほかのアーティストのバックダンサーだったら絶対に要求されない仕事でしょうし(笑)、ストーリーも覚えなくちゃいけないから大変でしょうね。

そうなんですよ! 段取りもあるから、次は自分のセリフとなったらちゃんと立ち位置に入って、身振り手振りでお芝居してくれて。いつもお願いしているダンサーさんたちはお芝居ができる方たちだとわかってるから、今さら別の人にはお願いできないです。すごいんですよ。お芝居もできるし、「ここ1曲分つないでください!」というお願いにも臨機応変で。ジャングルジムのシーンでも、それぞれ立ち位置を割り振って「1曲分落ち込んでいてください」みたいな(笑)。

ライブDVD / Blu-ray「堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~」 / 2016年4月27日発売 / KING RECORDS
Blu-ray Disc+CD 8424円 / KIZX-231~2
DVD2枚組+CD 7344円 / KIZB-215~7
収録内容

OPENING

  1. Stand Up!
  2. YAHHO!!
  3. Word I need
  4. Happy End
  5. Little Honey Bee
  6. 半永久的に愛してよ♡
  7. Garden
  8. 青クマ学園校歌
  9. MISSION
  10. Secret Garden
  11. ほんのちょっと
  12. Go! Go! Golden Days
  13. True truly Love
  14. BLUE HEAVEN
  15. 満点プラネタリウム
  16. 私だけの物語
  17. Never Ending Story
  18. ミステリー…
  19. Lady Go!
  20. スクランブル
  21. Girl Friend
  22. Love Countdown
  23. CHILDISH♡LOVE♡WORLD
  24. Stay With Me

END ROLL

映像特典(65分)
  • おまけパート MC(堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~BLUE DAY)
  • PRESENTER / Happy Happy*rice shower(堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~BLUE DAY)
  • Baby, I Love You(堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~RED DAY)
  • レッドシグナル(堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~RED DAY)
  • クマ スタオの未青年の主張
音声特典
  • オーディオコメンタリー(出演:堀江由衣 / クマスター / スタッフ)
封入特典(初回製造分のみ)
  • 生徒手帳型BOOKLET
  • エコー女子学院学校案内
特典CD
  • 青クマ学園校歌
堀江由衣(ホリエユイ)
堀江由衣

東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせた後、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。アニメやゲームのキャラクターソングも数多く手がけ、2005~2007年には声優ユニット「Aice5」としても活躍。2009年9月には声優として歴代4人目となる日本武道館公演を2日間にわたって行い、いずれも成功を収めた。2015年1月には通算9枚目となるオリジナルアルバム「ワールドエンドの庭」を発表。同年3月には東京・国立代々木競技場第一体育館にて2DAYSワンマンライブ「堀江由衣をめぐる冒険V~狙われた学園祭~」を行った。同公演を収めたライブDVD / Blu-rayは2016年4月にリリース。